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群発頭痛をぶっ潰せ

ちょっと番外編と言いますか、普段のような雑感でもエッセイでもなく、本気で一部の人に役立つ実体験を整理して記載させていただきます。

私、群発頭痛持ちです。歴は5年。

今年、発症してから初めて群発頭痛に襲われない冬を過ごしています。

克服(?)するまでの過程を滔々と語りたいと思います。皆が同じように治るのかは分かりませんが、あくまで経験の一つとして、とある成人男性の実体験として、参考にしていただければ幸いです。



■群発頭痛の概要

まず、群発頭痛についてご説明します。
激しい頭痛に悩まされている方、実はそれが群発頭痛の可能性もあります。自覚されている方、改めてお読みいただければと思います。(無論、単に興味がある方も是非)

Wikipediaより:

群発頭痛(ぐんぱつずつう、Cluster headache)は、強烈な痛みを生じる頭痛発作を特徴とする、一次性の(ほかが原因ではない)頭痛のひとつである。痛みの特徴としては一側性で眼窩部を中心とする激痛が、一定期間(群発期)に集中しておこり1日の間に発作を何回も繰り返すことにある。視床下部の機能異常が関与していると考えられている。群発頭痛患者の発作期には、頸静脈血中のCGRPおよびVIP、髄液中の一酸化窒素(NO)の代謝産物が上昇していることが報告され、三叉神経血管系におけるニューロペプチドの変化が群発頭痛で起きていると考えられている。

医療系サイト「ドクターズファイル」より:

片側の目の奥からこめかみにかけて、突き刺すような激しい痛みを伴うのが特徴の頭痛。反復性のものと慢性のものがある。反復性群発頭痛は季節の変わり目など、ある期間に集中して起こりやすく、1回15分から3時間の発作が1日に1~数回、数日から数ヶ月ほど続く。頭痛の起こる期間が過ぎると、まったく発作のない時期が数ヵ月から3年ほど続く。
~中略~
有病率は1000人に1人というデータもあり、頭痛の中ではかなりめずらしいタイプであるが、症状は激烈で生活への影響は大きい。20~40代の男性に多く発症する。
~中略~
毎日ほぼ同じ時間帯に、一定の周期で激しい頭痛の発作が現れるのが特徴。特に睡眠後の夜間に起こることが多い。群発頭痛は激痛で、「目玉がえぐられるような痛み」と表現する患者もいるほどだ。あまりの痛みに落ち着きがなくなり、始終興奮するようになるなど性格まで変わったり、精神疾患を疑ったりすることもある。多くは左右いずれかの一側性で、目の奥だけでなく、目の周囲、前頭部、側頭部、頬まで痛む場合もある。また目の充血、涙、鼻詰まり、鼻水などを伴うことも多い。発作が起こる時期とそうでない時期を周期的に繰り返すことが多いのも特徴。

自覚されている方は「ウンウン、正にそんな感じだ」という感想を、初めて知った方は「え…?なにこのヤバい頭痛」という感想を、それぞれ持たれたんじゃないかなと思います。
私は初めてこの頭痛の存在を知った時、まさに発症している最中で、なかなか絶望したのを覚えています。「え?これ定期的に発症するの?」という。


上記の一般的知見に触れつつ、私の症状をご紹介します。

・毎年、冬、12月~2月の間に約1ヶ月~2ヶ月間ほど継続する。
・夜間、就寝前23時前後に15分~2時間程度痛みが継続する。稀に朝発症することもある。発症時間がバラつくと寛解が近い気がする。
・(右目奥を中心とする)右側頭部全体~眼球の痛み。左は一切無し。
・痛み中は涙と鼻水、目の充血を伴う。
・痛みの程度はその日でムラがある。弱いと違和感程度。強いと激痛で唸る、歩き回る、頭を壁に打ち付けたくなる、目玉周りの骨を殴る等して気を紛らわせないと耐えられないほどの痛みが続く。
・飲酒すると100%発症する。飲酒して発症した場合、かなりの高確率で激痛になる。
・発症したのは2015年2月。そこか2020年まで合計6回発症。2021年2月現在、一切発症する気配がなく、2015年から数えてこれは初めての状況。

ざっくりこんな感じです。

特徴から、いわゆる片頭痛とは明確に異なる特徴がたくさんありますね。

ただ、何よりも私が群発頭痛に気づいた最大の理由は、定期的に発症するとかそういうことではなく、とにかく異常な激痛そのものでした。経験したことのない激痛。生きていてこんなに痛いと思ったことが無いような、本当にいっそ殺してくれと言いたいくらいの痛み。

