自信満々の社長面接でフルボッコにされ編み出した必勝法とその後
この時期に人事ネタを書いても…と思ってましたが、書いちゃいます。
2008年の話。外資からヤフーへの転職に馴染まず転職活動をすることになった32歳の話。
当時の私は、検索広告を生んだOvertureという会社のほぼ初期メンバー(社員番号34)で、これだけ成長した企業にいたんだから引く手あまたでしょ!という確信を持ち、とにかく自信に溢れかえっていた。
面接をしてくれた現サイバーエージェント執行役員に言われたこと
その勢いのまま強気で活動を始めた。大本命だったのは当時成長企業の1つとして名を上げていたサイバーエージェントグループのSEO企業として作られたCAテクノロジー。
募集は幹部候補。面接は社長面接1回だけ。
もちろん、書類はOvertureパワーもあり通過し、一次が最終の社長面接に臨んだ。6年ぶりの面接だ。
自身満々で来たものの、凄く体育会系な社員たちの挨拶と石井社長(当時。現サイバーエージェント執行役員)自身もデキる感半端ないのでガチガチになったのは覚えている。
紋切型の挨拶を終え、聞かれたのはいくつかの検索数の話。私の経歴を考えれば至極当然。ざっくり再現するとこんな感じ。
社長「不動産の検索数ってどれくらい」
私「それは…社外秘なので言えません」
社長「そうか…じゃあ、不動産系の検索の割合ってどれくらいなの?それなら言えるでしょ?」
私「……」
社長「じゃあ不動産系の検索って最近伸びてるの?」
私「伸びていると思います」
社長「どれくらい?」
私「…(検索自体が)全体的に伸びているので…」
社長「全体と比べて不動産は伸びてるの?伸びてないの?」
私「広告は伸びていると思います」
社長「そうなんだ。検索数は?」
私「……」
社長「Overtureって(履歴書に)書いてあったから聞きたかったのに。どんなことだったら言えるの?何か教えてよ」
その後、検索広告について月並みな回答をした記憶はおぼろげにあるが恥ずかさと悔しさの記憶で覆われてしまっている…このやり取りは12年前のものだけど鮮明に覚えている。
もちろん、結果は不採用。フルボッコ。完敗だ。
この面接で自分の市場価値を自覚させられた。
小学生の頃からそろばんをやって数字には強いと思っていたのに数字で打ちのめされたのもトラウマ級にショックだった。歴史的な成長企業にいた経験というのはほとんど無価値だったのだと悟らされた。
外から見た価値は思ってる以上にない
そこからこんなことは実行した。
1.関わった事業のKPIを覚え、毎日見る
2.関わった事業の興味本位で調べた数字も覚える
3.変化や異変にいち早く感づく
などなど
でもこれをやっていたって外から見た価値は思っている以上に無い。
自分でもよくわかっていたので転職活動は記念受験の「ジャパネットたかたのMC候補募集」くらいで、Yahoo! 一筋に固執していた。これから書く必勝法に行きついたので。
実現すればだれでもうまくいく必勝法
別に特異な能力は求められていない。凡人なら凡人らしく、10人に1人できることをいくつ重ねられるか?これだけでまず勝ち筋は見つけられる。
面白いことを言う(上位10%)
数字に強い(上位10%)
反応速度が上位1割(上位10%)
アツい(上位10%)
プレゼンで緊張しない(上位5%以内)
全部自分調べだし自惚れもあるんだけど、これ全部掛け合わせると、
すべて持ちわせている確率は
0.005%
となる。これ全部が必要とされる、評価される世界にいれば、かなり優秀だ。仮に、この能力だけで評価される世界(だとしたら全然仕事が回らなそうだけどw)に10万人いれば、上位5人に入れる力だ。この世界があれば私はヒーローだ。
さらに、この能力に知識を掛け合わせていって独自性を高めることも可能だ。
コンテンツマーケの知識(上位20%、当時)
