「彼岸花」と「曼珠沙華」歌でひもとく“心象”|黒木渚や山口百恵、たま
彼岸花って秋のお彼岸が近くなると花を咲かせるから不思議。自然のなせる技というところでしょうか。
曼珠沙華と彼岸花
👩🎓 地域によって「彼岸花」(ひがんばな)と呼ぶ場合と「曼珠沙華」(まんじゅしゃげ・まんじゅしゃか)と呼ぶ場合があります。
一説によるとほかに数百から数千種類もの呼び方があるらしいですよ。
👨🎓 曼珠沙華は「赤い花」を表わすサンスクリット語が由来とされます。
お釈迦様が法華経を説いた際、それを祝うかのごとく天から降った花の一つが曼珠沙華だったそう。そのため「天上の花」の意味も持っています。
彼岸花は秋彼岸の頃に花が咲くことからそう呼ばれているというのが通説です。
👩🎓 また彼岸花には強い毒性があるため食べると命に関わります。それで「死」「あの世」を表わす彼岸を用いたという説も。
彼岸花・曼珠沙華以外にも「死人花」(しびとばな)、「地獄花」(じごくばな)、「幽霊花」(ゆうれいばな)、「毒花」(どくばな)、痺れ花(しびればな)などと呼ぶ地域もあります。
「彼岸花」を歌詞やタイトルに用いた歌
森昌子はシングル曲『彼岸花』(作詞:阿久悠 作曲:出門英 1978年)を「第29回NHK紅白歌合戦」で歌いました。
思い人を待ちわびる女心を、秋彼岸に咲く「彼岸花」にたとえた寂しい歌です。
シンガーソングライターで小説家の黒木渚は『彼岸花』(2019年、アルバム『檸檬の棘』収録)を歌っていますが、歌詞に花の名前は出てきません。
しかし「丸く太った球根」や「来年もまた会おう」といったフレーズが彼岸花を暗示しています。
「曼珠沙華」を歌詞やタイトルに用いた歌
山口百恵が歌った『曼珠沙華』(作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童)は、収録されたアルバム「二十歳の記念碑 曼珠沙華」(1978年)のタイトルにもなっています。
彼女が「あなたの前で 女でありたい」と語りかけるようにはじまる歌は、恋する女の心情を曼珠沙華(まんじゅしゃか)に重ねているのでしょう。
最後はバンド・たまの楽曲『オゾンのダンス』(1990年)。
たまと言えば、かつて深夜のオーディション番組『三宅裕司のいかすバンド天国』で14代目イカ天キングとなり人気を博しました。
一世風靡した大ヒット曲『さよなら人類』は誰しも耳にしたことがあると思います。
『オゾンのダンス』は軽快なポップナンバーで「オゾン」や「地球と月」という壮大な世界観の中で男女の関係を歌っているようにも解釈できます。
オリジナルの歌詞では「あのこの曼珠沙華」と歌っていますが、YouTube公式チャンネルに公開したテイクでは「あのこのマントヒヒ」に変えています。
まとめ
以上、4曲について考察してみました。
「彼岸花」を歌った場合は、1年のうち秋彼岸に決まって咲く花という特徴を捉えているようです。
一方で「曼珠沙華」は秋彼岸という特徴よりも「女心」「女性」にたとえた歌が多いように思えました。
秋彼岸の短い期間、彼岸花を見かけたら歌を思い出しながら愛でてみてはいかがでしょう。