楽器と身体と音楽イメージの偏り
12月12日から14日と短期間でしたが、東京へ行ってきました。
今回の個人ワークで持ってこられた楽器はギター、フルート、ヴァイオリン、声楽など。
私がやっている楽器はピアノなのですが、個人ワークを受ける方がやっている楽器は様々。
みんな発音原理が違っていて、使う身体も、楽器の特性も違います。
そして、案外、それに縛られてしまって、音楽のイメージが限定されてしまっていることも多いようです。
これは、東京に行くようになって、いろんな楽器奏者(プロ・アマ関係なく)の方の演奏や悩みを聞いてきてわかってきたこと。
今まで出会ってきた楽器は、他に、ドラム、サックス、尺八、プサルティウム、やケルトハープなどもありました。
随分前の話になるのですがすごく印象に残っている個人ワークがあって
依頼が レッドツェッペリンのドラム奏者、ジョン・ボーナムのたった1小節の音源を持ってきて
これを描いて解明できないだろうか?と。
めちゃめちゃ面白かったなあ。拍の表情の豊かさに気が付かされた。
また、
尺八で「萌春」の中の収縮したところから解放されたメロディを体感で捉える、ということをやったこともあります。個人ワークはその人の問いがはっきりしていればしているほど精度が上がる気がします。
その時どきに発見したことがたくさんあって、今に生きて、それの蓄積があるから
音楽体験としての普遍性と、楽器ごとの偏りが見えてくるようになった、
ということもあります。
今回も面白かったです!
ギター
オンラインの日々の基礎をひと月覗きにきた方が、その時やっていた音階(スケール)のワークを見て、このワークをちゃんと受けてみたい、と。
ご自身はギターなんだけど、ギターって、コードから入るからこのスケール感が身につきにくいようです。
5本の弦に音の高さが分かれて配置していて、そのポジションを、直感的に掴みたいとのこと。
ヴァイオリン
ヴァイオリンコンチェルトの一節をしたのですが、ヴァイオリンの楽曲のメロディって音の伸び縮みが大きいなと思いました。これはヴァイオリンの特性、伸びる音がしなやかであること、や結構激しい音の上下が可能であることがあると思います。
そのリズムの伸び縮みに体感がついていかないと、うまく乗れなかったりするかもしれません。
楽譜がちゃんとその拍子に見えていることも大事なのですが、それが理屈としてではなくて、体感で掴んでいくことで、その伸び縮みをノリで掴んでいけると思います。テクニックの練習はそれから。曲の持っているイメージががわかっていればそのイメージに向かって練習を重ねていけばいい。
声楽
クラシックの声楽は、アウトプット感が大きくて、音量も大きいから、意図せずにピッチが微妙にずれてしまう、というパターン、よくあるように思います。個人ワークはオンラインと対面両方で続けてきていて、
すごく安定してきたなと思いました。
まとめ
扱っている楽器によって、その原理の違いと、使っている身体の場所によって、聞いている音楽のバランスやフェーズが微妙に違っていて、それが癖になってしまうということ。
それから、楽器特有の音楽の性質。
でも、音楽と自分の間にあるその楽器による隔たりは、楽器によらず、自分自身との向き合い方だなとも思います。
自分がやったことのない楽器をドローイングで体験してみる、なんてことも面白いかも。
私自身もこうやっていろんな楽器に触れさせてもらうことによって、その根底にある共通した音楽の源泉を辿ることができているのだと思います。