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みんなの俳句大会 俳句を選ぼう(私設賞 その前に) ガンマ編

みんなの俳句大会、絶賛開催中ですね。

運営の許可はいらない、私設賞を作るというみなさま、(↓前回大会参考リンク)

↓今回大会参考リンク


今月の角川俳句2022年4月号、
「俳句を読む愉しみ」
予備知識なしでも俳句は読める!

というドンピシャなタイトルだったため、購入して勉強してみました。


◆大特集 俳句を読む愉しみ
【総論】石 寒太
【実践 予備知識なしで俳句を味わう】奥坂まや・山口昭男・山田佳乃・岩田 奎
【知ればもっと楽しい俳句の特徴】
佐々木六戈・上野貴子・辻村麻乃・和田 桃・中村正幸・守屋明俊
【論考】「読みのリテラシー」堀田季何
【読書案内 好きな俳句、俳人の見つけ方】堀本裕樹


結論から言うと、内容、難しかったです。(笑)
(読んだうえで、どうみんなの俳句大会に活かした記事を書くかを考えると特に)

その中で、一番ためになった、
山口昭男先生(秋草)の文章(p56-57)を紹介します。

神戸の女子大学の授業で、「俳句を作り、読み合う」ということを柱に、
俳句は楽しいということを体験してもらう授業、今年で二回目の、全二回の授業を元にした知識の共有のようです。
私たちにも参考になりそうですね。


一回目の授業の最初に三つのことを知らせた。
まず、俳句の形。季語があり五七五音で出来ているということ。次は、 「や」「かな」「けり」という切れ字があること。 最後に句の二つの型。
一物仕立てと取り合わせということを例句で示し説明した。 これだけの情報を伝え、早速句作りへ。 作った俳句を一覧表にして、俳句を読み、選ぶという句会形式で進めた。

この3つは、この用語はなんだろう?という方は、
ちょっと知っておいた方がいいかもしれないですね。
ということで、
世界一わかりやすい俳句の授業 夏井いつき
20週俳句入門 藤田湘子
人工知能が俳句を詠むAI一茶くんの挑戦
を元に少し紹介します。

季語

季語は、季節を象徴的にあらわす言葉
(世界一わかりやすい俳句の授業 夏井いつき p50)

季語が俳句の主役だから。
(世界一わかりやすい俳句の授業 夏井いつき p98)


季語には、3つの重要なはたらきがある。それは、
1、季節感
2、連想力
3、安定感

である。

こうした季語の力を信じ、大いに利用することを考えなければいけない。
(20週俳句入門 藤田湘子 p42-43)

「季語を信用する」とはどういうことか。
季語に対して、言わなくてもいいことをわざわざ言って、作品を薄っぺらにしている点です。
蒲公英(たんぽぽ)=黄色い花
向日葵(ひまわり)=まぶしく照り
コスモス=ゆれてゐる
落ち葉舞う=カラカラ
季語のもっている連想の部分を、わざわざ詠っている。こういうのを「季語を説明している」というのだが、こうなるとかえって季語の連想力はしぼんでしまって、本来のゆたかさを失ってしまうのです。だから、季語の説明はいっさいやめて、季語はそのまま、なんの手も加えず一句の中に置くようにする。
(20週俳句入門 藤田湘子 p73-75)

切れ字 「や」「かな」「けり」

切れ字のはたらきだが、およそ次の三点に集約される。
1 詠嘆
2 省略
3 格調

切字を上手く用いるときは必ずこの3つの効果が出る

1→感嘆すること、感動すること、
「おやッ」っと立ち止まるのも一種の詠嘆。「ハッ」と感じるのも詠嘆。

2→例 五月雨や <ああ、よく降ることよ>の詠嘆と同時に、湖をかこむ山のみどりも、雨でいっそうあざやかに見えるし、そんな季節だから湖もひっそりしずまりかえっている。といった周辺のたたずまいも、おのずから見えてくるはたらきをもっている。

3→「五月雨に」→「五月雨や」、
「澄んでゐる」→「澄めるかな」、
「刈られゆく」→「刈られけり」、
凛とした印象をあたえる。リズムを俳句に与える。切字は俳句のいのち。
5・7・5と季語と切れ字、この相乗効果の見事さが多くの人の心をとらえてきた。このうちのどれか1つが欠けても駄目なのである。
(20週俳句入門 藤田湘子 p83~89より要約)


