風を纏う
2年生が5人。
女の子ばかりなのだけど、この学年の子たちはボーイッシュな性格の子が多くて、個性的でにぎやか。
今回のグループワークは9月のリトルコンサートも射程に入っていて、なにか、普段できない音楽の体験をさせてあげられたらいいなと考えていました。とはいえ、練習の場所はこの音楽室。
音楽室は隣の和室まで広げるとまあまあの広さにはなるのだけど、それでも、やっぱり歌は大きな声では歌えないし、笛も気になって扱えない。人数がもう少し少なければ連弾もよいかとおもったけれど、なにかちょっといい案に結びつかない。
というので、ふと、もう20年ほど前に購入したシルクオーガンジーの布があったのを思い出して、出してきてみました。
ソルフェージュのワークでリズム作りを体験した後に、一人ひとりの背中に安全ピンでシルクのショールを羽のようにつけて、手で端っこをもってもらう
あれ?と思う間にがやがやしていた子どもたちの様子が変わってきました。
布をふわふわさせて眺めながら、もうそこにいるは、5羽のちょうちょたち。
ちょっと歩いてみる。
布がしぼんだままついてくる。
「自分が歩くんじゃなくて、布に風を入れながらね。それから少し腕も動かしてみようか。」
子どもたちは真剣。
目的はダンスではなくて、音楽を纏うこと。
少し説明をして実演してみると、すぐに羽ばたきの練習を始めていました。
輪になってしようか。
良い反応。なぜか定位置があるらしく、すぐに輪ができました。
さあ、ここから輪になって動くからね、静かに。
とこえをかけたら、あらま、あんなにかしましいちょうちょたちが途端に真剣なかおになりました。(コロナに対して真剣に向き合っているこどもたちは毎回ほんとに偉いなあと思います。)
普段ドローイングをしてきてる子達は、あっという間にこの世界観を受け入れて誰一人、文句を言う子も、戸惑ったりふざけたりする子もなくて、そこにゆらゆらと輪が動いていく。
乾いた土に水が染み込みように、といえばよいのか。
子どもたちはこれを待っていたのでは、と思うくらいで。
それに応えられた私の嬉しさ。
そうか、そもそもが私は音楽が生まれる場所にとても惹かれてきて、ここにたどり着いています。9月のコンサートもためらうことなく、そこを生徒たちと共有したい、なんか、それがすべて自然な流れのような気がしてきました。
だとしたら、この布が最適解だったとしたら、キチンとその目的に叶うところまで子どもたちと探求していってみよう。
・・・
子どもたちに、この布は随分古くなってきたから、新調しても良いね。
せっかくだから、色がついた布を探してみるかね。
とつぶやいたのを一人の子が覚えていて
ねえ、色付きのいつ来るの?
と。
予算度外視してもかなえてあげたいなあ。
愛媛の片田舎でがんばってます。いつかまた、東京やどこかの街でワークショップできる日のために、とっておきます。その日が楽しみです!