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2024年おすすめ百合作品を挙げてみよう
追記:2025年2月4日に小説3作を追加しました!
1.はじめに
1.1.背景
ごきげんよう、そしてあけましておめでとうございます。しーしーです。
2025年が始まりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は、大量の百合作品の供給に埋もれないよう、もがいて(=百合を摂取しまくって)おります。
旧年も様々な百合作品が我々のもとに届けられました。
作り手の皆様には頭が上がりません。
そして、これは百合を愛好する皆様が需要を生み出してくださっているおかげでもあります。
供給側、需要側の皆様に改めて感謝いたします。
いつもありがとうございます。
1.2.目的
さて、冒頭にも書いたように、2024年は数多くの百合作品で展開が見られました。
しかし、本当に数が多いこともあり、各々が見つけられていない名作もたくさんあることが見込まれました。
私自身、百合漫画の連載を多分200作くらいは追いかけていると思うのですが、見逃していた漫画をおすすめしてもらって「なんで今までこれ読んでなかったんだ!」となったり、その他の媒体では話題作すらちゃんと知らなかったりと、まだまだ百合作品の世界は広くて深いなぁと感じることが多々あります。
そこで、東京大学百合愛好会(以下、本会)では、2024年に展開が見られたおすすめの百合作品を、会員各位から募ることで、新たな出会いや気づきを得ながら、最近の百合作品の動向を掴もうという試みを行うこととしました。
1.3.手法
対象となる作品は、2024年になんらかの動きが見られた百合作品としました。
これは、2023年以前に完結済みで関係者も一切触れておらず、グッズ等も出なかったような作品でなければ何でもOKということとして、広めに色々挙げてもらおうという意図からです。
また、対象となる媒体も、同様の意図から、アニメ、映画、漫画、小説、演劇、ドラマなど、百合なら何でもOKとしました。
具体的に会員から作品を挙げてもらうにあたっては、まず、本記事の表題にもなっている、「2024年おすすめ百合作品を挙げてみよう」というチャンネルを12月2日に本会のDiscordサーバー内に設置し、おすすめの作品を任意で挙げてもらいました。
さらに、上記を参考にしつつ、12月25日にDiscordの通話機能を用いて、「今年のおすすめ百合作品をどんどん紹介する会」を4時間ほど開催しました。
なお、協力してくださった方は、以下の12名、挙がった百合作品の総数は65作でした。
しーしー(主催)
ネプヨナ
近江楊
あうとまき
Sunlight
ノーラ
とむはま
ホドウ
shin
かんさいぼう(通話は欠席)
みずき(通話は欠席)
yuzati(通話は欠席)
2.結果
早速、どのような作品が挙がったのか見ていきます。
紹介文の構成は基本的に以下の形となります。なお、紹介する作品は順不同です。
作者名『作品名』 (2024年の展開)
紹介文(概要や感想、会員の発言など)
2.1.TVアニメ
まずはTVアニメからです。
11作の作品名と感想等が挙がりました。
『リンカイ!』 (2024年春)
激戦区でお馴染み2024年春クールに放送された、ガールズ競輪を題材としたTVアニメ。公営競技であるがゆえのところまで心情描写が及んでおり、スポ根アニメというだけではとどまらない魅力がある。8話で弥彦巫子がこれまで拘ってきたスタイルを捨ててでも上位を目指そうと先輩の教えを乞おうとする姿がとても印象に残っている。作品を機に競輪にハマったが、各地の競輪場でコラボを見かけ、旅の楽しみの一つにもなった。
『魔法少女にあこがれて』 (2024年冬)
魔法少女に憧れる主人公がマスコットに騙されて悪の女幹部になってしまう話
いわゆるSMプレイが多い作品だが、キャラクター同士の関係性もしっかりと描かれている アニメが良かったので原作を追ったらさらにはまった作品
アニメパートだと幼い頃から互いを必要としてずっと一緒にいたロコルべの関係性は必見
主人公に対して愛の重いキャラクター(キウイ)が登場するが、ちゃんと主人公側もキウイに対して想いを返している点が魅力的
今の時代だと魔法少女を直接主人公にした王道は難しいのか、妙に転倒したジャンル構造が流行するようだ。『魔法少女にあこがれて』は、魔法少女ものの悪役側を主人公にして、魔法少女にえっちな攻撃を仕掛けていくというパロディの体裁である。ところが、話が進むと実はちゃんと王道の魔法少女ものへと展開してきてすごく面白くなる。(この辺は『まちカドまぞく』や、現代のダークな魔法少女ものの流れを作った『魔法少女まどか☆マギカ』にも実は当てはまる)。
やってることは魔法少女を題材としたエロゲーと大して変わらないようにみえて、そこから魅力的な百合カップリングが次々爆誕していくこと、登場人物が性的嗜好に強いこだわりをもつことなど、単に既存のジャンルを裏切るだけにとどまらない面白さを見せてくれてるのが嬉しい。
『SHY』 (2期:2024年夏)
百合のオタクもっと騒いだほうがいいです。
『ひみつのアイプリ』 (2024年春〜)
百合のオタクかなり騒いだほうがいいです。
プリティーシリーズの新作。
『プリパラ』と比較すると最初地味感が否めないが、見続けていくにつれどんどんキャラクターたちのタガが外れ生き生きとしてくるようになる(特にサクラとタマキ)。
メインのキャラクターのうち3人の愛が重い。それが誰かは見れば分かるので見てください。あとチィちゃんの生き様を見届けてください。
『終末トレインどこへいく?』 (2024年春)
