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コメティック感謝祭 感想
コメティック 感謝祭
はるきの同級生の「コメティックだ 最近すごいもんね」
制作プロデューサーの「でもソロで活動するんでしょ」
世間と業界でのコメティックに対する印象には差があり、はるきはそこを埋めたい、ユニットで活動したいと思っている。がんばっている。
感謝祭にめいっぱい力とアイディアと感情を注ぎ込むはるきは過去の自分をみているようで、だからこそルカはそんなはるきを「みたくねェ」と拒絶する。壊れかけの、が指しているものはなに?
帰りの電車ではるきと羽那がふたり、会話をする場面。コメティックでいたい、コメティックの良さを伝えたい(つまり、表現したい)はるきは「がんばるしかないよね」と言い、羽那も「頑張ろう」と微笑みます。意思の疎通、目指す場所の共鳴。
スタイリストさんへの質問と回答:長い時間をかけ専門の勉強と経験を積んできた人がするような仕事であるスタイリスト。そこに参加しようとする、知識も、経験も浅い自分の考えた衣装。プロに負目や引け目を感じるはるき、というのは【連綿と、桜】のプロのミュージシャンとの対談でも描写されましたが、プロへの敬意、創作者としての経験があるがゆえにリスペクトの深いはるきならではの悩みだと感じました。それを察したスタイリストさんは「アイドルならではの衣装」が作れるかもしれないと励ましますが、はるきの表情は未だ暗いままです。
同様のイベントがルカに対しても起こります。感謝祭について「勝手にすればいい」と不干渉を貫くルカですが、はるきからすれば実力が数段上の表現者、アイドルであるルカにそのような対応をされることは非常に心苦しいものがあるでしょう。それでもめげないのが郁田はるきというかがやかしい魂ですが、それでも、プロデューサーには不安をこぼします。実力も何もかもが中途半端に感じていること。何ができて、何を求められていて。お客さんがみたいコメティックとはどんなものか。考えていたら次第にわからなくなった、というのは、創作やプロジェクトを考える際につきものの悩みではないでしょうか。何ができて、何ができなくて、何が求められているのか。それに惑うはるきはシャニPに「どんなわたしたちがみたいか」を問います。プロデューサーの答えは「はるきたちが、自分たちで、一番見たいと思うコメティックかな」ここでシャニPははるきの「何ができて、何ができなくて、何が求められているのか」という悩みに欠けていた「何がしたいのか」を提示します。それを受けはるきはすこし笑顔をみせ、もう少し考えてみますね……!と前向きさを取り戻す。ここのシャニPの言葉は素晴らしいと思いますが、だからこそルカが「感謝祭なんてやめちまえばいい」と言ったときにもっと、なにか言えたんじゃないかと歯痒く感じてしまいます。
場面は変わり書店でアイドル衣装大全の本をみつける羽那。はるきに任せてばっかりではと、がんばるしかないよね、と言ったはるきを思い出し奮起する姿はきらきら、まぶしい。
その後ルカが音楽プロデューサーにコメティックについて話しかけられます。頑張っているのはわかるが実力差がある。あのふたりでは物足りないのではないか———そう問われ「別に……」と返すルカで終わる今回のコミュ。感謝祭に必死になって取り組んでいる羽那とはるきのすがたを過去の自分に重ね、それゆえに拒絶している描写が丁寧。コメティック感謝祭、めちゃくちゃおもしろいです。おもしろすぎる。先が気になる最高のお話です。
わたしがみたいもの
2の展開の続き、はるきが自分のみたいコメティックとは?とメモに書き、問うところから始まるコミュ。
すこし躊躇いがちに一緒にレッスンしていいかと問うはるきが印象的です。ルカとレッスンするなかで、すこし休憩、はるきはルカのレッスンを見詰めます。そうして、彼女の…… シャニマスが提供してきた「キラキラしたアイドル」とは異なる、「キラキラしたステージでなくとも、痛みと共にある斑鳩ルカは綺麗だ」というアイドルに心震わされます。そうして、1のコミュにあったように、経験の差、ルカちゃんは、そこまで行くのに、いったいどれだけの———と思い馳せますが、ここでルカとの絶対的な差を実感しても尚諦めない、心折れない郁田はるきの魂のかがやきが発揮されます。
「わたし、ルカちゃんの横に立ちたい」
「早く追いつきたいから教えてほしい、たくさんのこと」
「ううん、こうして近くにいるだけでいい」
「目指すものが、すぐそばにいてくれるだけで」
この時点で明確にルカは「はるきの目指す場所」のひとつであることが明示されます。純白のキャンバス、無限の色彩、郁田はるきが惹かれたアイドルが漆黒の斑鳩ルカであること。
そこへ現れた羽那。レッスン室のルカとはるきをみて「ふたりが一緒でうれしい」「あたしも混ぜて?」と恐れも、躊躇いもなく、するりと自らの輪に入れます。これができる純真が鈴木羽那。いや僕は彼女のことをあまりよく知らないのですが、しかしこのシーンはとても印象的です。表現活動の経験があるがゆえに引け目を感じてしまうはるきと、恐らくはそれがないために微笑んで自らを投入できる羽那。あらためて羽那とはるきはよいコンビです。存在のバランスがいい。
そうして、揃った3人をみて———ちいさな、つぶやくような声で、見えた、と。はるきの、一番見たいコメティックが、見えた。
不釣り合でも
緋田美琴!!!!!!!!!!!
