王道ロックを目指した「Nevertheless」
「クロハイの代表作となる王道ロック作りたいな」
ジルマはよくメンバーであるライスとけんちんに、どの曲をつくりたいのかを聞くのだが、1st EP「regain」をリリースしてしばらくした頃にこういったことを言われた。
ここで言う王道ロックとは「アニメの主題歌になるような楽曲」という意味だ。
アニメの主題歌に抜擢されるというのは、数ある夢の一つであり、目標だ。
今でこそアップテンポでノレる楽曲は増えたが、当時はミドルテンポの楽曲がメインだった。
それを聞き、「たしかにな、つくってみるわ」と返事をし、制作に取り掛かった。
ジルマはジャンプ作品が非常に好きである。
今でも週刊少年ジャンプを定期購読しているほどに。
ただ、なぜかこのとき真っ先に思い浮かんだアニメ主題歌が『BLOOD+』第1期OP「青空のナミダ」だ。
制服姿の女子高生が、ひょんなことから自身の正体を知り、日本刀を持って翼手と呼ばれる異形の生物と闘う物語。
なぜこのダークファンタジーの主題歌が思い浮かんだかはわからないが、これをベースに「Nevertheless」が生み出されていった。
全体の構成は異なるが、所々「ここの部分は参考にしたんかな」と思うようなところがあることに気づくだろう。
時間があれば、聴き比べてみてほしい。
Neverthelessでで伝えたいことはシンプルだ。
「それでも俺らは夢に向かって進んでく。」
よくあることに楽曲テーマだが、
それこそ王道ロックである。
人間というのは、思考や感情が非常に発達した不思議な生き物で、それゆえに想っていることとは真逆の発言や行動をすることがある。
たとえば、相手のことが好きという感情があり、それを伝えたいと想っているにも関わらず、それを行動に移さず、むしろ相手を遠ざけたり、目を逸らしたりしてしまう。
これは、"恥ずかしい"や"嫌われるのが怖い"という感情があるから、本心とは裏腹な行動を取ってしまう。
しかし、これが人間の良いところであり、人間ドラマが生まれる理由だ。
たしかに、登場人物全員が相手に抱いている感情をすぐに伝えられることができてしまうドラマや舞台があったとしたら、それは何の面白みも奥行きもないだろう。
セリフとしては相手を嫌っているのに、表情や声音で明らかに相手を好いていることを人間は読み取れてしまう。
わかりやすく恋愛感情に例えたが、これは夢を追う際にも、似たような現象が起きる。
現状がツラく投げ出してしまったほうがラクになれるとわかっているのに、やめようと思うと涙が止まらなかったり、
「もういいや」「十分がんばったでしょわたし」と自分に言い聞かして納得しようとしているのに、カラダはまた走り出している。
全員がこうなるとは限らないし、道半ばで走るのをやめてしまった人が悪いとも思わない。
ただ、こうした矛盾してしまう感情や行動、理性的に判断できない想いを今回はNeverthelessというタイトルで表現しようと思った。
そう思うとこの曲の歌詞はずっとツラそうだ。
ツラく険しい闇の中に指す小さな輝きだけを頼りにもがいている。「笑って」という一見ポジティブな言葉もここでは決して嬉しいことではない。
きっともがき進んでいく自分のために、かいたのかもしれない。
俺と同じようにもがき進んでいる人は一緒にこの曲を聴いて走っていこう。
そんな曲になれたらいいなと想う。
Neverthelessは王道ロックではあるが、楽曲構成やアレンジ、ギターチューニングはあまり王道とはいえないかもしれない。
まず静かなイントロの後のドラム連打が筋肉すぎる。
太鼓の達人でもここまで叩かせないだろう。
現在進行形で、Dr.ライスはここのパートには苦労している。
イントロだけならまだしも、乳酸が溜まり切ったラスサビ後にも同じ尺叩かせているので、セトリにNeverthelessが入った日のライスはいつも以上に気合を入れる必要がある。
申し訳なく思いつつも、メンバーが常に気を引き締めないといけないパートがあるのは良いことだとも思っている。
そのほかにも、この曲のDr.は全体的に力強くどっしりとしていて、気に入っている。
どんどん安定していくライスのドラム連打に今後も要注目だ。
ジルマのギターは、2023年頃から基本的に全音下げチューニングで弾いているのだが、この曲とSHELLYに関しては下記チューニングで弾いている。
3弦は2音下げ、3弦以外は1.5音下げ
訳がわからないし、キモいだろう。
自分の知識内では、歌えるキーかつ弾きたいニュアンスを崩さずにするにはこれしかなかった。
このような変則チューニングのせいで、扱えるギターは限られてしまい、弦は12/54と極太になり、もう数年はレギュラーチューニングというものに触れていない。
ここまで下げることはないが、3弦だけ半音上げ下げして弾くのはかなり良い音が出るので、試してみてほしい。
変則チューニングではあるが、コード進行自体は2パターンほどと複雑ではなく、基本的には繰り返しである。
その中でも、聴き手が飽きないように常に展開を変えてアレンジしている。
「王道ロックをつくろう」というシンプルな理由から始まったNevertheless。
出来上がってみたら、ただ王道っぽいものをつくるに留まらず、色々なアレンジやこだわりが生まれた。
全てを話そうと思うと文章がめちゃくちゃになるため、この辺で終わるが(すでに訳わからなくなってきている)王道の裏にある想いやアレンジなども感じながら、また聴いてほしいなと思う。
生きていると、うまくいかないことのほうがきっと多いし、本当に前に進んでいるのか分からなくなる。
でもそう想えるのは、きっとあなたが何かにチャレンジしているからだと思う。たとえ些細なことであれ。
その中で転んだり、迷ったり、傷ついたりすることがあれば、一緒にNeverthelessを聴こうじゃないか。
ライブで一緒に歌おうじゃないか。
"それでも"走り出すあなたを俺らは待ってます。
🏃🏃♀️ッ
𝘊𝘓𝘖𝘝𝘌𝘙𝘚 𝘏𝘐𝘎𝘏