「7G回線をサービス開始したら世界がめちゃくちゃになる」、「西武線各地域の住民が動物やら地蔵やら他の得体のしれない何かになる」、「駅間距離が異常に広がる」、「電車が通電なしで動く」など、本作は不条理極まりないSFではあるが、同時に本作は「池袋にいる幼馴染の女の子に会いに行く」という明白な目的に向けて駆動している。この辺は「不条理世界のなかで怪我を治療するためにイシャを探す」というつげ義春の「ねじ式」を彷彿とさせるかもしれない。異常な光景を地としながらも図として描かれているのは女子高生4人の馬鹿馬鹿しくも楽しい会話劇で、目的地が途方もなく遠いといっても路線1本なので、確実に目的地に向けて動いていっているという実感とともに気軽に楽しむことができる(ただし終盤に監督の趣味丸出しのエピソードが出てくるのには注意)。
そもそも女子高生の関係も案外謎だらけだ。静留と葉香はなぜ喧嘩別れしたのか、葉香はなぜ池袋に行ったのか、撫子はなぜギンバイカを持ってきたのか、晶と玲実はなんで仲が良いのか(?)など。その回答とおぼしき描写が冒頭回想とともに小出しに出されていくのが見てて飽きない。OPで静留と葉香が例の太極図を作っちゃっているのがなんとも象徴的である。
『魔法つかいプリキュア!』 (2024年に再放送や続編に関する知らせなど)
2025年1月から異例の新シリーズが始まるので紹介したい。
本作のテーマは「手をつなぐ」である。つまり異なる世界で育った性格の全然違う2人が出会い、互いの人となりや文化を知り、交流していく、といった異文化交流が根底にある。これはある意味では、多様性やSDGsを強調する2024年時点でのプリキュアシリーズの先駆けともいえる。序盤のメインのプリキュアは2人だけだが変身シーンが4種類もあり、どれも凝ってるので見てて飽きることがない。
また日常回が非常に多いので、その辺は『けいおん!』を見ているかのような気になれる。ただこの「日常系」っぽさが本作では結構重要である。「日常系」における「日常」とはサザエさん時空のように永遠に続いていくものではなく、卒業や別れのような形でいつか必ず終わりがくるものである。『まほプリ』も例外ではなく、1年という他のプリキュアと同じリミットのなかで、世界の成り立ちや二人の運命についてどこか不穏な兆しが現れるようになる。主人公の人となりも、仲間との日常を楽しむ一方で、第9話ではその終わりが訪れることを了承しつつも、その実別れたくない、また会いたいという強い思いが垣間見られ、視聴者は強烈に胸打たれることとなる。だからこそその後訪れるみらいとリコの再会に我々は強く感動を覚えることとなる。決して日常を適当に生きているわけではないこの今を生きる感覚が二人から力強く伝わってくるからだ。
そして本作の評価を大きく上げることになるのが、例の「第49話」である。この話は大変に出来がよく、事実上の最終回といってもよい(まだエピローグの1話が残っているが)。とはいえ、制作のリソースを大量に裂いているだけあって単体でも出来はいいのだが、エッセンスとしてはこの話だけ見ても全く意味がないので、それまでの『まほプリ』全話を見てから見てほしい。そこが勧めるうえでの悩みどころである。第9話だけでも見てみてもいいかもしれない。でも本当はそれまでの話も見てほしいところではある。
以上6作は、Discordにいただいた文章をそのまま掲載しました。
個人的に、『まほあこ』は2期も決定していることもあり、2025年以降の動きも非常に楽しみです(サルファまわりの話までいくかな?)。
ここからは、通話で挙がった作品を、発言のメモ書きや後日いただいた文章等を頼りにどんどん紹介します。
『ラブライブ!スーパースター!!』 (3期:2024年秋)
後輩(1年生)が尖っている。
「ラブライブ!」シリーズのTVアニメとしては初めて、主人公(澁谷かのん)の1年生時代からの3年間が描かれていて、後輩に対する姿勢がかっこよかった。
2年越しの新作。新入生2人の性格が尖りすぎているわ、かのんの留学が宙吊りになってしまうわ、それもあってLiellaが2グループに分裂するわ、1期生が今年度卒業するわで最初からインシデントを抱えまくったシーズンだったが、視聴後感はとても良かった。4年間もかけてかのんたち1期生の入学から卒業までが描かれてきたのが、とうとう完結して感慨深い。
『夜のクラゲは泳げない』 (2024年春)
良い意味で予想を裏切る展開が多かった印象。
5話のキスとか9or10話の特殊エンディングとか、最終回のライブの入り辺りが特に印象に残っています。
個人的に今年一番嬉しかったアニメ。
渋谷で、元アイドルとそのファンと絵描きとその幼馴染(VTuber)の4人がユニットとして一つになって目標を達成しようとする物語。
同じクールに放送された『ガルクラ』(後述)との比較もあったが、『ガルクラ』は人生を捧げるというような切実さを感じた一方で、『ヨルクラ』はユニットとしてやりたいことはあるが、それが人生の全てではなく、その後の未来を大事にしていきたいという方向性に感じた。
クレジットの場面が、何かを作りたい、あるいは作ってきた人間に刺さると思う。
めいとののたんの関係性が好きで、一番心に響いた場面は第10話のめいの歌。
『ガールズバンドクライ』 (2024年春)
井芹仁菜が、桃香にもらったものを与え返すという芯を最後まで通していたのが良かった。
『ヨルクラ』の話でも比較にあがったように、逃げ道がなくてひりついている印象。
EDが状況を俯瞰している感じがしてエモ。
すばると祖母の回(第4話)で、仁菜が自分で提案しておきながら、それを破壊したところが印象的。
同じく第4話のその部分良かった。
3Dがめちゃくちゃ良かった。
仁菜と桃香のビンタのシーンが好き。