病気を疑わなかったのか?と思われるかもしれません。仰る通り、当然疑いました。間違いなくこれは脳の異常だ、脳の病気だ、腫瘍か何かだ、原因が間違いなくある。そう思って、頭痛外来へ出向き、脳のMRIを撮影しました。

その結果、何も無し。こんなに痛いのに。

そこから更に色々と調べて、病院に行って、「群発頭痛」に辿り着いたという経緯です。



■治すためにたくさん調べてたくさん試した

この頭痛、何が最悪かというと、ロキソニンが全く効かないんです。痛すぎるからなのか、痛みの質が違うのか分かりませんが全然効かない。しかも効くころには終わってる。15分~2時間で勝手に治るので。

なので、比較的有効な手段として一般的に「鼻炎スプレー」、特に「リドカイン」という麻酔薬が高濃度で含まれているものが有効だと言われています。痛み始めたタイミング(もしくはその直前)から、痛む側(私は”右”)の鼻へスプレーしておくと、痛みが和らぐというものです。

これについては、まあ確かに…?って感じです。でもその程度で、驚くほど痛みがなくなるわけでは無い。強い痛みの日は全く効きませんし、そもそも効いているのかも厳密にはよくわからない(今日弱かっただけかも、とか)。
麻酔で痺れてる感じがするのは確かですが、気休めの域を出ないかなという状態です。鼻水のせいかなと疑って、逆の穴からスプレーしたりもしますが、やはり気休め程度です。


少し調べれば、完全に痛みを消す手段と言われているものが以下の二点出てくるのですが、読み飛ばして頂いても構いません、一般人が導入するのは非常に難しい。

・スマトリプタン点鼻薬を使用する
⇒リドカインよりも圧倒的に効果があるとされている点鼻薬です。が、リドカイン点鼻薬が薬局で1本1000円程度で数百回程度使用できることに対して、この点鼻薬は1個800円程度でたった一回しか使用できません。比較すると費用が滅茶苦茶に高い。
手に入れるためのハードルもあって、ちょっと簡単には手を出せません。「一ヶ月すれば治るなら我慢したほうがいいか」と思わせてくるあたりも群発頭痛の厄介なところです。QOL爆下がりです。

・高濃度酸素吸入を行う
⇒発作直後から高濃度酸素を吸入することで、数分間で寛解するという治療が報告されています。どうやら効果は確からしく、酷い症状の方は自宅に酸素吸入器を設置しているという話もちらほら耳にします。
しかし、これは説明不要と思いますが、簡単に導入できるものではありません。費用もスペースも困難を極めます。


以上二点、群発頭痛持ちの共通了解的な治療法です。有名かつ一般的で、効果が認められているものです。
が、どちらも導入が難しく、また根治には至りません。

加えて厄介なのが、アルコールをトリガーにして発症するというもの。お酒好きとしては、冬、年末年始をまたぐ時期にお酒が飲めないというのはそれだけで苦痛です。お酒を飲んでトリガーを引いて麻酔薬使用なんて、体に悪いことこの上なさそうですよね…?


そんなこんなで、他にもいろいろと調べていました。眼精疲労が一員なのではないかとアリナミンを継続的に摂取してみたり、目元マッサージを継続してみたり。しかしいずれも効果は無く、当たり前のように群発頭痛は訪れ続けてきました。

これが「去年まで」の私です。



■とある論文を発見した

毎年冬になると群発頭痛の発症が怖くて、どうにか回避できないかと様々なネット記事を探索し始めるのですが、そんな中で、一つの論文を発見しました。(元論文が探せなくなったので、日刊ゲンダイの記事から引用します)

帯状疱疹(ほうしん)ワクチンを接種してから54カ月後までに、群発頭痛の改善が認められた人は99%――。昨年11月の日本頭痛学会で東京女子医科大学病院頭痛外来の清水俊彦医師が発表し、注目を集めている。

~中略~

群発頭痛患者の副腎皮質ホルモン剤による予防的投与中、群発頭痛の側と同じ三叉神経領域に帯状疱疹を発症する患者がいたのです。副腎皮質ホルモン剤は免疫機能を低下させます。そして帯状疱疹は、免疫機能が低下した時に三叉神経などの神経節に潜む帯状疱疹ウイルスが再活性化して起こる。となれば、三叉神経に潜む帯状疱疹ウイルスが、群発頭痛の発症に関係しているのではないかと考えたのです。

