20241023 鬱海いおとは
鬱海いおとは、メイドバー「深海底」のメイド長代理である。
鬱海いおとは、ニセゴイシウツボである。
そして鬱海いおとは、もう頑張りすぎないをモットーにお給仕をするおさかなメイドである。
鬱海いおとは、メイドバー「深海底」のメイド長代理である。
メイド長は憂海野ぽめである。2人でお店を本格的に始めようと決めた。
私は根っからのサブリーダータイプなのでぽめとの関係性が逆になったことはない。私が主導で、ぽめがフォローするという構図は今後も実現し得ないだろう。
いつだってカリスマ性と明るさで先頭を行くのが憂海野で、荒削りな部分の帳尻を合わせながら舵を取ってケツを引っ叩くのが私、鬱海の役割だ。
鬱海いおとは、ニセゴイシウツボである。
西太平洋あたりの暖かい海に生息している。身体には黒色斑が散在しているのが特徴である。おさかなの中では珍しく肉食である。
寒い寒い「深海底」まで通っていて、その中ではニンゲンさんに似た形態を取ることができる。大型のウツボの割には体躯が小さめで悔しい。なんでアオウミウシに負けるんだ?
鬱海いおは、もう頑張りすぎないをモットーにお給仕をするおさかなメイドである。
私には前世がある。メイド業界における通称で、前働いていた店舗を指す。私はちょっと優秀だったのでおさかなメイドをする前に、研修として陸地で働いていた。そして精神がちょっと壊れた。
鬱海いおは、鬱病で、ADHDである。2023年12月29日、年末に希死念慮が限界に達し、友人に付き添われて心療内科を受診し、診断が降りた。
コンセプトカフェにはメンタル面に問題のある人が多いけれど、私は働いている最中にパンクしてしまい大変にご迷惑をお掛けした。当たり前で言いたくないけれど、接客業なのでどんなに辛くてもニコニコ接することが必要とされるから、それが負担だった。理由を言ってはいけないという制約も拍車を掛けた。
前世の悪口を言いたいわけではない。とってもお世話になったしあの店舗がなければ今メイドとしての私はいないだろうから。でも、不特定多数の人間に接し続けるのは精神に良くないかもしれない、と気づいたのも確かだ。もうメイドはしないだろうと思っていた。
でもぽめがいたんだな。これが私の人生における最大の誤算で、最高の出会いだと断言できる。彼女がやると言ったから、私は手伝わざるを得なくなる。どうしようもなく惹かれる。着いて行きたくなる。その先の景色が見たいから。だから「深海底」を企画し始めた。
メイドをもう一回するにあたって、自分の病気・特性と折り合いをつける必要があった。そしてもう頑張りすぎないと決めた。でもこれは何もしません、という意味ではない。辛い時は我慢せずに裏方に徹するというニュアンスが近いかもしれない。
身体的に辛い時には裏にいよう。精神が不安定なら薬を飲んでドリンク作りを積極的にしよう。全員と無理に話そうとしなくても結局お会計処理は私なんだから絶対話す。なら近い距離にいるニンゲンさんや、チェキを撮って推してくれるニンゲンさんと交流をしよう。たまに鬱に入ってもそれを隠して笑うことは絶対にしないでいよう。
そして相方のぽめ、裏方に入るおさかなさん達も同じように無理をしなくて済むように考え続けると。
ぽめはどう考えているかわからないけれど、私は「深海底」を無理しなくてもいい場所にしたいと思っている。魚食を通してみんなが穏やかに、たまにはしゃぐような場所にできたらいいななんて思っている。ぽめはどうかな。いつか話そうね。
鬱海いおは貴方の為のおさかなメイドである。
昏い海の底で、貴方をお待ちしております。