遠くからみていたチバユウスケ
今日で浅草演芸ホール3日目。
明日から地方なので2日間休演。
今年最後の寄席出演。
3日間晴天の中、浅草まで通わせてもらった。
浅草までの行き帰り、
ずっとTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTと
The Birthdayを聴いていた。
イマイくんが在籍時のThe Birthday、
またTHE GOLDEN WET FINGERSのライブに
何度か招待してもらい、
楽屋にも顔を出したのだが、
チバユウスケのオーラがすごく、
さながらロックンロールの帝王といった
佇まいだった。
カッコよすぎて近づけない、
いや、近づいちゃいけない、
怖すぎて。カッコよすぎて。
メンバーもあまりそばに寄らない。
だが、ギスギスした空気ではなく、
ボスをそっとしておいてやろう、
そんな雰囲気だろうか。
イマイくんなどは、部屋に入らず
ずっと外の廊下で
軽口を叩いていたほどだ。
だが、あのとき
ビールを飲みながら、
時折見せたチバ氏の寂しそうな横顔が
今も記憶に残っている。
きっと彼は、パンク、ガレージ、
パブロックを自己なりに
解釈し、表現し、
世に送り出してトップを獲り
唯一無二の存在となった矜持と
そうなることで生じた
孤高の苦悩を抱え込んでいるんだろうな、
なんとなくその時は、
そう思っていた。
チバ氏の訃報を知り、
この3日間、ずっと聴き込んでいる。
ヒリヒリするような
性急なビートの切迫感、
深く染み入るようなバラードの
叙情的な世界観。
熱く激しく聴き手を煽るのに、
どこかクールで冷めている目。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANTが
若さの苦悩と快楽、
それらの情熱をぶつけた表現だとすれば、
The Birthdayでは、
老いにさしかかっていく熟成ぶりを
これからも見せつけてほしかった。
病魔に打ち勝って
シーンに戻り、
酒と煙草を断った
チバ氏の世界観がどう変わるのか
どんな作品になっていくのか、
それも見届けたかった。
断つわけねえだろ、ガソリンだぜ。
紫煙をくゆらせ、
バーボンとビールの匂いを
まき散らし、チバ氏はそう
うそぶくだろうか。
ああ、貫いたんだなと思った瞬間、
涙がこぼれそう、がイヤフォンから
聴こえてきた。