ほんとうのウロボロスは、二頭ではないと思う。

ーー彼女は病室で、最後の作品を書き始めた。
「決めた。やっぱり、あの時破った約束をちゃんと守りたい。今からでも、嘘からでも、本にして残す。私がいなくなったら最後、本当に約束は無かったことになっちゃうから。そんなの、君に悪いもの。」
俺が喪失したその約束を、彼女は守ってくれるらしい。それなら「それなら!さ、俺も今から、約束する。その約束を守らせる、君に、なんでもする!」
「言ったな!覚悟しなさい!」

続く


ねぇ、もしかしてあなた。

私にこんな、痒いところに手が届かないような、ヌルい地獄に浸からせてたのってさぁ。
もしかして、あなたの人生もこんな感じってこと?
もう一人のあんたがいれば、あんたの傷が癒えると思ったの?
それともあんたも外側に来てあんたの人生面白がってみたかったの?
確かに安心よね、もう一人の私が、しかも自分よりも可哀想なのがいたらって、いつも思ってたわ。
でも私間違えなかった、私の作品は、私の間違いを正したもう一人の私の人生にした。
わかる?それがあんたと私の違い。
私にあって私にないもの、あんたにあってあんたにないもの。
ねぇ、まだ終わってないみたいだけど。
もしあんたが私の人生をハッピーにしたってね。
変わんないのよ、あんたの人生は決まっちゃってるんだから。
だって私の人生があんたに書かれてるみたいに、あんたの人生も書かれてるんだから。
私期待してないから。
私はいいわよでもこれ以上彼を苦しめないで。
ねぇ、あんたにもいないの?
私にとっての、彼、いないの?

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