【俳句エッセイ】猿酒
お酒といえば、どんなものを思い浮かべるでしょうか。
ビール、日本酒、ワイン。今ならノンアルコールもありますが、どのお酒もひとの手が加わってこそのお酒です。
今回、ご紹介する猿酒。
猿が、木の実や草の実を木々などのくぼみの中にためておきます。そのくぼみの中で、雨や露と混じり合い、自然発酵したお酒のことを言います。
ひとの手がいっさい加わっていない、自然の中でできたお酒。
森の奥でひと知れずできたお酒。神様や精霊が宿っていそうですね。
空想的な季語とされていますが、実際に、あるのではないかという気にもなります。
ワインはブドウからできますし、日本酒はお米からできます。
秋になればワインが市場に出回りますし、新酒も同じころ合いに出荷されるでしょうか。
ひとの手でつくられたものであれば、宣伝もありますし、お店で購入して飲むことができます。お酒が好きな方にとっては楽しみな時期でしょう。
森の奥で出来上がった猿酒は、誰にも飲まれることなく消えていくかもしれませんね。