【驚愕データ】腎臓を守りたいならこんな運動をすべし!【ウォーキング】
「腎機能が低下したグループの平均歩数が4786歩だったのに対し、腎機能が維持されたグループは 」
今回は腎臓を守りたいならこんな運動すべし!をお届けします。
今回の内容は腎臓を保護するためにはどうしたらいいか?についてのお話です。ぜひご覧ください。
※このnoteでは、整形外科医:歌島大輔が医学的根拠をもとに、わかりやく、かつ実践的な医療健康情報をお届けします。
ときどき出てくる「ふんぞり男」とは、その名の通り、ふんぞり返って態度がデカい患者さんです。
腎機能に関して頂いたコメントをまずご紹介します。
「湿布も腎機能に影響ありますか?」というご質問を周さんからいただきました。
このご質問のお答えは、
「影響はとっても小さい」と思います。
というのも、一般的な湿布薬は飲み薬に比べて、血液中に届くのは1-2%程度です。
薬が腎臓に負担をかけるのは、血液中に入った薬の成分を腎臓で濾過して排泄しないといけないからですね。
でも、そもそも血液中にあんまり入らないわけですから、そこまで気にしなくてもいいわけです。
周さんに限らず「○○は腎臓に悪いですか?」っていうご質問はめっちゃいただくんですよ。
それだけ、みなさん腎臓を心配しているんですよね。
これは、かなり真っ当なご心配です。
腎臓が悪くなってしまったら、それを改善させる薬ってないんですよね。
そして、相当に悪くなるまでは特に症状も出ないということも多い。
注意してもし過ぎはない内臓の1つかもしれません。
ですが、腎臓に負担がかかるからって、強い痛みを我慢して痛み止めを使わないというのも、やり過ぎかなと思うケースはあります。
常にこのリスクに関する考え方はバランスが重要です。
そして、バランスに関しては、ぜひとも医師にご相談くださいね。
さて、この腎機能に対する特効薬があるわけでもないので
「腎臓を良くするために○○食べろ」
とか
「○○食べると腎臓が悪くなる」など
そういう健康情報が飛び交うんですよね。
そうなると、何が正しいか判断が難しくなってしまうと思うので、この動画のように医学的根拠をちゃんと提示した情報なのか、なんとなくの情報なのかを注意して見てみてくださいね。
別に医師や看護師、薬剤師などの医療の専門家が発信していたとしても、それが正しいかどうかはわかりません。
僕は医学部では講義をちゃんと聞いていた方ではないですが、少なくとも「腎臓にいい食事」とかそんな講義はまったくありません。
ですから、専門家の真実っぽい健康情報には常にご注意ください。
そこで、今日は医学的な根拠を元に、腎臓を少しでも悪くしたくないと思っている人に対しての1つの解決策をお届けします。
ぜひ、理解と納得の上で進んでいただければと思います!
腎臓ってそもそも何するところ?
腎臓は腰のおくのほうに右と左に1個ずつ2個あり、そらまめのような形をした臓器です。
握りこぶしくらいの大きさです。
ザックリ言えば、血液を尿にして排出するための臓器と言えます。
腎臓には心臓から送り出される血液の20%以上が流れており、毎日200リットルもの血液を必要なモノを残し、不要なものを捨てるためにろ過、つまりフィルター役をしてくれています。
その結果、老廃物を尿として体外に排泄し、体の中をきれいに保つわけですね。
要は、腎臓って身体に備わった最強の解毒装置なんですよ。
デトックスですね。
なのに、世の中はやれデトックスだ浄化だ、やれ解毒だ、やれ老廃物ドバドバだ、医学的根拠がないことをみなさまに吹聴しては恐怖感を煽っています。
だって、毒とか老廃物とか怖いですし、デトックスとか浄化って聞けばキレイになる気がするじゃないですか。
ふんぞり男「ああ、待て待て、どうした!誰を敵に回したい!」
あ、特定の誰とかはないんです。
でも、この用語を使っている人で医学的根拠がある情報を発信している人・・・今のところ見たことがなくて。
本題から逸れましたね。
腎臓は他にも、ナトリウムやカリウムなどの電解質、ミネラルと呼ばれるバランスを整えたり、血液を作るホルモンを分泌したり、いろんなことをしていますね。
慢性腎臓病(CKD)とは
慢性腎臓病を英語では「chronic kedney disease」と言います。
「CKD」と良く略されますが、腎臓の働きが低下してしまった状態のことです。
腎臓の働きの指標としては「GFR」という検査データが使われます。
GFRが60ml/分を切ると、CKDと診断されます。
もう1つ、尿検査で「尿タンパク」という項目があります。
尿タンパクが陽性の状態が3ヶ月以上持続すると、CKDと診断されます。
ご年齢とともに腎機能はどうしても低下していきます。
ですから、ご高齢になるほどCKDが多くなります。