になすばのオタクなので、二人のわちゃわちゃがあるたびに嬉しくなった。
『響け!ユーフォニアム3』 (2024年春)
なかよし川がアイスを差し入れに来るところの、優子先輩と麗奈の先輩後輩関係の絶妙さが好き。ここの久石奏も良かった。
黒江真由の異質感を醸し出す表現がすごかった。
久美子と麗奈が橋の上で進路の話をするところ(下動画)がめちゃくちゃ良かった。
夜の大吉山登るシーンがすごすぎて、当時の勢いに流されてもはやちゃんと覚えてない。
『株式会社マジルミエ』 (2024年秋)
ストーリーが良い。
仕事にプロとして向き合っている信念を持った人が集まっていて、ベンチャー志向にあてられた。
以上のTVアニメ作品でコメントをいただきました。
このほか、『アイドルマスター シャイニーカラーズ』、『ささやくように恋を唄う』、『葬送のフリーレン』、『声優ラジオのウラオモテ』、『マーダーミステリー・オブ・ザ・デッド』、『魔法使いになれなかった女の子の話』の作品名が挙がっていたように記憶しています。
2024年は、春クールを中心に、百合アニメが豊作な1年だったように思います。
個人的には『リンカイ!』と『ユーフォ3』が特に刺さりました。
2025年も多くの百合アニメの放送がすでに決定しており、今から楽しみです。
2.2.映画
次に映画を紹介します。
10作の作品名と感想等が挙がりました。
『スオミの話をしよう』 (2024年9月公開)
※百合として選出したのは個人の判断です。
脚本・監督 三谷幸喜。主演 長澤まさみ。5人の夫ないし元夫(西島秀俊、他)が失踪したスオミ(長澤まさみ)を捜索するために集結するミステリーコメディ。それぞれの夫の回想シーンでは5つの顔を持つスオミが描かれる…あれ?そこにはどの時代にも同じ女の人が登場するではないか?スオミに一番愛されているのは誰か、男達が互いに競い合う中で最初から最後まで一緒にいたのは親友の薊(宮澤エマ)だった。二人は将来一緒に老人ホームに入る計画を立てているそう。個人的百合確。
「恋人は別れるが友達は別れない」とは私が考えていたテーマの一つでしたが、これに対するヒントが得られました。
『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』 (2024年5月公開)
泣く子も黙る大コンテンツ『ウマ娘』の映画の1つ。ジャングルポケットが主人公。 作画や音楽など、表現のパワーがすさまじい。すべてを賭けて走り出したくなる映画。
『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』 (2024年9月公開)
殺し屋協会所属の殺し屋杉本ちさとと深川まひろが、宮崎で最強の野良殺し屋冬村かえでを倒す話。
物騒ではあるが主軸にあるのは、仕事の合間を縫って誕生日を祝いたいというささやかな願いだ。そこに本シリーズの殺伐と日常を共存させた作風らしさがある。最初のかえでとの戦闘からして異様にハイカロリーで、これが序盤というのが信じられない。しかしそのときの戦術が終盤に活きてくるというのがバトル描写にさらに箔を付けている。
『トラペジウム』 (2024年5月公開)
主人公・東ゆうが、西、南、北に位置する高校の女子3人とグループ「東西南北」を結成してアイドルを目指す物語。
自分の夢のためにどこまでも他人を犠牲にできる主人公の性格の悪さに関する感想ツイートが話題になっていたと記憶していますが、主題はそこではなく、それは高校生の未熟さによるもので、むしろそこの挫折からの立ち直り、成長みたいなものがメインなのかなと思っています。前半のヒヤヒヤ・ギスギスする展開が好きなオタクもいることと思いますが、自分はこの後半の東ゆうと他の東西南北の子との関係が好きでした。映画を見た後でトラぺジウムの意味を調べたら「不等辺四角形」とあってなるほどと思ったのも覚えています。
以上4作は、Discordにいただいた文章をそのまま掲載しました。
私は全て未視聴なので、今後機会があれば見てみたいなと思います。
ここからは、通話で挙がった作品を、発言のメモ書きや後日いただいた文章等を頼りに抜粋しながら紹介します。
『がんばっていきまっしょい』 (2024年10月公開)
幼馴染からの感情が回収されきっていない印象は受けたが、3Dの動かし方が人間の動きをしっかり表現していて、映像作品として良かった。
『きみの色』 (2024年8月公開)
淡々と事実を述べていく作品という印象で、象徴的なシーンとして、ギターのうるささがリアルでエモーショナルだった。
映像作品として見せ方がしっかりしていると感じた。
登場人物の感情を月並みな言葉に落とし込まず、尊重し、徹底的に映像表現にしてしまうその手腕が凄まじい。
『劇場版「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」』 (「前編:春の陽だまり、迷い猫」:2024年9月公開、「後編 : うたう、僕らになれるうた & FILM LIVE」:2024年11月公開)
前編で要楽奈のルーツが丁寧に描かれていて、TVアニメ版での言動を少し理解できた気がして一気に推しになった。
劇場の音響で演奏シーンを浴びることができたのも良かった。
燈が磁石を一方向に揃えているシーンや、愛音が立希に逃げてることを指摘されて動揺するシーン、そよが母に膝枕してるシーンなどの、本作特有の視聴者の心象をえぐる痛々しいシーンが劇場大スクリーンに映し出されてしんどい。しんどいけれども見終わると清々しい気持ちになれた。本編後のフィルムライブも劇場の大迫力で楽しめるのが魅力。
『大室家』 (「dear sisters」:2024年2月公開、「dear friends」:2024年6月公開)
