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【特集】将来の認知症を予防する最善策はコレだ!

「オススメの認知症予防策は超簡単!まず握れるアイテムを持ち歩きます。オススメはコレとコレ。でも、コレだけじゃダメなのも・・・ 」

今回は「認知症予防策は脳トレじゃない!」がテーマです。
「認知症」をテーマに、将来の認知症を予防する最善策はコレだ!をお届けします。

※このnoteでは、整形外科医:歌島大輔が医学的根拠をもとに、わかりやく、かつ実践的な医療健康情報をお届けします。
ときどき出てくる「ふんぞり男」とは、その名の通り、ふんぞり返って態度がデカい患者さんです。


将来の認知症を予防する改善策?

認知症ってご存じですか?

ふんぞり男「おお、知ってるぞ、あれだろ、ボケとか痴呆とか言われるやつ」

いや、その言葉をできるだけ使わないように認知症って病名が浸透してきているのに、さすがのデリカシーのなさですね。

ふんぞり男「やかましい!なんで痴呆じゃだめなんだ」

そうですね。
一応、確認しておきましょうか。

なぜ、痴呆から認知症という名前に変わったかと言えば、

という問題点が指摘されていたからです。

その問題点を厚生労働省の検討会で話し合われた結果、
いまや「痴呆」という言葉は使われず「認知症」という言葉に置き換わったってことなんです。

ふんぞり男「なるほど、侮辱感・・・申し訳ない!」

素直でよろしい。
で、この話題で大事なポイントがもう1つ。

痴呆という言葉で問題になった3つめ。

「早期発見・早期診断の取り組みの支障になること」

っていうことについて考えてみると、
認知症っていうのは早めに見つけて、対策を練ろうということが全体的な方向性になってきているわけです。

さらに言うと、なんとかして社会全体で予防していこうってことにもなっているんです。

これは認知症があると介護の必要度が上がって、そういう患者さんが増えると介護のキャパシティを超えてしまうという社会問題があるからです。

私も含め、個々人の将来の大きな心配事でもありますよね。

ふんぞり男「確かに・・・心配だ。俺はいっつもお前に怒られてるし」

あらら、急にいじけモードに入っちゃいましたが、そうなんです。
だからこそ、ずいぶん前ですが脳トレブームなんかもありましたよね。

ふんぞり男「おうおう、やってたぞニンテンドーDSだったかな」

ゲームにもなっていましたね。
今もスマホアプリとかたくさんありそうです。

でも、まずはこちらの論文(*1)をご紹介します。


これは「cognitive training」と英語圏では呼ばれているようですが、いわゆる「脳トレ」の認知症予防効果を報告しています。

cognitiveっていうのは認知のってことですから、まさに認知のトレーニングっていうことで、脳トレ以上に認知症予防トレーニングという意味でダイレクトなトレーニングになります。

脳トレの結果は、その脳トレに直接関連する認知機能のテストでは成績が向上したが、それ以外の広い範囲の認知機能を改善するわけではなく、

認知症予防につながるかも現時点では不明だということが示されています。

また、認知症予備軍として有名な軽度認知機能障害(MCI)に対しては、
効果があるとするエビデンスはなかったと報告しています。

ふんぞり男「え、ダメじゃねぇか、脳トレ。返品だ返品!」

いやいや、待って。
それいつ買ったやつですか。
10年以上前でしょう。

それに、まだコレから研究によって効果が示されるような脳トレも出てくるかもしれませんし、一概にダメと決めつけちゃいけません。
ただ現時点で、そういう報告もあるってことです。

ということで、今回は脳トレじゃなくて、コレをやろう!ということを提案するものになっています。
僕の発信らしく、しっかりと研究論文も交えて解説します。

そして、その効果と説得力を感じていただき、それをモチベーションに変えて、実際の習慣構築に役立てていただこうと考えております。

では、さっそくいきましょう。
「認知症予防策としてコレをオススメする理由TOP3」

ふんぞり男「まてまてまてー!コレって何なのか先に言え!結論から先!基本だろうが!」

おっしゃるとおりですね。
でも、理由を先に言います。

わかりやすくコンパクトに3つお話ししますから、なんとかこらえてください。

こういう根拠を大事にしない、ふんぞり男さんのような人は、
医療・健康産業のニセ医学に欺されやすいという傾向がありますので。

ふんぞり男「ううう、言い返せねぇ。わかった、さっさと言え」

はい、では、さっさと

第3位 ウォーキングの効果

2004年の研究(*2)では、 日頃よく歩く人は認知機能テストの成績が良いことが示され、特に1週間に90分以上歩く人は、週に40分未満の人より認知機能が良いという結果を報告してくれています。

この一週間に90分以上っていうのは、1日あたりにすると
「15分程度のウォーキング」でいいってことになるんですね。

意外とできそうですよね。
ウォーキングには様々な健康効果が研究でもわかっていますが、認知症予防にも効果が期待できるわけです。

第2位 筋力の重要性

こちらは2009年の研究論文(*3)ですが、全身の筋力を数値化して、認知症リスクとの関連を調べた研究になります。
筋力が高い人は低い人に比べて、認知症発症リスクが61%も低かったと報告しています。

