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散文

私は中高一貫校に通っており、その6年間はずっとお弁当だった。

保育園では「愛情弁当の日」
小学校では「遠足」

たいてい楽しみなイベントと共にあるお弁当は、私にとってそれ自体も大好きで楽しみなものだった。

中学からそのお弁当が日常になった。
学校の校風が合わず、適度に上手くやる柔軟性もまだなく、逃げる選択肢もなかった6年間。
楽しみで大好きだったお弁当が食べきれなくなった。

朝は7時前に家を出るため簡単なものしか食べず、昼はお弁当をほとんど残し、夜は塾の前に何かを買って食べていたと思う。
とんでもない食生活だ。

今まで問題なく食べられていた冷凍の物が食べられなくなってしまい、おにぎりと手作りしてくれた卵焼きと焼いたソーセージしか食べられなかった。
毎日半分ほど時にはほとんど全部残して捨ててしまう日が続いた。
お弁当を作ってくれる父と母に見られないようペーパーに包んで捨てたりしていたが、早々に気づかれてただろう。
それでも父も母も毎日何も言わずにお弁当を用意してくれた。

最終的にお弁当の中身はとてもシンプルになった。
私が好きな海苔を巻いたおにぎり
父が作る甘い卵焼き
焼いたソーセージ
少しずつまた完食できるようになっていった。

大学生になって、昼ごはんを自分で調達するようになりいろんなものを食べた。
1番多いのはカップ麺。安いし簡単にできるし結構好きだが飽きる。壊滅的に気分じゃない時もある。
コンビニの弁当は高い。
外食もおいしいけど高い。
結局お弁当に行き着く。
自分が用意する側になった。

炊き立ての米はめちゃくちゃ熱い。
でも炊き立ての時に結んでしまわないとなかなかいい味にならない。
手をヒリヒリさせながらこれを毎日準備してくれた父と母に感謝する。
やっと本当の意味でありがとうという気持ちが出てきた気がする。遅いけど。

結局おにぎりが気分に関係なく食べれておいしくて最強だよねって話。

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