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第120話 新築戸建賃貸のハードルが上昇 建築基準法の改定 20241205

昨今、不動産投資の参入障壁が高くなっている。

・物価高による人件費・材料費の高騰
・火災保険改変による保険料の高騰と保証内容の見直し(特に築古物件)
・仲介手数料の上限アップ
・金利の上昇(短期プライムレート)
・地価の上昇に伴う物件価格の上昇
・金融機関の貸し渋り

これらの事象があげられる。

ここにきて、さらに参入障壁が高くなる。
対象は新築戸建賃貸である。

2025年4月から適応される建築基準法の4号特例の改定が理由である。
4号特例が縮小されるのだ。

4号特例の対象となる建築物の条件は次のとおりである。
木造の建築物、階数2以下、延べ面積500㎡以下、高さ13メートル以下、 軒の高さが9メートル以下。

これまで4号特例が適応される建築物では、必要な申請書類が少なく審査期間が短かった。
4号特例が導入されたのは、1983年である。

当時、日本は高度経済成長期を迎えており、経済成長に伴って住宅の着工件数が急増した。
その結果、建築確認や審査を担当する人員が不足し、対応が追い付かなくなる事態が発生したため、
このような状況を緩和するために、4号特例が導入されたのだ。

しかし、2025年4月からこの4号特例が縮小される。

これまでの4号特例に該当していた木造2階建て、または木造平屋建てであるが、これに対して、以下の新分類が定義され提出しなければならない図書が増える。

分類:新2号建物
対象:木造2階建て、木造平屋建て(延べ床面積200m2超)
追加される図書:構造関係規定等の図書、省エネ関連の図書

わたくしはこれを見たとき、こう思った。

関西の方はよくしっているだろう。
吉本新喜劇のスター茂造じいさんのギャグである。
わたくしは転勤先の広島でこのギャグを披露したとき、盛大にすべった。
広島では新喜劇が放送されないのだ(正確には深夜帯で放送するときもあるらしい)。
わたくしが失った自尊心は計り知れない。

上記のように、これまで省略できた構造関係の図面と省エネ関連の図面提出が義務付けられている。
新築マイホームをハウスメーカーや工務店で建てる一般顧客の影響は少ないだろう。

なぜならば、住宅ローン減税を受けるためには省エネ等級を取得する必要があり、これまで構造や省エネ関連の図書は作成しているはずだ。
多少、図書作成の労力が増す、建築確認申請で時間がかかるなどはあるかもしれないが、軽度だろう。

しかし、我々投資家は大打撃である。
とくに新得戸建を主戦場にしようと思っていたわたくしは特にである。

なぜならば、これまで賃貸用の新築戸建は住宅ローン減税を受けることができないため(所有者が居住しないため)、省エネ等級を取得する必要がなかった。
が、省エネ基準適合の取得が義務となってしまうのだ。

※省エネ基準適合住宅、国が定めた最低限の基準、断熱等性能等級4以上、一次エネルギー消費量等級4以上の住宅です。

ということはわたくしの場合、今後省エネ基準適合ために、断熱性能の向上、床材の2重張りなどを追加対応しなければならない。
恐らくいままの建築費用+50~100万ほどするかもしれない。

オー ジーザス(Oh Jesus)。

2回目の

ただでさえ、物価高騰の煽りを受けて建築費用も高額化しているところに、この改定である。
うまく家賃に転嫁できればよいが、そうそううまくいくとも思えない。
利回り低下は必然である。

この心境を敬愛する森見登美彦氏のオマージュとして表現したい。

新築戸建賃貸で資産規模を拡大するという夢は、「省エネ基準適合義務化」という妖怪にあっさり飲み込まれた。
断熱材だの二重窓だの、設計士は涼しい顔で言うが、私の財布には氷点下の冷気が吹き荒れるばかりだ。
未来の入居者は快適だろう。
しかし、その快適さは、私の血と汗と涙の三重断熱でできていることを、彼らは知らない。
責任者に問いただす必要がある。
責任者はどこか。

森見登美彦氏がお好きな方は、
サブカル好きやオタク文化への教養の高い人が多いと思う。
陰キャにおすすめである。
リア充や陽キャはみるべからずだ。

賢い読者は気づいただろう。
この改定で対象外もあるのだ。

それは、延べ床面積200m2以下の平屋である。
新築平屋賃貸を今後するかもしれない。

しかし、平屋は2階建ての戸建に対して、建築単価が割高で、土地の有効活用という点でもいまいちである。
今後の試行錯誤が必要だ。

お上たちは、省エネの物件が増えてよろしかろうと、たかをくくっている。
だが、上述したように賃貸で言えば建築費が上昇した分、床面積縮小したり、グレードの低い建材を使わざる得なくなるだろう。
そうすると、割を食うのは入居者様だ。

下郎であるわたくしは、お上のすることがわかりませぬ。

なお、アパートは1号建築物に分類され、今回の改定とは無関係である。

おわり。

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