【俳句エッセイ】秋の季語~稲妻~
秋の季語に稲妻(いなずま)があります。
稲妻は、夏の季語である雷とは違い、光に注目した季語です。
夏の季語、雷は、神鳴りともいい、音が中心です。夏の雷の音には、ドキドキするものがありますね。夜空を彩る花火のような、インパクトのある音です。
対して、秋の季語である稲妻は、光が中心です。雨は降らず、雲の合間に光る様子を指します。稲光ともいい、空が白く明るくなるときは、一緒に音もするのではと身構えることもあります。
雷は、音。
稲妻は、光。
俳句を詠むときに、違いを意識して詠まなければなりません。
季語を知るためには、歳時記の存在は欠かせません。季語のもつ奥深さを知るきっかけにもなります。
それだけでなく、日本語のもつ繊細さに触れるきっかけにもなるでしょう。昔のひとの想いも、一緒に学べます。
稲妻は、稲刈りの時期に訪れます。稲妻は、稲の夫(つま)の意味です。昔は、稲妻が稲を実らせると信じられていました。
台風の時期でもあるので、雲の合間に光る稲妻を喜んでばかりもいられないかもしれません。
それでも、多くの稲妻が走り、稲が実り、豊作となってくれるとうれしいですね。