一物仕立てと取り合わせ

季語のことだけで俳句を作ることを「一物仕立て
季語以外の要素を入れて作ることを「取り合わせ

一物仕立ての俳句、取り合わせの俳句
いろいろと俳人の方にお話を伺っていく中で、俳句には「一物仕立ての俳句」と「取り合わせの俳句」という区別があることを知りました。一物仕立てとは内容を一つの物事、季語に集中させ、その状態や動作を詠んだ句です。言い換えると、句全体が季語と関連性をもって構成される俳句です。その季語の本質を突くような指向に結びつきやすい一方で、内容のバリエーションや意外性を表現することが難しく、ただ状況を解説したような句、ありきたりな句、工夫の足りない句になりやすいとされているそうです。 次のような句が一物仕立ての俳句になります。
びいと啼く尻声悲し夜の鹿
松尾芭蕉
大蛍ゆらりゆらりと通りけり
小林一茶
一方、取り合わせの俳句とは、一つの句の中で二つの物事を取り合わせることで相乗効果を発揮させ読者を感動に導く俳句です。言い換えると、季語を中心としたフレーズと、季語以外からなるフレーズから構成される俳句です。二つのフレーズに描かれる物事の取り合わせから生じる相乗効果のことを二物衝撃と言います。 取り合わせの俳句は、一物仕立ての俳句と比べて初学者でもつくりやすいと言われています。
花の雲鐘は上野か浅草か
松尾芭蕉
梅がゝやどなたが来ても欠茶碗
小林一茶
芭蕉の句では内容的に関連しているわけではない 「花の雲 (桜の花が雲のように一面に咲いているさま)」と「鐘」のことが詠まれており、同じく一茶の句では「梅がゝ(梅が香、梅の香り)」と「欠茶碗」が並列に詠まれています。 良い悪いは別にして、試しに次のように二つの句の上五を入れ替えたとしても俳句として成立しているように見えるのではないでしょうか。
花の雲どなたが来ても欠茶碗
取り合わせの俳句は、直接的には無関係な二つを並べることで内容にコントラストや奥行きが生じ、読み手の想像力を掻き立てる俳句になります。

人工知能が俳句を詠むAI一茶くんの挑戦(p145-146)


軽い解説は以上です!
山口昭男先生の、「授業の最初に伝えること」なので、このことを知っておいたら十分だと思います。


そして学生のこんな声が出てきます。

「どのような俳句が優れているのか分からないので、選ぶのが難しかったです」

私もいまだによく分かっていません。
それに対して、

真摯に俳句を読み、選ぼうとした結果の感想。 「選ぶ基準は一つしかありません。『自分が好きだ』というものを選ぶということ」と応えた。自由に俳句を作っているのだから、 読みも自由、選ぶのも自由でありたい。 そこから俳句の楽しさがまた起ってくる。

最高の回答ですね。
私も自信がつきました。

俳句選びに自信がない方も、

季語があり五七五音で出来ている
「や」「かな」「けり」という切れ字がある
一物仕立てと取り合わせ

この3つだけ抑えていたら、あとは自信を持って、
「自分が好きだ」という俳句を選んでいきましょう!

この授業から私なりに導きだせたことが二つある。
一つは、俳句を楽しいものだと思ってもらうためには、まず「作る」からはじめ「読む」「選ぶ」という一連の流れを体験すること。 もう一つは、「自由さ」を担保すること。「詠み」も「読み」 も自由な中で進んでゆくことで、俳句の楽しさは生まれてくる。楽しいと実感すれば、俳句の世界へ一歩近づけたということになるだろう。


素晴らしい文章の締めでした。

審査員の先生が選んだ句(予選通過句)から選ぶことも楽しいですが、

俳句に興味がある方は、「選んでもらった人は絶対に嬉しいと思うので」
是非全句一覧の中で、

「選ぶ基準は一つしかありません。『自分が好きだ』というものを選ぶということ」
この言葉を胸に残したうえで、
私設賞や、気になった俳句へのすき、コメントに行く等、参加者同士の交流も楽しんでいってはどうでしょうか。


「みんなの俳句大会 三種の神器セット」として、この記事を残します。


1つ目


2つ目


3つめ(今回の記事)


結構力入れて、過去の俳句の経験を活かして、
私しか書けない記事をと思ってみんなのために書いているので、
ぜひぜひ今後とも大会が続く限り広めていって欲しいです!

現在、「3つでセットになる言葉」を探し中募集中です!
※今のところアルファベータガンマに落ち着きました!

愛を込めて!

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