『ゆるゆり』の黄金カップルの片割れの大室櫻子が主役なので、古谷向日葵との絡みを期待することもあろうが、意外にも出番はさして多くない。とはいえ、家族ぐるみの付き合いで当たり前のように大室家に出入りしている描写が、何度かごく自然に挟まれるので、もはや円熟期を通り越したさくひまの絶対的な強さをかえって感じさせてくれる。
櫻子が主人公ということで、ドタバタ感があって飽きない。
描写としては多くはなかったものの、さくひまが好きなので見られてよかった。
『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章』 (2024年9月公開)
ライブシーンが多めで、見る人を楽しませてくれる作りになっていた。
間近にガンダムSEEDやらキンプリやらのやたら濃い作品をやっていたせいで、宇宙クジラや分身にそれらの要素を見てしまうという変な視聴経験をしてしまったのだけれど、逆に言うとそれらに劣らないものすごく魅力的なライブ経験ができました。特に歩夢の分身は映像でもびっくりしましたが、これが10月のリアルライブでも再現していてすごかったです。話としては部員同士が仲間でありながらライバルとしてぶつかり合っていくことに意義を見出し、あるいは他のスクールアイドルの悩みに寄り添っていくという王道のストーリーを複数錯綜させながらも、一切破綻させず1個の映像作品としてまとめ上げていたのがよかったです。あと終盤侑ちゃんが出てくるところで盛り上がります。
『まどろみの彼女たち』 (2024年2月公開)
監督にインタビューさせていただいた作品。
特に、「動物園のふたり」が印象的で、二人で商店街を歩くシーンの完成度が高かった。
監督が絵にこだわっている方なだけあるなと感じた。
以上の映画作品で会員の皆様からコメントをいただきました。
特に、『まどろみの彼女たち』については、本会で監督にインタビューを行った作品でもあり、今年の百合作品を語る上でも、本会の活動を語る上でも欠かせない作品だと思います。
このほか名前が挙がった作品としては、『劇場総集編 幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』があったと記憶しております。
私は映画を観る文化を身につけようと最近思い至り(東京に出てきて映画館の身近さに驚きました)、2024年は過去最多の映画観賞回数を記録しました。
2025年以降も劇場で百合を浴びる体験を大切にしていきたいなと思っています。
2.3.小説
小説も様々な作品が挙がりました。
10作の作品名と感想等が挙がりました。
犬甘あんず『性悪天才幼馴染との勝負に負けて初体験を全部奪われる話』 (2巻:2024年3月発売、3巻:2024年8月発売)
2024年3月に2巻が、8月に3巻が発行されたライトノベル。コミック1巻が2024年8月に発行された。わかばは幼馴染の小牧と尊厳をかけて勝負し、負けてしまった。わかばはその代償として、ファーストキスが奪われた。尊厳を取り戻すためにまた勝負を挑むものの、負け続け、大事なものを一つ一つ奪われていくにつれ、わかばは小牧に対する気持ちが嫌いだけではないことに気付いた。
小牧は結構こじれているけど、わかばがそんなに鈍感だから、そうなるのも仕方ないと思う(わかばが悪いよ)。わかばが少しずつ自分の小牧に対する感情と小牧の本当の気持ちに気づいていくのを見るのが楽しいです。「一番」と「特別」との違いについての話もとても良いです。
入間人間『安達としまむらSS2』 (2024年11月発売)
2024年11月に発行された短編集。99.9巻の「 と 」との繋がりが多く、その話が大好きので非常に嬉しいです。この確かな永遠の感じが好きです。死でさえ二人を引き離すことはできない。最後の部分で、安達がほむらの魔女結界に入ったみたいな描写がとても気に入ります。日野と永藤が高校卒業したあとの話もあり、あの二人は本当にずっと変わらないと思いました。
入間人間『安達としまむら12』 (2024年11月発売)
2024年11月に発行された小説。いっぱい「もしも」の話を楽しめる。二人がどのような世界でも出会う運命を再び切実に感じました。小説家の安達と女優のしまむらの話はとてもよかった。
入間人間『人妻教師が教え子の女子高生にドはまりする話』 (1巻:2024年9月発売)
百合界では『安達としまむら』で有名な入間人間先生がカクヨムで連載していた不倫モノ。主人公が高校の教師であるから常に背徳感が漂っている。特に本作では主人公が清廉潔白であろうと生きてきたことが何度も語られてきており、例えば酒のやらかしすらない真面目人間であることが提示されているが、そんな主人公がファムファタールのような教え子に惹かれてタガが外れていく様子は真に迫るものがある。あと、まだ刊行されていないが、2巻のお忍びデートラブホ回はとんでもなかった。主人公の真面目さというか誠実さが働いてなんというか覚悟がすごかった。
小林湖底『ひきこまり吸血姫の悶々』 (13巻:2024年3月発売)
王道ファンタジー。現代から異世界転生する話ではないけれど実は異世界要素がある。
ひきこもりたいよわよわ主人公が実はめっちゃ強い、毎巻ゲストヒロインが出てきてカップルになるなど、要素としては一昔前のラノベを彷彿させるが、異世界転生ばかりになってしまったラノベファンタジージャンルにはそれがかえって新鮮に感じられるかもしれない。何より主人公が女の子なので毎回百合ハーレムの輪が広がっていき、とある巻では(他ヒロインを差し置いて)リアル法律婚をしたりするなど、尖りぐあいが凄まじい。
でも通しで読んでみるとなんやかんやで変態メイドのヴィルヘイズが正ヒロインとして描かれてて安心感はある……?
