音楽を描く’日々の記録(ヘンデルのサラバンド)
utena music fieldでは、”音楽の点のところじゃなくて点から点の間のプロセス”を伝え合うツールとしてutena drawingというのをやっています。その記録。
場面
大人のピアノレッスンでの活用です。
まだ譜読みの段階のヘラー作曲のサラバンド。
目的
譜読み自体には苦労しない方なので、譜読み段階から、音楽の柔らかい感じなんかも受け止めながらできたほうが、むしろ早く曲調をつかめるだろうと判断して、流れを掴みながらこの曲のリズミカルさと柔軟性の両方が伝わるようにドローイングしてみました。
譜読みの苦手な人には、もちろ全然ちがったアプローチになるでしょうね。
大事なのは今その人にとって、どんな情報が加わったら楽しく練習できるか、であって、正解を押し付けるものではありません。
観察・感想など
普段はピアノレッスンが主体の生徒さん、なので、ドローイングはたまに必要性ができたらやってみます。
なので、このかた十分にドローイングに馴染んでいるわけではありません。このときも描き始めは、私の導線をなぞるようにして最初はうまく音楽との連動がつかめないようでしたが、少しアプローチを加えると、すぐにやっていることを理解され、そのあとは、口ずさみながら楽しそうにクレヨンを動かしていました。
どう?と尋ねると、二回うなずいて、にっこり。
言葉で伝わらないものが伝わった合図。
全体の俯瞰ができたのと、メロディの流れやリズムパターンの持っていきかたなどが明確になったので、演奏も変わってきました。
譜読み、って、間違わないようにやる、というのと、「どんな曲なのかな」とふわっとやるのとでは、違ってて、間違わないようにと頑張ってしまうと、自分の癖でつっかえちゃったりします。そのいい練習になったかな。ただ、譜読み段階でドローイングすることは、危険性もあり。ただでさえ情報の整理に忙しい譜読みなのに、その上に流れまで掴め、なんてちょっと大変。生徒さんにとって今やっている曲はいっぱいいっぱいなのか余裕があるのか、とか、ドローイングで得る情報がこの曲をやっていく段階で今必要なのか、そんなことも判断しながら提示します。
楽曲について
サラバンドは、バロック時代の舞曲。
アルマンド・クーラント・ジーグとともに、組曲になっているものが多い。
元は奔放な急速な曲だったそうですが、宮廷舞曲として優雅な3拍子の曲として今に伝わっています。サティやドビュッシーなどもサラバンドという名前で作曲していて、こっちのほうが一般的には有名かもしれませんね。ゆったり感がとにかく心地よいです。
ここで取り上げたヘンデルのサラバンドは{ハープシコード組曲第1集}に収められているもの。