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#小説
ペギー・リー『ブラック・コーヒー』を聴いて(小説)
彼はとても疲れていたので、勤め先と自宅のちょうど間に位置する、ファミレスに入った。席に着くが早いか、ウェイターにドリンクバーを注文して、メニューを開く。幾度となく来店したことのある、安価なファミレスだ。薄い紙の上、ところせましと並ぶ料理は、どれも見ただけで味を想像できてしまう。そのお決まりの店内にはいつも通り、聴き心地の良い、無害な音楽が流れている。
別段食べたいものは無い。ファミレスは、彼の
彼はとても疲れていたので、勤め先と自宅のちょうど間に位置する、ファミレスに入った。席に着くが早いか、ウェイターにドリンクバーを注文して、メニューを開く。幾度となく来店したことのある、安価なファミレスだ。薄い紙の上、ところせましと並ぶ料理は、どれも見ただけで味を想像できてしまう。そのお決まりの店内にはいつも通り、聴き心地の良い、無害な音楽が流れている。
別段食べたいものは無い。ファミレスは、彼の