国有林野管理経営法改正案とメガソーラーの問題点
「国有林野管理経営法改正案」が2019年5月21日、衆院本会議で可決されました。しかしこの法案はほとんどの人には知られていません。この法案も建前は林業の産業化、活性化を狙うということになっていますが、そうは問屋がおろしません。この法案のキモは国有林を中心に、企業に最長50年間、森林を伐採する権利を与えるというものです。
さらにこの法案では植林は義務付けられていません。この法案により中国などの外資企業の参入が危惧されていますが、林業は許容され植林は義務付けられておらず、外資にとっては自分たちの国ではないので、国有林ははげ山に化す可能性が大となります。
ちなみにはげ山となり放置された場合、植林にかかる費用は税金によってまかなわれることになっているのも、さすがの売国日本です。メガソーラーなどと関連付けられ、いいように自然破壊されていく可能性も残ります。昨今、温暖化なのか寒冷化なのかわかりませんが、以前より豪雨などが増えていますがこれにも関係します。
自然には保水力があり洪水などを防ぐ力を持っていますが、土砂崩れや洪水などがこの環境行政により起こりやすくなることも危惧されます。吉川貴盛農相は「経営者を育成するには安定的な事業量の確保が必要」と国会答弁しましたが、とにかく事業=お金しか考えていないことがうかがわれます。国有林とは事業のためだけに存在しているわけではありません。むしろそれ以外のほうが役割として重要です。
自然環境の維持、きれいな水の維持は国家維持のための大原則であり、国は土地によって成り立っているという大前提を忘れています。これも水や種などと同じで、より生命に直接関与するもの、より独立に関与するものから支配していこうという様子がうかがえます。そもそもビジネスにしたいのであれば、高級木材のもとになるものを植林したほうがよさそうですが、それもこの法律はやる気がありません。外資参入と買ってもらうことだけが前提の法律なのです。
前出のメガソーラーについても、様々な問題を抱えています。
まず、パネルの設置をするためには広大な土地を必要とします。それが森林伐採という形でも現れ、森林の消失、環境や生態系への影響が懸念されます。また、ここ数年は、耕作放棄地や有休農地といった使われていない農地を利用することも増えてきているようですが、一度発電所として転用してしまった後は、元の農地に戻すのは簡単な事ではありません。
さらに、地域の景観が台無しになる、騒音や振動からくる健康被害など、地元住民に及ぼす影響も無視することはできません。
そして、太陽光パネル最大の弱点は、何と言っても災害に弱いということです。台風などで飛ばされたパネルは大変危険ですし、ひび割れたパネルが何らかの原因で発火するケースもあるなど、二次災害を引き起こす危険性があります。また、破損したパネル内には有害物質が含まれているため、環境汚染に繋がることも十分考えられます。
また、ジェノサイド問題も見過ごせません。太陽光パネルの製造で世界シェア約8割を占めているのが中国となっており、その製造に欠かせない主原料の1つ「ポリシリコン」を半数近く供給しているのが、新疆ウイグルです。人権問題、強制労働といった弾圧に、日本も間接的に加担していることになる、というわけです。