sayowai「むすんでひらいて」 (Web小説:2024年5月投稿)
SCP財団に投稿された約5000字の短編小説
苦しいストーリーが一人称で書かれて読後感がすごく良いし、締めも鋭くて最高
SCP知らない会員も読んで
宮田眞砂『セント・アグネスの純心』 (2024年5月発売)
姉妹制度のある学園が舞台のミステリ小説
温かみがあって好きです
宮澤伊織『裏世界ピクニック』 (9巻:2024年5月発売)
2024年5月に9巻が発行された小説。コミック12巻が2024年3月に、13巻が10月に発行された。人のいない、実話怪談に登場する怪異が出現する、謎だらけの「裏世界」。空魚と鳥子が共犯者として裏世界に探検サバイバルの物語です。怪談の雰囲気がとても良く、怪談を通して二人の関係が深まっていくのを見るのが最高でした。怪談としても百合としても楽しめる作品です。最近、百合の濃度がぐっと上がったのは嬉しいですが、二人の裏世界での探検ももっと読みたいです。
羽田宇佐『週に一度クラスメイトを買う話』 (4巻:2024年4月発売、5巻:2024年10月発売)
2024年4月に4巻が、10月に5巻が発行されたライトノベル。宮城は週に一度、三時間、五千円で、クラスメイトの仙台を買い、彼女に漫画を読むとか、足を舐めるとか、様々な命令をする。この気まぐれから始まった秘密な関係は少しずつ変化していく。毎話ごとに二人の視点を交互に変わるのがいいです。相手の不可解な行動を読んだ後、次回で相手の視点になると、理由が分かるのがとても良いです。二人とも独占欲が強く、共依存的な関係性が最高です。
犬甘あんず『好きな子のいもうと』 (2024年8月発売)
2024年8月に1巻が発行されたライトノベル。「性悪天才幼馴染との勝負に負けて初体験を全部奪われる話」の作者さんの新作です。雨宮結叶は真面目な優等生・花房渚に告白し、振られてしまった。落ち込んでいる結叶を見かねて、渚の妹・花房海望は提案した「私がお姉ちゃんのこと、忘れさせてあげます」。結叶が渚と海望の間で揺れてるの三角関係の作品です。結叶は海望と渚を重ねて、デートしたり、キスをしたり。それが良くないことだとをわかっていても溺れていくの感じがとても良いです。また、将来渚がどう行動するかも楽しみです。
以上10作(『あだしま』は2つありますが)は、Discordにいただいた文章をそのまま掲載しました。
全体的に入間人間先生の作品が目立ちますね。
長編の域に達したと言えそうな『あだしま』だけでなく、新作も高評価ということで、さすがだなぁと思います(本会では『ささつ』も依然人気があります)。
私は『マリみて』を何周も読んでいた結果、最近の小説を全く追えておらず、積読が溜まり続けている一方なので、少しずつ読み進めていかないとなと思っている所存です(最近は『ユーフォ』を読み始めました)。
あと、積読中なので今回記事には書けませんでしたが、最近の小説では『泣き虫スマッシュ!』が一番好きです。
やっぱりダブルスのペアって特別な関係だなと思います。
2.4.漫画
お次は漫画(商業作品)、一番百合の供給が多い媒体と言ってよいでしょう。
挙がった作品数も多く、28作の感想等をいただきました。
有馬『エイティエイトを2でわって』 (1巻:2024年1月発売)
2024年1月に最新刊が発行された女女ピアノ連弾漫画。うれしい。
同じピアノを弾く主人公2人はまさに光と影といった対照的なペア。うれしい。
きららではしばしば見られるニコニコ四角形(2組のペアからなる4人組を意味する言葉。今造った。)がある。うれしい。
単行本未収録範囲でヒロインに激重感情を抱えた昔の女(?)が出てくる。うれしい。
その女を交えてほんのり三角関係が生える。うれしい。
あと普通にギャグ漫画として面白い。口がふさがった状態で喋る擬音として「モム モッソウム モグモグ」とかいう言葉が出てくるのは天才だと思う。
2010年代後半のまんがタイムきららMAX(どうびじゅはいいぞ)で育った人間にとって、きららに求めているものが全部詰まった作品といえる。
謎の掛け合いにギャグ、百合と非常にバランスが良く、こういうのが読みたかったんだよな〜という気持ちになる。
あと、やっぱり連弾は嬉しさ満点。
くわばらたもつ『ぜんぶ壊して地獄で愛して』 (2巻:2024年4月発売、3巻:2024年11月発売)
2024年4月に2巻が、同年11月に3巻が発行されたバイオレンス漫画。底の見えない展開はある種恐ろしく、ホラーですらある。ホテルでものを投げつけるケンカをするシーンのある百合漫画史上、最高傑作。
家庭環境や学校事情が原因で心に影を抱えた優等生の吉沢が、不良女子の直井に脅されて不良行為を働きまくる話。あらすじがどことなく押見修造の『惡の華』を想起させるところがあるけれど、登場人物たちの性格の悪さやバイオレンスさがなぜか笑いを誘う。どちらかというとテニプリに近い。闇のテニプリ。もしくは作者の大好きな『悪魔のリドル』。
とはいえイロモノで終わるわけではなく、吉沢が自分の意志で学校やクラスメイトに反抗していくところや、直井とともに学校を飛び出していくところが清々しくて、青春ものとしての煌めきすら感じた。
言い換えると吉沢来未のエレンポイントが高い。
第3巻後半からは吉沢の幼なじみの心がめっちゃ怖くてもはやホラーと化している。
Be-con『お姉さまと巨人 お嬢さまが異世界転生』 (5巻:2024年6月発売、6巻:2024年12月発売)
2024年5巻発売。12月14日にて6巻発売。2部が開始されました。
「異世界転生」という付きもの「チート(ズル)」――そんなものに惑わされてはお嬢様としては言語道断。たとえ、その異世界がどんなに厳しく苦難に満ちていても。だが、そのお嬢様は勇者ではなく、自称「人殺し」。そして、その彼女の傍にいてくれる「姉妹」は人々から乱暴で愚鈍だと避けられている上に自分の種族からも捨てられた巨人族(ジン)の娘――という謎深いダークファンタジー風味の作品です。
何故そんなに真っすぐな人のように見える主人公が自分を人殺しだと言い、この異世界で飛ばされることになったのか。この厳しい異世界に「チート」が存在する理由は一体なにか。この世界で彼女はどれぐらいの数と種族の「姉妹」を増やすつもりか?アレキョダイメカジャナイノ?!などなど。
刺激的な展開とスケールアップが半端ない漫画です。5巻で1部終わり、今がチャンスですよ!
