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傷に敏感な子

ピアノの先生にあるまじきことだが私の指は、生傷が絶えない。
草を刈るのについうっかり手袋をしないで、のこ鎌でガリガリやっていて
そういう、ついうっかり、っていう時に限って、
自分ののこ鎌で、自分の指を傷つけてしまう。

そうやって傷ついた
右手の人差し指側面(左手に道具を持っていたから)には
のこの歯の幅のいく筋もの小さな引っ掻き傷がついていた。

ろくに人の話を聞かないで
ワーワー言っていた女の子が
突然にそのトーンを落として
「どうしたの?その傷」
と、神妙になったので、
あれ?っと思った。

マイペースで、レッスンに集中させるのが難しい子なんだけれども
信頼関係だけは良いと思う。
いつも、どうやったらこの子のペースに巻き込まれないようにするか
で、こっちは頭を悩ますが、
本人は気にすることもなく、いつもニコニコで帰っていく。
もう少し人の話を聞いてくれたらもっとちゃんと教えられるのにな
と思う。

「ねえ、どうしたの?」
と何度も聞いてくるので
のこ鎌で切った話をすると
ふーん・・・
という感じで、それでこの話は終わり。

前にも一人いたな。
私が小さな傷を作ってくると
必ずみつける子。
でも、その二人だけで、
大抵は、自分のピアノで精一杯だから
先生の指なんか気にしないし、
もし気がついていても、それで話しかけたりしない。

あれは、気遣いなのか、
気が散っているのか。

ピアノレッスンをしている立場からすると
そうやってまた脱線させるけど
そのてには乗らない。
みたいな路線で接してしまうこともあるけれども、
そんな頑なさは、ちょっと大人気ないなと思う。

人の痛みに気づく。
それを気遣う。

それができるって、すごいなと思う。




愛媛の片田舎でがんばってます。いつかまた、東京やどこかの街でワークショップできる日のために、とっておきます。その日が楽しみです!