61%ってかなり衝撃の数値ですよね。

さらに先程も出てきた、認知症前段階と言われるMCI(軽度認知障害)のリスクも筋力が高い人は48%低下したということです。

これだけでも、スマホやゲームで脳トレだけやっているのとは効果がだいぶ違いそうだなって感じがしますよね。

そして、全身の筋力と言っても筋肉量の割合でいうと、人間の場合は足腰、つまり下半身から体幹の筋肉量が大半を占めます。

これは二足歩行への進化によって足腰が完全なる土台になり、必要な筋肉量が増えたことが要因です。

そういう意味でも足腰を鍛える、つまり筋力を高めていくエクササイズは認知症予防に大きな役割を果たしそうですね。

でも、全身の筋力って言われても何を指標にしたらいいかわからないですよね。
そこで、簡単に数値化できて興味深い「力(ちから)」があるんです。

次の1位で紹介します。

第1位は「握力が指標になる」

実は握力と全身筋力っていうのは関係性が深いことがわかっています。

ということは、認知症とも関係あるのではないかという研究があります。

2022年の研究(*4)で、握力低下は将来の認知症・脳機能低下リスクだと報告しています。

さらに、エピソード記憶、流動性知能の低下とも関係しているということです。

エピソード記憶は「個人が経験した出来事に関する記憶」で、例えば、昨日の夕食をどこで誰と何を食べたかというような記憶に相当します。
流動性知能は「新しい場面で適応する力」つまり臨機応変な対応能力になります。

いずれもご年齢とともに低下することが明らかになっている能力ですが、その低下を、握力を指標に全身を鍛えていくことで防ぐことができるかもしれないということですね。

あらためて注意したいのは、握力は全身の筋力の指標になるという意味で有用なのであって、握力だけ鍛えた場合の認知症予防効果は不明だということです。

おそらくメカニズムを考えても効果は薄いと思われますので、全身を鍛える一環で「握力も」鍛えるのが良いと考えられます。

ふんぞり男「結局、しっかり根拠とやらを話しやがって、肝心の認知症対策の「コレ」はなんなんだ」

お待たせしました。

では、「コレ」をお伝えしますね。

こんなに引っ張るほど、スゴいことじゃないんです。
そんなスゴいこと、大変なことだったら、継続できないですからね。

というか、オススメの認知症予防策は超簡単!
まず握れるアイテムを持ち歩きます。

オススメはコレとコレ。
でも、コレだけじゃダメなのもわかりますよね。

握力は全身筋力の指標として有用って意味では、握力だけ鍛えても認知症予防になるかは不明です。

ですが、一方で握力自体が認知症との関連がある事実も踏まえると、握力なんてニギニギするだけで鍛えられるわけですから、活用しないのはもったいない。

ですから、常にこういうボールとかこういうハンドグリップとかを持ち歩くのがオススメです。

なぜ持ち歩くかと言えば、ウォーキングで両手に持ってニギニギしながら歩きたいからなんです。
ウォーキングも1日15分以上で効果がありそうという根拠をお示ししましたよね。

そして、何より筋力低下があると61%も認知症リスクが高くなるので、足腰を鍛える意味でもウォーキング、それも

「少し早歩きでのウォーキングを習慣化」したい。

つまり「コレ」っていうのは「ニギニギしながら早歩き習慣」です。

ふんぞり男「お前、引っ張りに引っ張ったあげく・・・安易だな」

確かにそのまんまですよね。
でも、根拠が薄い説明で「コレ」やれって動画や本などが多い中で、安易とは心外です。

ただ、一方でふんぞり男さんの「安易」っていうのは鋭くて、じゃあ、このニギニギ早歩き習慣でどれだけ認知症が予防できるのかっていう研究はないわけですよ。
つまり、ここまで根拠を積み上げても「仮説」だっていうことなんです。

また、様々な研究論文が発表されるに伴って、この「仮説」を修正する必要もあるかもしれません。

本来できることなら、この「仮説」を検証するべきなんですよね。

例えば、ある町の50歳以上の方をランダムに、
「脳トレグループ」と「ニギニギ早歩きグループ」に分けて
20年後の認知症発症率を比べるとか‥‥

そんなドデカい研究ができればいいんですが、そんな力は僕にはないので、今ある科学的な論文や教科書の知識から仮説を組み立てては、ご提案するということをしています。

ただ、その「仮説」の根拠はかなり説得力はあります。
試して習慣化してみていただければと思いますし、こちらの動画にもある通り、ウォーキング自体にも多くのメリットがあるわけですから、継続して損はないんじゃないかなぁと思います。 


本日の一言


「認知症予防にはニギニギ早歩き!でも、まだ仮説です」

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参考論文

(*1)Does Cognitive Training Prevent Cognitive Decline?: A Systematic Review Mary Butler et al. Ann Intern Med. 2018.

(*2)Jennifer Weuve et al. JAMA. 2004 Sep 22;292(12):1454-61. Physical activity, including walking, and cognitive function in older women

(*3)Patricia A Boyle et al. Arch Neurol. 2009 Association of muscle strength with the risk of Alzheimer disease and the rate of cognitive decline in community-dwelling older persons

(*4)Kate A. Duchowny et al. JAMA Network Open. 2022 Associations Between Handgrip Strength and Dementia Risk, Cognition, and Neuroimaging Outcomes in the UK Biobank Cohort Study


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