たけうちホロウ『チハヤリスタート!』 (2024年7月連載開始)
2024年7月連載開始。コロナ禍で高校最後のインターハイがなくなってしまった女子スプリンターたち。大人になった彼女たちが再会して、再び走り始める物語。
待ちに待った女子陸上の漫画連載ということで、百合のオタクと陸上のオタクをやっている私は大歓喜。東大だと古川大晃選手(D4)の追尾走の研究がよく話題になっていますが、隣のレーンで走るライバルを追うことで力が引き出されるというのも似たようなものなのかなと。ライバル、憧れ、親友、推し、仲間、などなど、様々な関係がアツい、今年イチオシのスポ根百合です。
陸上百合。ライバル百合。スポーツ百合の中ではかなり珍しい描き方です(と思います)。陸上全然やったことがなくても感情移入しやすいです。むしろやったことがないほうが感情移入しやすいです。おすすめです。
春日沙生『おねロリキャバクラ』 (2巻:2024年4月発売)
ただでさえやばいおねロリものにキャバクラ要素を詰め込んだ闇すぎる作品。新入社員1人を除いて登場人物だれも疑問に思わないのでもはやホラー。ラスト夢で店舗が丸ごと消えてしまったのは「そりゃそうなるやろ」感がかえって怖い。当然の如く打ち切りの波に逆らえなかった。
とはいえ内容は純然と(?)面白い。メインカップルの楓と凛は客とホステスの関係だが、主人公の気遣いやホステスの(他の客とは比べものにならない)喜びとが描かれていて、金銭を介しながらも他の客やキャストとは全く異なる「特別」な関係が芽生えるのが見るものをドキドキさせる。「癒しの逢瀬(有料)」という仮初めの恋愛の世界に「本物の」恋愛が芽吹くという、いわゆる「花柳もの」の醍醐味だろう。花柳とはいってもオムライスやカードといったいかにも子どもっぽい品々がキーになっているのがおねロリ作品っぽい。
サイドのカップリングも熱い。主人公の真面目で怖い上司×新人の泣き虫なキャスト。全然客を取れてなくてドジしてしまうのが上司の庇護欲を誘われて波長がめっちゃ合ってるのが見てて嬉しい。
「百合展」では描き下ろしグッズもあるので注目。
柴田康平『わたしが世界を救う理由』 (読切:2024年8月掲載)
コミック百合姫2024年10月号に掲載された読み切り。WEBでも読める。親の借金のカタに無理やり魔法少女にさせられた女の子と、彼女が倒すべき「怪人」の話。
スケールが大きくて主人公がメチャクチャやってるので楽しい。勢いがあるので読み切りという形態に合っていると感じた。
しぼりかすこ『現実世界でも幸せにしてくださいね?』 (1巻:2024年10月発売)
コミック百合姫で連載されている漫画作品。2024年10月に単行本1巻が発売された。公式略称リアして。
あらすじ:女子高校である町乃は恋愛シミュレーションゲーム「セレスティア」に虜になったが、物語を終わらせたくないがためにエンディングに進めずにいた。そんな時、自宅に爆発が起こり、目を開けるとそこに「セレスティア」のヒロイン・ソフィアがいた。
感想:逆転移設定が死に設定でなく、町乃とソフィアの隔たりを感じさせるために使われているのがうまい。
深海紺『恋より青く』 (2巻:2024年3月発売、3巻:2024年12月発売)
2024年3月に2巻が、12月に3巻が発行された漫画作品。好きなことが見つけない高峯と読書が好きな咲倉。ある日、二人は放課後の電車で本を介して出会った。別々の高校に通う二人は、放課後に少しずつ関係を深めていくの話。
祭りの時、二人は迷子にならないように手を繋ぐのではなく、一緒に風船の紐を持っていました。この初々しい感じがとても好きです。二人の関係が少しずつ進展するのを見るのがとても楽しみです。
んみ『ロマンスコード』 (読切:2024年7月掲載)
2024年の百合姫に載った読み切りの中で一番良かった。エンタメ的に。こういうSF的でホラー的なものって百合と相性良い気がする。 作中世界の人工知能の扱いがどうなっているかはわからないが、冒頭から主人公が倫理的に壊れていてその時点で嫌な結末を予感させる。恋愛感情を強制的に誘起させるプログラムを人工知能に組み込んでいる時点でロボットの子のことをヒト扱いしていなくて怖い。それゆえなのかロボットに包丁を扱うところまで任せており、その描写が露骨に挟まれて嫌な予感を加速させている。冒頭の終わった倫理観から始まり、ところどころ見える主人公の楽観的なところやヒトの感情をプログラム的に扱う傲慢さが最後にあのように帰ってくるのは少し教訓めいている。
仁科『大予言』 (同人誌:2024年11月頒布)
SF百合。これを読んで、私は創作をやめた。今世紀最強の創作物。
(元々創作やってないですけど)
樋口彰彦『江戸前エルフ』 (9巻:2024年2月発売、10巻:2024年9月発売)
9巻 127話 OH MY LITTLE GIRLがとんでもないんですよ。2024年に読んだ中で最も密度の高い回だった。江戸前エルフの、普段日常をやっている中でふと出てくるシリアス回の迫力がすごいという話。常に地に足つけて日常回を続けているから、そういう回の説得力が強い。生活の中のふとした体験でトラウマティックに過去の悲しみがふと顔を覗かせる、例えば亡くなった個人の好きなものを目にしてしまって思い出すとか、そういったリアルさがある。江戸前エルフだとエルダが寿命差ゆえに過去に自分の巫女を、氏子さんを何人も見送っており、その悲しみを匂わす回があるが、特にこの回はすごかった。何度も読んで泣いた。
伊月クロ『彩純ちゃんはレズ風俗に興味があります!』 (5巻:2024年5月発売)
七桜ちゃん同居編から加速しててすごい。個人的には彩純・七桜のカプが好きなのでこのままずっとその生活でいいのではないかと思っているが......
