新旧“朝ドラ女優”と「マインド論」を語る【さりしの間】
居酒屋の女将は珍しく気分が高揚していた。
「朝ドラ」ことNHK連続テレビ小説の新作『おむすび』でヒロイン役を務める橋本環奈。
今では女優として数々のドラマや映画で活躍するが、ブレイクのきっかけはアイドル時代にネットで拡散された「奇跡の一枚」だった。
目はパッチリとして大きく、しかも瞳は薄い茶色をしている。吸い込まれそうな魅力があり「目力がすごい」と評されるのもわかる。
橋本環奈と一緒にやって来たのは元AKB48の川栄李奈。彼女もまたアイドルから女優に転身して成功を収めた一人と言えるだろう。
NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(2016年)にレギュラー出演すれば、『カムカムエヴリバディ』(2021年)ではヒロイン役に選ばれた。
しかも同年には大河ドラマ『青天を衝け』で主人公・徳川慶喜の正室役を演じた。“朝ドラ女優”であり“大河女優”でもある。
女将は毎朝、開店前の準備をしながら8時40分から9時まではテレビから目が離せない。その朝ドラの歴代ヒロイン役が二人揃ってやって来たから大変だ。
「さりしの間にはいつも可愛い女の子ばかり来るけど。まさかねぇ。川栄さんと橋本環奈ちゃんが目の前にいるなんて」
頭の中でそんなことを思いながら、先客に声を掛けた。
「お連れの方がいらっしゃいましたよぉっ」
「やだおばさーん、なんだか声がうわずってなーい」
聞き慣れた声で冷やかすように返ってきた。
照れ笑いする女将を気遣うかのごとく、橋本環奈が元気に挨拶した。
「指原さん、お久しぶりですー」
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