CKDのリスクとしては、いわゆる生活習慣病に括られるようなモノが多いですね。
腎機能が悪くなり続けると…
腎臓の機能としてGFRについてお伝えしましたが、もう1つクレアチニンという血液検査データもよく用いられます。
1前後くらいまでは筋肉量によってはそんなに異常じゃないんですが、
そこから1.2、1.3・・・と上がっていくについれて、いよいよ腎臓心配だぞってなってくる数値なんです。
こちらの論文(*1)では、いろんな海外の論文をレビューしてくれていますが、イギリスの中年男性を対象としたでは、クレアチニン値が1.47 mg/dL以上の患者さんは、1.35 mg/dL未満の患者さんに比べ心血管病死亡のリスクが1.4倍だったとしています。
それ以外にも心臓血管系のリスクや脳卒中などのリスクが高まることは明らかにされています。
そして、なにより腎臓の働きが落ちるところまで落ちてしまうと、もう透析をするしかないという状態になってしまうわけですね。
要は自分の腎臓の力では血液のフィルター役をして、老廃物などを排出することができないので、そのフィルター役を外から透析の機械に担ってもらう必要があるわけです。
これはかなり患者さんのご負担、またサポートするご家族の負担が大きいです。
腎臓に負担をかけたくないから「安静」…?
この腎臓病が進行してしまうといろいろとツラいわけですから、なんとか進行させたくないわけですね。
そうなったときに、以前は腎臓に負担をかけないために「安静」というものが大事とされてきたんです。
でも、医学は日進月歩ですから、以前の定説がひっくり返ることは多々あるわけです。
その1つの例として、慢性腎臓病があっても運動療法が望ましいのではないかと言われています。
「腎臓リハビリテーションガイドライン」2018年版では、エビデンスレベルはCと高くないモノの、推奨度は上から2番目の推奨度2でした。
これは日本人は欧米人にくらべ肥満が少ないから、運動療法のインパクトが少ないかもしれないという意味で、一番上じゃなく2番目にされているようです。
いずれにしても、現時点でガイドライン上も推奨されているのが運動なんですね。
安静じゃないわけです。
慢性腎臓病が悪くなるのは運動不足と関係
ガイドラインレベルで流れが変わってくるように、さまざまな医学研究おこなわれています。
こちらの2013年の研究(*2)では、慢性腎臓病が進むにつれて、握力、膝を伸ばす力、片脚で立っていられる時間、歩行速度がすべて低下したと報告しています。
これって安静にしていれば、どんどん進んでしまう項目ばかりですよね。
だからと言って、もの凄い筋トレをする必要もないと思いますが、運動習慣っていうのはポイントになってくるわけです。
また、こちらの研究(*3)では慢性腎臓病の患者さんで、歩行速度が秒速0.1m低下するごとに死亡リスクは26%上昇と具体的なデータまで示してくれています。
ちなみに、運動不足とか運動習慣という一般的な言い方をしていますが、より正確には身体活動量の不足や身体活動習慣という言葉のほうがいいかもしれません。
運動って言うと、スポーツとかジムでガンガンに筋トレとか、ランニングマシーンやエアロバイクで汗だくになるほど動き続けるとか、そんなイメージになりがちです。
しかし、慢性腎臓病があって、さまざまな健康リスクを抱えているかもしれない患者さん全員に、そんな運動を推奨しているわけではありません。
日常生活の中で身体に少し負担をかけて、活動量を維持したり増やしたりしましょうというニュアンスです。
例えば、ウォーキングなんかは代表的ですよね。
でも、必ずしも1万歩歩かなきゃいけないわけじゃなくて、速歩きをしたり、僕がオススメしているクセトレの1つ「ランジウォーク」をしたりなんていうちょっとした工夫が推奨されます。
激しくない運動なら腎臓は悪くならない
そうは言っても、運動して腎臓は大丈夫なの?って思うじゃないですか。
さっきも言ったとおり、激しい運動をしたら、そりゃ悪くなるかもしれませんよ。
でも、2009年のCKD診療ガイドラインでは「運動強度として5Mets前後の運動であれば、安定したCKDを悪化させる根拠はない」としています。
この約5Metsっていうのは、かなり速い速歩きやソフトボールや野球、ダンスなどが該当します。
結構、激しめですよね。
より安全にするなら、3-4Metsくらいの運動を維持するのがいいんじゃないかなと思ったりもしています。
それは通常の速歩きとか、強度が高くない筋トレ、水中運動、卓球などですね。
絶対やってはいけない運動
慢性腎臓病と言っても、もう少しでも悪くなると透析が必要になってしまう段階の人と、腎機能としては正常範囲ではないけど、そこまで悪くないという人で、同じ強度なわけはありません。
