ぴあサポマガジンvol.12「気象病を吹き飛ばせ!」
ジメジメ蒸し暑い日が続きますが、元気にお過ごしでしょうか? 今月のぴあサポマガジンでは、気温・気圧・湿度など気象の変化によって発生する身体と心の不調、通称「気象病」とその対策について紹介します。
梅雨や台風の時期になんとなく元気が出ないな、と感じる人が多いのではないのでしょうか。天気予報で最近「気圧予報」を目にすることが増え、馴染みつつある気象病。私自身も雨が降ると頭痛が起こりやすい体質なのですが、気象病の存在を知ってからは対策がしやすくなりました。この記事を通して雨が多いこの季節を快適に過ごすヒントを提供できましたら幸いです。
気象病とは?〜メカニズムと症例
気象病は、気温・気圧・湿度など気象の変化が原因で起こる身体と心の不調の総称で、さまざまな症状が出るのが特徴です。代表的な症状としては、頭痛等の身体の痛みが生じる「天気痛」、肩こり、倦怠感があげられ、症状が重い場合だと吐き気や動悸を伴うこともあります。気候変化の激しい季節の変わり目や梅雨の時期、また台風が多い時期などに特に起こりやすいと言われています。特に気圧が急激に低下するときに発症しやすいです。
気象病はどのようなメカニズムで発生するのでしょうか。耳の中には内耳という器官があり、気圧を感じるセンサーのような働きをしていると考えられています。急激な気圧の変化が生じると、内耳から脳に信号が伝わることで一部の神経が過剰に興奮し、自律神経のバランスが崩れてしまいます。その結果、気象病が発生すると考えられます。
対策①耳をマッサージしよう
ここからは気象病への対策方法を紹介していきます。上述のように気象病は内耳が大きく関係しています。内耳の血流が悪くなると気圧のセンサーや自律神経に悪い影響を及ぼすことが考えられます。そこでおすすめなのが 「くるくる耳マッサージ」です。
内耳の血流が良くなると自律神経が整い、天気痛の予防や改善につながることが期待できます。やり方は次のとおりです。
(1)親指と人差し指で両耳を軽くつまみ、上・下・横に、それぞれ5秒ずつ引っぱる。
(2)耳を軽く横に引っぱりながら、後ろ方向に5回、ゆっくりと回す。
(3)耳を包むように折り曲げて、5秒間キープする。
(4)手のひらで耳全体を覆い、後ろ方向に円を描くようにゆっくりと回す。これを5回行う。
ちなみにこの耳のマッサージ、私はよく朝起きたときにも行います。身体がすっきりすると思いますよ!
対策②自律神経を整えよう
気象病は基本的に自律神経が関係しているので、まずは規則正しい生活で自律神経を整えることが大切です。毎日決まった時間に起きる、適度に運動する、バランスの良い食事をとる、湯船に浸かる、ストレスを溜めない。健康に過ごすための基本的な事項を改めて実践することが大切です。またマッサージやお風呂など血行を良くすることを意識すると、気象病が軽減することが期待されます。
症状が重い場合は医療機関に相談することも検討しましょう。受診の際は体調の記録が役に立ちます。気象病が出た日に、その症状や症状があった時間、天気、出来事や、症状が出る前にしていたこと、薬の服用状況などを記載しておくと、後で見返したときに、いつ、どんなときに症状が出やすいのかを把握でき、症状を病院に説明しやすくなります。
対策③痛み止めを早めに飲もう
気象病は頭痛や古傷の痛み、肩こりなど、「痛み」が主な症状です。痛みを感じ始めたときは我慢せず、すぐに薬を飲むことが重要です。
炎症が起こると体は痛みの元となる「ブラジキニン」と痛みを強める「プロスタグランジン」という物質を発生させますが、鎮痛薬は後者の「プロスタグランジン」の発生を抑えてくれます。そのため、痛みの初期に我慢して「プロスタグランジン」が大量に発生してしまうと、その後に鎮痛薬を飲んでも、効果が出づらくなるおそれがあるのです。
痛み止めへの耐性がつくこと、体へ負担がかかることを心配して痛み止めを避ける人もいるかもしれません。しかし、痛みの初期段階で薬を飲んだ方が、痛み止めの効果がより発揮され、結果として薬の量が少なく体への負担も軽く済むのです。用法・用量を守ってうまく使いこなせると良いでしょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。雨の多いこの時期、気持ちが沈みがちですが、気象病の方もそうでない方も生活習慣を整えて、心晴れやかに過ごしたいですね。それでは次回の記事もお楽しみに!
【参考書籍・WEBサイト】
NHK「「雨が降ると頭痛やめまい」 それ、もしかして“気象病”かも」
2024年2月7日〈https://www.nhk.or.jp/matsue/lreport/article/000/50/ 〉
バファリン「その痛み我慢してない? 鎮痛薬の正しい知識」
2024年6月7日〈 https://www.bufferin.net/knowledge/〉
ウェザーニュース「台風発生時の天気痛を軽減する「耳マッサージ」」
2020年10月14日〈https://weathernews.jp/s/topics/202008/290095/ 〉
総合東京病院「気象病とは? 〜梅雨の体調不良は何が原因?~」
2023年6月22日〈https://www.tokyo-hospital.com/archives/28291/ 〉
クラシエ「気象病の原因と症状。気象病におすすめの対策と漢方薬とは? -気象病になりやすい人の特徴」
2024年6月7日〈https://www.kracie.co.jp/kampo/kampofullife/body/?p=7166 〉
【筆者紹介】
工学系研究科修士2年。雨音を聞きながら寝るのが好き。
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