~中略~

帯状疱疹ワクチンを打った群発頭痛患者94人の発作状況を56カ月間追跡調査した。ワクチン投与36カ月後の質問票では「改善した(発作が起きていない)」と回答した人が71%。投与54カ月後には、99%の人に何らかの改善が見られた。56カ月後には、36カ月時点で改善が見られなかった人も、このうち63%が「改善した」、26%が「発作は起きたが短期間で改善した」と答えた。

~中略~

また、子供の頃に水ぼうそうのワクチンを打った人は、20~30歳くらいでその効果が薄れてきている可能性が大きいので、病院で抗体価のチェックをした上でワクチン接種を検討してみては。

このソースである清水医師の論文が発表されたのが2019年11月、私が発見したのが2019年12月(※絶賛発症中)、この記事が出たのが2020年1月です。

私は2020年の寛解期(春過ぎ)に、相談の上、帯状疱疹ワクチンを接種しました。そして今、2021年の2月ですが、一切の症状が発症していません。

本記事の本題はコレです。帯状疱疹ワクチンは、群発頭痛の悩みから人々を解放する一手ではないかと考えています。



■様々な状況証拠に当てはまる理論

群発頭痛は、冬頃に発症のピークを迎えます。また、季節の変わり目に発症しやすいと言われています。
・寒い季節
・季節の変わり目
というのは、まさに風邪を引きやすい時期、これすなわち免疫力が低下している状態です。
この状況証拠と、

そして帯状疱疹は、免疫機能が低下した時に三叉神経などの神経節に潜む帯状疱疹ウイルスが再活性化して起こる

という事実には、おや、と思えるポイントがあります。


続いて、Wikipediaから再度引用です。

診断上参考となる臨床所見(一部抜粋)
・男性に多い。
・20~40歳の発症が多い。日本の報告では平均発症年齢は男性29~40歳、女性24〜40歳である。

男女差の免疫力については頻繁に研究や論文が見つかりますが、ググった知見としては、男性のほうが免疫力が根本的に低いという指摘が非常に多い。コロナによる死亡者数の割合も男性のほうが高い傾向があると言われています。


更に、20歳~40歳の発症が多いというのは、

また、子供の頃に水ぼうそうのワクチンを打った人は、20~30歳くらいでその効果が薄れてきている可能性が大きいので、病院で抗体価のチェックをした上でワクチン接種を検討してみては。

この説明が当てはまってきます。

妊娠中の発症率が低いというのは免疫力的な観点ではむしろ逆に作用していますが、免疫力やホルモンバランスの変化で何か影響を及ぼしているのかと漠然と想像されます。(※この部分は根拠の無い想像ですのでご注意ください)


これらを踏まえて、帯状疱疹ワクチンの接種を決めました。

翌年の冬、つまり2021年2月4日現在、私は一切の痛みが来ていません。

1月中旬まで存在を忘れていたほどでした。



■医学的根拠とするには至っていないけれど

まだ清水医師の論文や研究を中心とするのみであり、医学的な共通了解として認識されているものとは言えなさそうです。またこの記事も、あくまで一部記事の抜粋や、私の実体験を書いているだけの情報ではあります。

とはいえ、この論文が出てくるまで、どれだけ調べても「原因不明」「酸素吸入で~」「イミグラン点鼻薬で~」「アルコールを控えて~」という説明以外見つからなかった状況でした。そんな中でのこの研究は、群発頭痛で悩んでいる皆様にとって、ひとつの希望であることは間違いありません。

少なくとも私は救われました。

半信半疑で接種したものの、まさか本当に効果があるとは思いませんでした。正直、けっこうビックリしています。あともっと言うと(長々と書いておいて)まだ疑っていて、2月末とかに襲われるんじゃなかろうかと不安を抱えている自分もいます。(もちろんそうなったらこの記事は訂正してお詫びしつつ、一定期間置いて誤解を解いてから記事を削除しますのでご安心ください)


あと、QOLをぶち壊す群発頭痛ですが、群発期以外は嘘のように痛みが一切無いので、群発期以外における「対処しなければ」という感覚が非常に鈍いのも特徴だと思っています。痛くなければ労力を割こうとは考えにくいですよね。

でも、まさに今、群発期の方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?辛いですよね。その気持ちを是非忘れずに、調べて、納得していただけたら、群発期後、帯状疱疹ワクチンの接種を是非検討してみてください。効果が出るまで多少時間を要するので、群発期で接種されても効果が出ない可能性が高いです。


来年の冬を見越して、是非、早め早めのご検討を!!!


以上、番外編(?)でした。

また何か事件があったら書かせていただきます。

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