音楽室のテキスト二冊目ができた!
多分すくなくとも6年は使ってきた自前のピアノテキストを、今回生徒でもありバイトもお願いしているS君の助けを借りながら、製本することができました。
うちの音楽室は、生徒さんの感覚や実感と理論が結びつくような音楽フィールドを構築していくことをだいじにしているので、どうしても市販のテキストでは埋められないところがあり、それで自前で作ってきています。
ピアノ練習帖Ⅱの紹介
だいじにしているのはこういうことです。
音楽的であること
当然ながら、音楽として成り立っていること。それは、メロディの自然さが弾きやすさと一致していること。ショパンの楽曲は本当に流れ始めるとほぼなんの力もいらないナチュラルな動きになりますよね。それは、ピアノと言う楽器とそれを奏でる身体が楽曲のなかに入り込んで生きているからだと思うのです。そんなふうな楽曲で子どもたちも楽しんでほしいということ、楽しみながらピアノを弾く身体をみにつけていってほしいということがありました。
それから、いわゆる「こどもだから」的な発想で「子供っぽい」ものを提供するのは許せん、と思っているので、音楽の「詩的」なものも大事にしています。なので、一曲一曲の個性が立っていると思います。お勉強のためだけのピアノなんで絶対つまらん。本当に子どものために書きたかった。絵のない絵本みたいにね、ということなので当然絵はありません。
右手だけの曲や左手だけの曲もあります。
保護者さんいわく、「みかさんのテキストはスリリングですてき」なんだそうです。
なんて嬉しい評価!
理論からつくっていかない。でも理論が入っていく、ということ
体験というものが素朴なシンプルなところにあって、そこに働きかける順番があるなと気がついてから作り始めたシリーズです。そうしないと、理論というのが、平面的知識以上のものになっていかない、今までの反省にたちながら。
ピアノを弾く身体にしていく
サブドミナントドミナントへのアプローチ
身体的にも身についていく順番があると気が付きました。
それを考慮したときに、ドレミファソ と5指をマスターした次に動いていくのは親指と人差し指の間を無理なく開いていくこと・・そうすると、ドレミファソラシド、と一オクターブに進むのでも、ソラシドレと調をかえるのでもなく、ドミナントとしてのドの下のシ、サブドミナントの ラ、に入っていくほうが自然な動きになっていきます。図らずも、この親指を開くことと、音楽機能の理解が一致している、ということをうまく使えていると思います。我ながら良く出来てる。
ヘ音記号への苦手意識をできるだけ早く取り払う
ピアノ譜が読めない、というのはおおかたヘ音記号が読めない、ということ。どうしてヘ音記号の音符が読めないのか、を、観察し、解析し、物理的に覚え込むのではなく、体感のミスマッチング(これはほぼ必ず起きてしまう)を修正していく方向でつくりました。
まんべんなく、いろんな理論への接続可能なように
ハーモニー感覚・リズム感覚・メロディ感覚・・それに対する意識がそだっていくこと、愛着が湧くことが先への道筋をつけやすくなっていきます。なにかに特化しないで、まんべんなく、ということにも気をつけています。
楽曲数はおおいとはいえませんが、この時期としては十分だと思います。
最後まで行ったらもう一回やってみるのもいいかもしれません。いや、ぜったいそれいいな、やってみよう。絶対楽しい。
あと、今回は白紙の五線紙を多く差し入れています。
ちょっと思いついたときの説明にいちいち五線紙を出してくるのは面倒だし、そこに残っていくことで、あとから見返すときも良いし、写譜もどんどんやっていってもらうつもりです。
テキスト作成について
このテキストは、じつは生徒さんにとっては3冊めになります。
幼児さんとあそぶ「おとえほん」
それから「ピアノ練習帖Ⅰ」となる「うたとぴあののほん」
がその前にありますが、これはこれから作成を考えていきたいです。夏までには完成させたい。
音楽リテラシーワークブックもあります。
そして、野望としては、これらの続きをもう一段階進めていきたい。今の所市販のテキストで甘んじていますが、どうしても、必要になってきているのです。utena drawing をはじめてみてわかった「正しい理解」は「体験から」育てていく、という方向。せっかく始めたのだし、生徒たちは本当に音楽を身近に感じてくれていて、それに答えたいという思い。
発達障害のタイプの生徒さんにも実に丁寧に作ってあるし、筋道が飛んだりしていないので、きちんと教えてあげられると思います。というか、そういう生徒さんから学んできたことがたくさんあってそれを生かしてあります。
当然、このテキストも「音楽プロセス体験」が前提になっています。utena drawingと一緒で、そのやりかたを活かすためのテキストです。
作成は、製本直送、というところにおねがいしたのですが、一冊から製本してもらえるというのがとてもありがたいです。
もう少し使ってみて、できれば一般にも売れるものにしていきたいと思っています。