会津地鶏の卵という価値。
肉が先で、卵があと。
牧場を作った時から使い続けている、会津地鶏という品種のにわとり。
改めて、どんな鶏か書いてみる。
県内ではお肉の業者と、卵の業者があり、どちらもやっているのは私含め2か所。
お肉と、卵。
卵肉兼用種とはなっているが、やはりお肉の出荷のほうが圧倒的に多く、
通常の鶏肉がおよそ60日で2~3kgになるのに対し、会津地鶏の肥育時間は100~120日。倍かかる。
でも、特に晩生の品種でなければ120日も育てると卵を産むので、出荷か卵かどちらかということになる。うへぇ、お肉鶏って厳しい。
そして、「地鶏」と名前の付くものは平飼いという「小屋の中で自由に生活」する方式がとられる。卵を取るからといってケージに押し込めることはできないのだ。巣箱はそれぞれ設置するので、回収をする。
そしてこの鶏、採卵鶏(たまご用の鶏)までは性能が良いわけではなく、あくまで「卵肉兼用種」なので、2日に1個卵を産む。
そしてあくまで「卵肉兼用種」なので、採卵鶏よりも卵を産むときの必要エネルギー量が高い。つまり大食いってこと。
いいとこないじゃん、と思われてしまうかもしれないが、平飼いにとても向いているきわめて穏やかな性格。これはとても大切。
オスの数が適正であれば、争いはほとんど起こらない。
現在飼料や資材の高騰で価格が見直されてきている卵の相場(産直の場合)は40~50円。そうなると、2日に1個なら100円なんじゃ?と普通に考えたらなるかもしれないが、そこはとても難しい。
最初に掲げていたのは「親鳥の生活が一番」…そう、卵を取るなら、親鳥の生活が充実することが、一番卵にとって良いのではないか?
私は卵を売っているようで、実は鶏の解放された生活を販売しているのであった。そしてその返礼で卵が届くってわけ。
半日で3000円、終日で6000円。いちにち6000円のにわとりオフセットなのだ。
災害と環境にチョット強い鶏
嫌なんだ。思い出すのが。
電気とお水の止まった養鶏場。どうなるかわかりますね。
家畜全般に言えることかもしれないけど、なんでも最初から食べるわけではない。教える。ジャガイモは食える、ニンジンも食える。豆腐のきれっぱしのひもみたいなやつも食える。うまく叩き落せたハチノコも食える。
でも知らなければ食わない。ずっとそのまま。
羽ばたけば止まり木に乗れて、ちょっと安全に寝られる。
水場がどこで、草がどこで、安全な場所はどこで、そんなんデフォルトでできそうなことが、本当は「やらなくても死なない」なら、覚えないのだ。
いままでは、狭い国土でたくさん卵を作るための方法が用いられてきた。それはそのとき必要だったから。でもこれから続けていく必要はないんじゃないかと思う。脆弱過ぎるからだ。
地震に弱い、鳥インフルに弱い、災害と冬のたびに供給を左右されていたんじゃ、あぶなすぎるよね。(※平飼いだから健康的で鳥インフルにかからない、ということを言っているわけではありません、あしからず)
ここでしか出せない味
うちでは、毎日の鶏のエサに地元のおからやエゴマの搾りかすを使用している。そんなのどこでもやっているでしょ、そう、やっている。
でも単にエサ代の節約というわけではなく、地域の味が明確に出るのだ。
他では作れない味といってもいい。
おんなじものをおんなじ比率で配合しても、おからのしぼり具合が違えば違うし、エゴマの搾りかすがひどく酸化していればやはり違う。気候もある。水の味も違う。
この地域の味を、会津地鶏という地元の鶏を通して具現化している。
そして、解放された鶏の生活にご理解(一番は味であってほしいけども)くださったお客様が買うんだなぁ、と。
実は今月より価格改定をしたので、また一から価値の掘り出し、発信の始まり。ふぅ。
あ、一つだけ言えるのは
畜産に関しては、投票と同じで家畜たちの「環境」を購入という形によって選ぶことができる。放牧も、ケージも、舎飼いも、選べるのだ。
願えば形になるってこと。自分で飼えなくても鶏はオフセット出来ます。