あなたがいなくなって困るひとはだれなんだろう
やめよっかなー、やっぱりやめるのをやめよっかなー、と3週間くらいもやもやと考えていた。
わたしは地域のボランティア団体に所属して2年近くたつのだけど、最近、理不尽に思えることがあって、少々頭にきていた。
そんななか、この夏、団体のなかでいくつかに分かれているセクションの、次期リーダーとサブリーダーを決めるタイミングとなった。
リーダー役はやる気に満ちたひとがやってくれることが早々に決まったが、サブリーダーのなり手がなかなかいなかった。
わたしは裏からサブリーダーになる打診を受けていたのだが、まずは全員がいる場で検討してもらうことにした。
そうしたら、みんなで押し付け合いになった。適切なひとに打診するという感じではなく、「◯◯さんはいつも例会に来てるからできるでしょ?」とか「僕はこれ以上時間はとれない」などという、もはや役割の内容などどうでもいい感じになった。
押し付けられそうになると、「忙しい」だとか「そんなお役を受けたら、時間的にも精神的にもいっぱいいっぱいになっちゃう〜」などと言い始めて、必死で逃げる。
時間をやりくりしてやらせてもらってもいいかなと、わたしも当初は思っていた。
だけど、別件で嫌な思いをしていたことと、こんな議論では、できるひとがまるで暇人みたいに思われる気がして、わたしは知らんぷりしていた。
結論は次回の例会に持ち越され……が何回か繰り返され、いい加減しびれを切らした今のリーダーが、「絶対に今日決めよう!」と言った。
でも、相変わらずの議論が始まりつつあった。
わたしはこういう状況のときに「じゃあ、やります」と言ってしまうことが、人生のなかでたびたびある。
みんながやりたがっていれば手は挙げないけど、みんながもじもじしていたら、あーもう、やりゃあいいんでしょっ! と引き受けてしまう。
別に使命感にかられているわけでも、いやなことを引き受けようという気概があるわけでもない。ただ単に短気なだけである。ぐちゃぐちゃ言っている状況が面倒くさいのだ。
今回も「じゃあ、やります」と言った。でも、これは短気から言ってしまったというより、意図的に言ったと思っている。
この団体自体から離れようかと算段していたのに、どうしてだろうか。
自分に合わない場からはとっとと去ったほうがいい、という考え方がある。
いろんなことが自分に合わないのに、我慢して頑張り続けるという昭和的な考えが鳴りを潜め、自分にフィットする場を目指して軽やかに行動するのは、いいことだと思う。無理したって、なにもいいことないから。
わたしはわりにさっさとやめたり去ったりするほうだ。
仕事の場合はさすがに多少は考えるけど、でもこれ以上ここにいても自分のキャリアに役立たないなと思ったら、決断は早い。
だから、やめようかどうしようか悩んでいるひとのことは、理解できなかった。
以前派遣で勤めていたとき、あまりにも仕事がつまらないのでやめようと思った。
隣の部署の、やはり派遣で来ているひとにやめることを伝えたら、「わたしもやめる勇気が出ました!」と言われてびっくりした。
彼女も仕事がものすごくつまらないと思っていて、それに加えて派遣先の体制にもあまり馴染めなかったらしい。
挙句の果てに蕁麻疹が出て、それはストレスだと医者から言われたそうだ。
なんでそんなにまで我慢しているのか不思議でならなかった。いやなら去れればいいじゃないの、簡単に逃げられるんだから、と思った。
冒頭の団体のことで、わたしは珍しくやめようかどうしようか考えていた。
続けることを即決できなかった理由は、理不尽なことがあったから。というより、そのできごとの張本人が、この団体の次期トップになることに、納得いかなかったからだ。
ずるいひとがトップになるような組織にいていいのか? などと考えていた。
やめることを即決できなかった理由は、理不尽な思いをしたからといって、それを理由にやめることは、そいつに負けたことになるんじゃないかと思ったからだ。
それだけでなく、今やめたら「あいつが悪い、こいつが悪い」などと、ひとのせいにばかりして生きる人生になりそうな気がしたからだ。
もしかしたら派遣の彼女も、そういう思いがあったのかもしれない。ここでやめたら、これからも負け続ける人生になると。
それでやめることを躊躇していたのかもしれない。わかんないけど。
合わない場からは早めに去る。あるいは、そこにい続ける。そのどちらも間違ってはいないんだろう。
でも、一番正しいのは自分が下した判断だと思いたい。
なにものからも、つまり他人の考え方や意見からの影響を受けずに、自分で下した判断に勝るものはない。
結果的には、「失敗したー!!」ってこともあるかもしれない。そうなったらそうなったで、また自分で次の判断を新しく下せばいいのだ。
いろんな考え方があるけど、それらは占いみたいなもんで、迷うときには参考にするのもありだ(わたしだって「しいたけ占い」見てるし!)。
だけど、自分がほんとうにどうしたいのかを考えることっては、忘れちゃいけないんだと思う。
自分のために逃げるのか、自分のためにとどまるのか。それを考えるのは自分しかいない。当たり前だけど。
だから、自分がいなくなって困るのは、周りの人間じゃなくて自分なのだから、ちゃんとここに自分を置いておきたいと思うのだ。