玉崎たま『無力聖女と無能王女~魔力ゼロで召喚された聖女の異世界救国記~』 (1巻:2024年10月発売)
ありがとう 玉崎たま先生。 今百合姫読んでて一番楽しみにしてる漫画かもしれない。本当に、ずっとうれしい。
さかさな『奈落の花園』 (上巻:2024年10月発売、下巻:2024年11月発売)
コミック百合姫で連載されていた漫画
死体埋めと三角関係で笑顔
紫のあ『この恋を星には願わない』 (2巻:2024年1月発売、3巻:2024年8月発売)
男性も恋愛に絡むという最初苦手なやつかなと思ったけれど、展開が進むにつれて登場人物の思いが具に知れて好きになる。友情に対する恋愛の優位に一石を投げかける挑戦的なことをしている。
志村貴子『おとなになっても』 (百合展2024/2025に参加)
丸っこい絵柄で既婚者×独身の危うい話を描くというのがいかにも志村貴子らしい。夫の気持ちもちゃんと描かれるというのが好感度が高い。第3巻以降は夫の両親の同居といういかにも俗で嫌な展開になるのだけれど、その中でなぜか運命的にお隣同士になったり、夫の方と交流があったりなど、分別はつけつつもドラマティックな展開が立て続けに起こり、こういう退屈な日常に色がつくのはかえって王道的に楽しい。恵利の引きこもり事情やあやののクラスの生徒の問題など、色々と気になる出来事が多く、女性2人の不倫だけでなく話が広がっていく予感。第4巻の大人の涙が子どもの目にはどう映るだろうか。
ヒジキ『ケイヤクシマイ』 (4巻:2024年9月発売)
「成人と高校生が同居する」という一昔前に多くの漫画によく見られた類型の話。だがその本性は成人女性と高校生が同棲するという危ないシチュエーションの漫画だ。ところが百合ジャンル特有の「姉妹」というマジックワードにより「成人-未成年の恋愛」という危うい本質が覆い隠され、健全無垢な「姉妹百合」の化けの皮を纏って現れる。これは発明だ。
とはいえ「人を好きになる気持ち」が(めぐるを除いて)軽やかに描かれてるのが興味深い。それと対照的にめぐるの気持ちがすっごく重いのがボディブローのように後から効いてくる。
うたたね游『踊り場にスカートが鳴る』 (4巻:2024年2月発売、5巻:2024年12月発売)
合歓木紫苑と藤園モナのたいやきのくだりがま〜〜〜じで良すぎた。
読めば読むほど藤園モナのメロっぷりを噛み締められる。
ききとほま姉との話もぐっときた。
中村たいやき『1×1/2-イチトニブンノイチ-』 (2巻:2024年11月発売)
旧版も読んでいましたが、やはり親子百合の金字塔といえばこの作品。
親子間で抱いている感情の重みが感じられて苦しくも惹き込まれる超名作。
矢坂しゅう『どうしたら幼馴染の彼女になれますか!?』 (4巻:2024年7月発売)
「幼馴染」や「親友」という関係に囚われ、「一体いつ彼女になれるんだ〜?」というもどかしい展開が続いていたが、最終話で最大瞬間風速を叩き出し、気持ちよく完結した印象を受けた。
竹嶋えく『ささやくように恋を唄う』 (9巻:2024年3月発売、10巻:2024年7月発売)
「アキ志帆派」の私としましては、9巻10巻は嬉しさてんこ盛りという感じでした。嬉しすぎたので旅程を破壊して玉野まで行ってカレー食べてきました。
でもやっぱり水口亜季が全部悪いと思います。水口未希さんも多分そう思っていると思います。
泉志帆の弁当箱、とだけ言っておきます
凡竜『乙女の地球の走りかた』 (2巻:2024年2月発売)
アドベンチャーレースやトレイルランニング、ロゲイニングなど、森林レクリエーションを題材とした作品で、読むと山を走りたくなります。
特に、伊豆大島のロゲイニングで大会を通して成長していく3人の姿がかっこいいです。
七路ゆうき『3分待って むぎ先輩』 (1巻:2024年3月発売、2巻:2024年7月発売)
「カップ麺グルメ×理系女子大生キャンパスライフ×ガールズラブコメディ」という触れ込みそのものの作品。
美苑が庄野さんへの感情を自覚して以降、テンパってすれ違ってしまうのが、辛くもアツくて美味しい。
蟹「あの頃の青い星」 (7巻:2024年12月公開)
2024年12月に7巻が発行された漫画作品。全巻が無料で公開されています。平凡な女子高生・構本海は隣のクラスの美人・瀬川晶に一目惚れしてしまった。二人の女子高生の日常物語。儚い雰囲気をする。女子高生たちの賑やかな日常と二人の甘酸っぱい恋をいっぱい楽しめる。個人的には、ラノベのコミックライズを除けば一番好きな百合漫画です。
以上24作は、Discordに文章をいただいたものをそのまま掲載しました。
自分の挙げたもの以外だと、『リアして』の設定の活かし方、『恋より青く』のゆっくり進む青々しい関係、『恋ねが』の「好き」の違いなどなど、どの作品も魅力的に思います。
次に、通話で挙がった作品を、発言のメモ書きや、後にいただいた文章等をもとに紹介します。
4kaえんぴつ(原作) / 古賀由人(漫画)『サルビアのブーケ』 (上巻:2024年7月発売)
個人的に今百合姫で一番アツい漫画。
師弟、そして家族のあたたかさが沁みる。
ステラも良い役回りしてるんですよね〜〜〜!
2話に1回くらい泣いてる気がする。
コミカライズで化けたな~という印象
家族だから、みたいなとこでかな~りじっくりやったのマジで良かった
一緒にいるのも、送り出すのも、ってとこがな
うさみみき『大正忌憚魔女』 (3巻:2024年6月発売)
本当に圧倒的に面白い
雰囲気を作るのもキャラ造形も上手い
自分も弱いのに、大切な人の理不尽に戦ってて、かっこよくてあったけぇのよ
流石に2023、2024では圧倒だったかなと
2巻3巻すごすぎる
めちゃくちゃあたたかい作品
絵柄と作品の雰囲気がすごく合っている
お互いがお互いのために動いているのが良い
ネコ太郎『限界OLさんは悪役令嬢さまに仕えたい』 (3巻:2024年5月発売)
3巻ガ~~~~チで最高
「諦められないじゃないですか!」のところ
4巻範囲のダイアナとアリー様の絡みがアツい!