コミュの細かい内容は読んでください。
ただ、たしかなことは、かつて緋田美琴に追いつこうとわらっていた、がんばることを楽しんでいた自分のすがたを、斑鳩ルカは郁田はるきと鈴木羽那に見出したということです。まだまだ追いつかない。美琴には/ルカには、私は/わたしたちは不釣り合だけど、それでも。それでも、たのしい。追いつきたいと思える存在が横にいること。近くにいることが、ただただ嬉しかった、あの頃。斑鳩ルカにとっての緋田美琴に、いま、コメティックは、コメティックの在り方が整いました。素敵な衣装よりも、豪華な演出よりも。斑鳩ルカに並び立てる自分でありたいと奮起するふたり。この熱を受けルカがどう変化するのか/しないのか、とてもたのしみです。
ライブステージ前、問題あるか?と、プロデューサーがルカに問う。それに対するルカの返答が、そのプロフェッショナルと投げやりと諦観、たしかな実力ゆえに可能な発言がとてもすきです。問題なんか、いくらでも起こる。そんなもん、あろうがなかろうが、ただ、やるだけ。綺麗だろうが、汚れてようが、私はただ……叫ぶだけ———……
さて全体コミュで「円陣とか、しないの?」と言える羽那は流石です。ルカも誘いますが、常の通りに勝手にしろよ。と返され、それに気を悪くした様子もなく了承を返す羽那。勝手に、と言ったからルカを勝手に円陣に巻き込むんじゃ……とも思いましたがそれはなく、結果巻き込まれたのはプロデューサーでした。
感謝祭MVP
MVPを知らされ、あの、と、やはりすこし物怖じしながら、はるきはルカに「ありがとう」を伝えます。そうして羽那はルカとはるきに、はるきは羽那に。お客さんやスタッフだけでなく、ユニットメンバーにも「ありがとう」を伝えあうすがたはまさに感謝祭でした。
コメティックというユニットの軸はルカでありはるきであり、ルカはパフォーマンスでの発信を、はるきは言葉での発信を。MCではるきは問いかけをします。
「今日のステージを見て、どんなふうに思いましたか?」
誰かの心を震わせたい、世界の色を、わたしの色で。そんな気持ちを持つはるきから発された問いかけ。コメティックというユニットの描く色を伝えられたら、とはるきは続けます。この言葉に詰まっているであろう、切実なまでの想い。表現の手段に悩んでいたなかでアイドルと出逢った。勘、ではじめたそれは、歌やダンスの技量がなかなか表現したいものに追いつかない。それでも、斑鳩ルカの横に立ちたい。彼女に負けないパフォーマンスをしてかがやきたい。葛藤し、それでも進んできたはるきの、伝えられたらうれしいです。という言葉で締め括られるMVPコミュ。素晴らしかったです。
感謝祭END
コメティックのライブについて度々「熱狂」という言葉が用いられるのは今後に繋がるのでしょうか。決意新たにする羽那とはるき。ネクストステージの次、と言える羽那のしろいかがやきが素晴らしい。
そしてルカのSNS投稿と、コメティックの斑鳩ルカを称賛するSNSの声。知らないまま、知らない景色に辿り着いたルカの今後がたのしみです。
総括
コメティック感謝祭、個人的には傑作アンティーカ感謝祭に並ぶおもしろさでした。たのしかったです。ありがとうアイドルマスターシャイニーカラーズ。