風邪のち、肺炎
毎日いい加減につけている日記を振り返ると、12/18に私はこう記している。
「ついに風邪っぴきになってしまった」
確か、鼻に近いところの喉の痛みからだっただろうか。とは言え、1ヶ月近く経った今となっては、何が初期症状だったのか、もはや覚えていない。
10日ほど経っても風邪症状はすっきりしないまま、年末年始の長い休みに入った。そして、年が明ける頃から、私の体調は良くなるどころかかなり悪化した。
咳をしつつ年末の帰省をした。少し友達と会ったり子どもを連れてショッピングモールに遊びに行ったりしていたけれど、大晦日の夜、寒気を感じて発熱した。
新年を迎えた翌朝、熱は下がったものの、完全に声を失った。でも、子どもをずっと家に籠らせるのが不憫で、半日だけバスに乗って初詣に行った。帰りのバスからもうしんどくて、午後からまた発熱して寝込んだ。
翌日、何とか3割くらい声が出るようになり、熱も下がった。その日は親戚が集まる大事な予定があり気が張っていたからか、日中は声がおかしいだけでそれなりに元気に過ごせた。しかし夕方からまた寒気がして発熱、寝込むいつもの流れだった。
その後帰省から戻った日も、残りの休み2日間も、できる限り動かず(子どもを児童館に連れて行ったりはしたけれど)、無理して食べず、早く寝るようにした。でも毎日午後から夕方になると寒気がして熱が上がってしまう。咳と鼻水が酷くなり、寝つこうとすると激しい咳と痰が出る。夜中も猛烈な咳と鼻水と痰で起こされる。布団の横には箱ティッシュと使用済みティッシュ用のゴミ袋が欠かせない。箱ティッシュは2日で底をつき、ゴミ袋はあっという間にいっぱいになった。
いつからか、味覚も嗅覚もなくなっていた。
仕事始めの日、ようやく耳鼻科に行ったけれど、コロナとインフルは陰性で、特に何もわからなかった。蓄膿になりかけているね、と鼻水を吸ってもらって、一瞬鼻水のストレスがなくなって気分爽快、その時だけは買ったジャムパンを美味しく食べられた。
身体を引きずって半日だけ仕事に行ったけれど、席に座って1時間以内には多分もう発熱していた。
夕方、内科に行ったら38.7℃、聴診してもらうもわかることはなかった。
そしてその翌々日、私はもともと予定されていた検診のため、朝から特急列車と新幹線を乗り継ぎ、地元にある大きな病院に赴いた。
定期的に通っている、先天性の心疾患の検診である。
病院につくまでは、熱も上がらず、昨日より少し良くなったかな、とすら思っていた。でも、病院の最寄駅に着き、階段を登ると、もうそのまま歩けないくらい息が切れた。
病院で検査を待ちながら、また熱が上がるのを感じた。これで9日連続である。
やっぱり、私の身体、やばいわ。
ようやく覚悟した約1時間後、全ての検査が終わって診察を待っていると、すぐに先生に呼ばれた。
体調が優れないことは、前日に電話で相談している。
心臓の具合と合わせて診てみましょうね、と言われていた。
直前に撮った胸部レントゲンの写真を見て、先生がつぶやいた。
肺、白いな。
肺炎である。見事なまでに。
「…これは…入院をおすすめします。」
「……………」
嗚呼。
かくして私は、日帰りの検診のつもりが、入院生活を送ることになってしまった。
なぜ、ここまでこじらせてしまったのか。
実は、私は現在第二子を妊娠している。
妊娠5ヶ月の妊婦なのだ。
だから、住んでいるところの小さなクリニックでは、胎児への被曝のリスクを考慮し、胸部レントゲンも、蓄膿かどうかを判断する鼻のレントゲンも撮れなかった。
抗生剤も、出してもらえなかった。
いや、それは大した問題ではない。診察してもらったのは、もう随分と症状が悪化してからだったのだから。
妊婦、それも心疾患を持つリスクの高い妊婦でありながら、私が自分の身体の声を無視し続けたからだ。
12月の妊婦健診の時点で咳は出ていた。
妊婦でも使える抗生剤はないかと、健診で相談していれば。
年末の仕事をもう少しセーブしていれば。
友達に会いたいから、子どもが退屈するとかわいそうだからと、無理して帰省して外出を繰り返さなければ。
親戚の集まりで、掠れた声で動き回らなければ。
仕事始めの日、出勤を諦めて仕事を他の人に頼んでいれば。
結局、夫に仕事を数日休んでもらい、義両親宅に息子をしばらく預ける手筈を整え、職場に事情を説明し、仕事の引き継ぎを何とか行い、私は一人、入院している。
一番、多方面に迷惑をかける結果になってしまった。
入院した日の血液検査の結果は、素人+α程度の知識しかない私が見てもわかるほど、悪かった。
身体が全力で炎症を訴え、白血球が急ピッチで製造され続けているのが見て分かった。
ちょうど7年前、私が大きな心臓の手術を受けた直後くらいの数値だ。
相当しんどかったと思いますよ。
病棟で面倒を見てくれている、若い先生は言った。
ああ、私、しんどかったんだな。
入院した日、熱は夜まで下がらなかった。
嗅覚も味覚もないから食事も摂る気になれず、半分くらい残した。
看護師さんに頼んで箱ティッシュをもらい、とにかく鼻をかみ、咳をして痰を吐き続けた。
入院グッズなんて持って来なかったから、着替えもない。だからシャワーも浴びなかった。そんなことはどうでもよかった。
身体が、しんどかったんだよ!!気づいて欲しかったんだよ!!と訴えているのを感じた。
休んでほしいって言ってるのに!!というお腹の子からの声なのかな、とも思った。(幸い、お腹の子は元気だった)
自分の心の声を、身体の声を、ちゃんと聞かないととわかってはいるけれど、「仕事が」とか、「せっかくの予定が」とか、「子どもが」とか、他のせいにして蔑ろにしたことを反省した。
夫に、息子に、お腹の子に、夫の両親に、うちの両親に、職場の人に、ただただ申し訳ない。
でも、わかったこともある。
急な依頼にも関わらず、夫の仕事を代わってくれた私と同い年の二児のパパがいた。
仕事は、かなり連絡が来ていろいろ質問されたけれど(今も連絡が来るけれど)、私以外の人が協力して進めてくれることになった。
義実家が、義父を中心に息子を預かってくれることになった。
息子は、義両親の家で一人、ぐずることもなく頑張ってくれている。
夫は仕事の合間を縫って、片道2時間かけて息子に会いに行ってくれている。
皆それぞれに、私のピンチを助けてくれた。
そうなったらなったで、何とかなるのだ。
周りの人に感謝するとともに、もっと信用しないとな、と思った。
入院から6日、熱は下がり、嗅覚味覚も戻った。
咳と鼻水は、あと少し。
肺の機能が戻るまでも、あともう少し。
連休明け、レントゲンと採血の結果によっては、退院の目処も立つはずだ。
ごめんなさい。ありがとう。
そして、お腹の子よ、教えてくれてありがとう。
かーちゃん、もう無理はしないから。
どうやら、妊婦は自己免疫が下がるため、肺炎などにかかりやすいらしい。
というわけで、皆さんも体調にはご養生ください。
熱が何日も続くのは、確実におかしいです。笑
(ちなみに私は、最終的に10日連続発熱しましたw)
予想外に、長い長い冬休みとなっている。
今週末は、息子の3歳の誕生日だ。
会えるだろうか。会いたいなぁ。