ダイアナが毎度かっこいいです。
sugar.『オタクに優しいギャルに私はなる!』 (1巻:2024年2月発売、2巻:2024年8月発売)
面白すぎる漫画。あいりが滅茶苦茶重い感情を噴出したところ単に滅茶苦茶うれしくてずっと笑顔だった。あとドスケベVtuber人狼編もかなりオモシロだった。
幼馴染の二人が海でも相変わらず歪んだ関係で笑顔
以上の漫画でコメントをいただきました。
このほか、『あこがれを結んで』、『映しちゃダメな顔』、『FX戦士くるみちゃん』、『かみあそび!~カードゲーマー少女の日常~』、『好都合セミフレンド』、『SAN値直葬!闇バイト』、『全部君のせいだ』、『ふつうの軽音部』、『ほぐして、癒衣さん。』、『僕らのアイは気持ち悪い』、『毎月庭つき大家つき』、『マダラランブル』の作品名が挙がっていたように記憶しています。
私は、雨水汐先生の百合漫画が大好きなのですが、『僕らのアイは気持ち悪い』の最近の展開がこれまでの作品とはまた違った良さがあって、これからも楽しみです。
2.5.その他
最後にその他の媒体の百合作品を紹介します。
音楽CD、映画予告編、ドラマ、楽曲シリーズ、楽曲、インディーアニメから各1作ずつ、計6作の作品名と感想等が挙がりました。
『七夕坂夢幻能 〜 Taboo Japan Disentanglement.』 (音楽CD:2024年5月頒布)
東方Projectの公式サウンドトラックであるZUN’s Music Collectionの第十弾。2024年5月3日の例大祭で頒布された。いつものように付属の小冊子で秘封俱楽部の二人の活動が展開される。今回は失踪したメリーを蓮子が捜索するというもの。蓮子の思慮深さが見えて良かった。蓮メリ的には公式に「親友」認定されたことと蓮子がメリーに無断で家の中に入れることが判明したのが熱い
「『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』特報第2弾」、「『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』特報第2弾:SIDEほむら」 (映画予告編:2024年9月から随時公開)
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ』4作目となる最新作の特報第2弾が公開された。
かわいらしい絵柄が特徴的なシリーズだが、『SIDEほむら』では暁美ほむらさんの唇がめくられ、歯茎が見えるという本シリーズ初の描写にインパクトがあった。
映画が公開される2025年冬が楽しみです!
『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』 (ドラマ:2024年9〜11月放送)
文字通りちさととまひろの日常もの……だけれど、中盤や終盤にやはり殺戮が発生、戦うことになる。しかしその殺戮に至るまでの道程というのが、ドラマ枠ということで時間をかけてすごく丁寧に描かれていて、ゆるふわに見えてその実人の心をえぐっていたというのを描くが超うまい。見終わってもちさまひだけでなく夏目敬や日野彰のことが忘れられなくなる。
桃寝ちのい「冥土いんてんごく」 (楽曲シリーズ:2024年6作投稿)
桃寝ちのいの楽曲シリーズ。2024年に6つの楽曲が投稿された。
南見こまりは桃寝ちのいに歪んだ愛情を向けていて、ちのいはそれに振り回されながらも複雑な感情を抱いている…みたいな関係
明るい未来は見えないけれど、それによって2人の仲が良い曲が映えている面もある
LonePi feat.花隈千冬『ゲンチアナ』 (楽曲:2024年2月投稿)
ボカコレ2024冬TOP100ランキング参加曲。39位にランクインした。
湿っぽい。傷だらけ。陰と陽の二人。歌詞の全てが「あの子」のこと。
黒髪の子は白髪の子を共依存に巻き込み、愉しい二人の時間を過ごしていた。しかしそれも長くは続かず、白髪の子は離れていってしまった。
MVは白、茶、紫色を基調としており、温かさと不穏さが同時に感じられる。回転する教室の椅子が学校特有の雰囲気を想起させる。おそらく黒髪の子が書いたと思われる沢山の文字が彼女の心情を表している。
レトロ調でリズミカル、アコーディオンの音、花隈千冬の低音とハモリが最高。
髪を結ぶって特別なことですよね。
『Hazbin Hotel』 (インディーアニメ:2024年1月配信開始)
地獄を舞台にしたアンチクリストでエログロ満載の無法極まりない作風だけれど、ミュージカルやMCバトルをはじめとして非常に出来が良い。1話のアダムの曲が強烈!性格の悪いやつほどレスバがうまい!ラップの良さは英語でないと伝わらないので、ミュージカルパートだけでも英語で聞いてみることをおすすめする。 Extermination is Entertainment! (皆殺しは娯楽!)とかこんな最悪の頭韻きいたことがない。
滅茶苦茶な作風だけれど百合描写はかなり穏当かつ出来がよく、主人公のチャーリーが恋人のヴァギーと親密な間柄であることが自然体で描かれる。5話の父親に紹介するシーンもセリフ選びがなかなか良い。ヴァギーの秘密をめぐって喧嘩するところなどストーリー描写にもひかれる。
以上、Discordに文章をいただいたものをそのまま掲載しました。
そのほか、
ソシャゲとして、『学園アイドルマスター』、『トワツガイ』、『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル2 MIRACLE LIVE!』の4作、
コンシューマーゲームとして、『岩倉アリア』、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-(スタリラ)』の2作、
舞台として、『ささやくように恋を唄う』の1作、
以上7作の作品名が挙がったと記憶しています。
また、2024年はドラマが豊作だったこと、R-18では、タチ先生とネダオレ(サークル名)の勢いが凄いこと、あおと響先生のVTuber活動に驚いたことなど、様々な方面で話題が聞かれました。
3.おわりに
ということで、本会会員の皆様から2024年おすすめ百合作品を挙げていただきました。
様々な媒体で様々な百合作品が見られ、百合以外の創作物を自発的に見ようとしない私のような人間にも非常に優しい世界だと感じます(本当にありがたい……)。
また、2025年も、『わたたべ』や『わたなれ』、くずしろ作品など、百合作品のアニメ化が多数決定しているなど、期待が高まりますねという話も出つつ、一年を締めくくる良い機会となりました。
会員の皆さんが積極的に企画に参加してくださり、私自身、学びや共感の嵐だったので、また2025年末もこんな感じで一年の振り返りができればと思います。
最後になりましたが、本年も東京大学百合愛好会をどうぞよろしくお願いいたします。
そして、本会としても、世界に溢れる百合作品の魅力を堪能し、そして、少しでも世に届けられるように、引き続き活動していければと思います。
それでは、ごきげんよう。
文責:しーしー