腎臓以外にも心臓の病気を抱えている人、関節の病気を抱えている人、背骨の病気を抱えている人、さまざまなわけですね。
ですから「一律に運動しろ!」っていうのはちょっと違うと思っていて、この動画のタイトルも「腎臓を守りたいなら運動をすべし」じゃなくて「腎臓を守りたいならこんな運動をすべし」と「こんな」っていうのを付け加えているんですね。
そういう意味で、基本的に絶対にやってはいけない運動っていうのは、
主治医と相談せずにっていうのが、まさに先ほど言った内容ですね。
個々人で抱えている病気や状況が違うわけですから。
強い疲労を起こす強度が高い運動というのは、先ほどのガイドラインで悪化しないだろうと言われている5Metsの運動強度を超えていますからリスクがありますし、痛みを感じる運動っていうのはもちろん、言わずもがなですね。
最後に、筋トレって軽めの強度なら推奨できるケースが多いわけですが、息を止めてしまうと血圧が上がってしまいます。
血圧の変化っていうのは腎臓にも負担をかけますから、筋トレに限らず呼吸は維持して運動していきたいですね。
ふんぞり男「待て待て!慢性腎臓病でも軽い運動なら大丈夫みたいなことは分かったが、運動したら腎臓は良くなるのか?」
大事な質問ですね。
腎機能ってなかなか良くはならないんですよね。
最初に言ったとおり薬などもないですし。
ただ、それに関してもいくつか研究があるのでご紹介しますね。
腎機能と運動の関係を示した研究ですが、2022年のこちらの研究(*4)では、中強度の身体活動および運動をしたグループと運動をしないグループを2年間調査しています。
2年も経てば、ご高齢の方はどうしても腎機能の数値であるGFRは低下するんですね。
ですが、この中強度の運動をしたグループのほうがその低下の幅が小さかったんです。
要は、運動は腎機能を良くするところまでは難しいかもしれませんが、加齢による悪化の速度を遅らせることは可能かもしれないというデータなんです。
それでも意味が大きいですよね。
このように放っておくとどうしても悪くなってしまう臓器を守るっていう視点もとっても大事です。
腎臓の場合は「腎保護」という言葉で表されます。
腎保護のために特にオススメの身体活動は、やはり「ウォーキング」です。
こちらの論文(*5)では、慢性腎臓病の患者さんの2年後の腎機能低下と関連したのが1日の歩数だったと報告しています。
腎機能が低下したグループの平均歩数が4786歩だったのに対し、腎機能が維持されたグループは6608歩だったとのことです。
興味深いですし、このデータを見たら、やはり「1日に6000-7000歩」っていうのは1つの目安にしたいなって思いますよね。
ウォーキングについてはこちらの動画が好評いただいています。
本日の一言
腎臓を守るためにまずウォーキング習慣から!
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参考論文
(*1)Japanese Journal of Cardiovascular Disease Prevention Vol. 57 No. 1 慢性腎臓病と心血管病の関係
(*2)Koji Hiraki, et al. Clin Exp Nephrol. 2013 Decreased physical function in pre-dialysis patients with chronic kidney disease
(*3)Baback Roshanravan, et al. J Am Soc Nephrol. 2013 Association between physical performance and all-cause mortality in CKD
(*4)Michael G Shlipak, et al. JAMA Intern Med. 2022 Effect of Structured, Moderate Exercise on Kidney Function Decline in Sedentary Older Adults: An Ancillary Analysis of the LIFE Study Randomized Clinical Trial
(*5)Koji Hiraki, et al. Clin Exp Nephrol. 2021 Physical activity in patients with pre‑dialysis chronic kidney disease is associated with decreased renal function
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