ネット広告の知識(上位50%)
私は座学が苦手なので、知識に関しては上位半数以上に入っておけばいいくらいだと思っている、が、これも必要な世界であれば一層飛び抜けた存在になれる。
もうお気づきだと思うけど、この論理は、ほとんどの皆さんにも当てはまる。入る項目が違うだけだ。
あとは、見つけた勝ち筋を活かすため、
この能力を必要としている世界にいること
となる。
なので重要視すべきは自分の能力を把握し、その能力が求められている環境にいること、になる。
能力を磨かなくても結構勝ち続けられる。ただ、この環境が見つからないと他の能力で勝負しなければならなくなる。さっきの能力が1つも使えず、使わずに錆びた下位10%の能力2つが重要視されるような世界に入ってしまったら、私は間違いなく落ちこぼれになる。みなさんも、だ。
そんな契機が私は2018年に訪れた(転職エントリー参照)。
その世界が見つからないときにすること
勝てる世界が見つからない、あるいは見つからなくなった時のためにすることと言えば、自分にない能力を磨いて、下位に入る能力をできるだけ減らすことだ。ちょっと前の自分が置かれていた環境はまさにこれだった。
凡人なら1つの強い武器を作ろうなんて思っちゃいけない。
強いポートフォリオを作ることが重要だ。
これらはいずれも下位にいた能力たちだ。
BtoCマーケティングの考え方
契約書を読み解く力
エクセルでマクロを組んで格闘する能力
スマートフォン決済の知識
景品表示法の知識
小売業界の商習慣
話をまとめる力
最後の「話をまとめる力」なんで自分を知っている人なら間違いなく下位5%に入ると評価されるような項目だ。
これをまずは半分くらいまでを目標に引き上げていく。半分までいけば苦手ではなくなる。話をまとめる以外は順調だ。
こうしておけばこれまでの強い武器のどれかとの組み合わせが生じたときに上位に行くことができる。あるいはこの半分まで磨きこんだうちの1つや2つは上位10%までいくかもしれない。
あるいは、また違う環境下で働いたときに下位にいっちゃう要素が減って
「詰みのサイクルに入ってしまうこと」が避けられる。
詰みのサイクルに入らない
評価の世界で詰んじゃっている人をマネジメントでよく見てきた。
どうやっても、下位になってしまう人。何か1つだけ大問題があるわけではない。もう、何か問題があるわけではないけど、総合的に下位。そういう人が下位を構成し、ゲームチェンジ(転職)もできない人が多いので、下位の常連となってしまう。きっかけもなくずっと下位…病んでしまう人もいる。
当人に致命的な問題が無いケースがほとんどなのに下位…
あそこに自分がいったらどうなるんだろう…って考えようとしても思考停止してしまうくらい怖い世界だ。でもいる、確実に。
そうならないために…
詰まないように頑張る!苦手なこともする!能力も磨く。凡人の戦い方だとつくづく思う。サラリーマンの戦い方だ。
でも下位がずっと続く恐怖は私のメンタルでは払拭できる気がしない。
だから、詰む前にあがく、詰んでないけど詰んだ時くらいにいつもあがく、走り続ける。
一芸で戦えるファイターは大いにその能力を磨きこんでOnly1になって先頭になって日本を世界を引っ張ってもらいたい。そういう人がいるおかげでこんなセコい戦い方が通じる。
羨ましいけど、勝てないフィールドにこだわり過ぎると負けが膨らむ。ギャンブルでよくわかっている。
これがイキった若造が面接でフルボッコされて、12年後の自身の戦い方だ。
できないことをやる、苦手なことをやる、難易度の低い成長の仕方だ。
でも、勝てる環境にいる時の成長している感とは違う、本当の成長実感が得られるはず。
ここまで読んでいただいた方にとって、1つでも2つでも新たなチャレンジに繋がる話になっていれば幸いです。ではまた!