君と音楽、イヤホンの中。

音楽を聴く時、少しだけ君を感じる。

その綺麗な指で奏でるギターの音を思い出すのもあるけれど、このイヤホンは君からもらったからだ。

「イヤホンいる?」「なんで?あ、AirPods買ったからか。」「うん。高かったし良いやつだからあげる。」私の耳を見て小さなイヤーピースに変えてくれた。どうして私にくれたのかは分からない。私が音楽をやるからか、それとも少しの罪悪感か。

年末の色々で彼は”ごめん”と謝ったけれど、私だって悪いからお互い様にしようと落ち着いた。年が明けてすぐに彼の方から”会おう””おいで”と言ってくれて。私は気丈に振舞っていたつもりだったし、彼もあまり気にしていないフリをしてくれた。本当に気にしていなかったのかもしれないけれど、”会っておかないと”とは思っていたのだろう。最近になってあの時のことを少し話せるようになった。彼は良くも悪くもあまり大きな反応をしないで聞いてくれる。その罪悪感も薄れてきたから私に対する興味も薄れてきたのかな。

三が日を彼と過ごせると思っていなかったから嬉しかったし、休みの日に会うのは初めてだったから起きて一緒にだらだらするのが不思議だった。帰りに見送られるのも初めてで、手を振る彼が可愛かった。

帰りに耳に流れる音楽はワイヤレスイヤホンなのに低音をよく拾う。音楽をやるくせにすぐに断線させるからとコンビニの安いイヤホンを使っていた自分を戒めたいくらいに今までとまるで違う景色を映すようだった。

今日も私は音楽を聴く。

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