数字の向こう側に見えるもの
突然ですが、問題です。
A電車は7両に504人、B電車は6両に630人乗っています。どちらの電車が混んでいますか?
普通の人はこう考えるはずです。
1両あたりの乗客数を求めると
A電車 504÷7=72
B電車 630÷6=105
ゆえに1両あたりの乗客数が多いB電車の方が混んでいる。
算数の問題であれば、これで正解です。
しかし、もっと具体的に情景を想像してみてください。本当にB電車の方が混んでいると断言できるでしょうか?
現場をリアルに想像する力
実際の電車を、駅のホームを思い浮かべてみてください。
1番ホームにA電車が、隣の2番ホームにB電車が到着します。
よく見るとA電車とB電車は種類が違い、B電車の方が若干大きいようです。
A電車は北口改札に近い1号車にやたら人が集中しています。
B電車には女性専用車両が設けられていて、そこは他に比べてかなり空いているようです。
こういう状況で、どちらの電車がより混んでいるか。本当に先ほどの割り算で答えを出せるものなのでしょうか?
もちろん、平均密度を算出する必要があるケースもあると思います。
しかし、たとえば貴方が電車の混雑を緩和するというミッションを与えられ、その先駆けとして現在の混雑具合を調査しようとした時に、先ほどの割り算だけで事足りるとは思えません。
隠れた前提を明らかにせよ
冒頭の問題でも
1.A電車とB電車の乗車スペースが同じ広さであること
2.車両に乗客が均等に乗っていること
の2つの前提条件を満たす場合、割り算で正解を求めることが可能です。
しかし、現実問題として上記の条件を満たすケースは稀であると考えられます。
ゆえに数字を見るときはその向こう側、すなわちその数字がどういった現実からもたらされたものなのか想像、あるいは観察してみる必要があるのです。
余談ですが、冒頭の問題に対して「前提条件が明らかになっていないので解凍不能」とか言うと、ほとんどのケースでめんどくさがられるので注意が必要です。
間違ったことは何一つ言ってないんですけどねえ。