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ロードバイクよ、さようなら。はじめまして、ランドナー。
ロードバイクで自転車趣味をはじめました。そして9年間、ロードバイクを楽しみました。今は、ランドナーに乗っています。その顛末を書き綴ります。
サイクリストになる。
2014年夏に、アンカーのRNC7を購入して、サイクリストになりました。
購入する前に、本格的なスポーツ自転車を買うのは初めてということもあり、本やネットで調べたところ、ロードバイクを選択するのが良さそうだという結論に至りました。それもそのはずで、様々なメディアから飛び込んでくる情報は、軽量なフレームで、最新のコンポやホイールを搭載したロードバイクでした。それらは、とても恰好が良くて、とにかく速く走れそうに見えました。
メーカーの車種のラインアップを見ても、ロードバイクにはとても多くの種類が掲載されていました。今は、スポーツ自転車はこういった自転車が主流で、この中から選べばいいのだろうと思いました。そういった考え方しか頭に浮かばないくらい、スポーツ自転車といえばロードバイク一色だったのです。
ただ、フレームだけは、クロモリにしたいという思いがありました。細身のフレームはトラディショナルで、矢継ぎ早にモデルチェンジしていく業界で、デザイン的に陳腐化することもなく長く乗れそうな気がしたからです。それに、個人的な趣向の問題なのですが、僕はカーボン樹脂という素材がどうも好きになれないということがあるんです。
カーボンフレームは軽くて高剛性で、スポーツ自転車(レース用自転車)のフレームに適しているのは分かります。そういう性能面、実用面のことではないのです。
樹脂とかプラスチックとか、もっと言えば電子部品とかを、趣味の道具では極力使いたくないのです。そういう質のものは日常生活で嫌というほど接しているので、サイクリングという非日常を過ごすときは、そういう物から距離を置きたいのです。
素材は金属で。動作はメカニカルで。ずっと変わらないシンプルなものにロマンを感じます。これは、趣味趣向の問題です。
コンポは、クロモリによくマッチしそうなクラシックなシルバーの5800系105を選択しました。
その後、クロモリロードバイクのRNC7と数年間付き合い、この自転車がいろんな経験をさせてくれました。それは、ロードバイクに乗ってみたからこそ分かったことが多かったのです。
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RNC7との日々
RNC7を購入してから、それは充実した日々を過ごすことが出来ました。つくづく買って良かったと思いました。最初は安価なホイールを装着していたので、2年ほどしてショップに勧められたマビックのキシリウムエリートに買い換えました。
ただ、残念なことに、僕には大して違いは分かりませんでした。23Cから25Cになったことによる乗り味の差は実感できましたが、それは、ホイールの違いじゃないような気がするし。。。
でも、前よりは格好よくなった(と思う)ので、満足することにしました。
自転車の扱いに関しても、パンク修理の練習はもちろん、新幹線で輪行して、しまなみ海道を走ったりもしました。自分が自転車で一日100キロ以上も走ることが出来るなんて思いもしなかったので、感動の連続でした。
でも、、、
自分がやっていることって、サイクリングであって、レースではありません。競技的なことには、まったく興味がありません。ショップに行って、コンパクトクランクに交換した時でも、店主に「ツールドフランスの〇〇という選手が、、、、」という話をされましたが、僕には興味がないのでまったく分かりません。でも、「弱虫ペダル」は見ています(笑)
僕が求めているのは、競うための自転車ではなく、旅の相棒としての自転車です。
それなのに、乗っている自転車は、クロモリとはいえレーサータイプの自転車です。旅用の自転車ではありません。そのため、荷物は背負うか、自転車のフレームにベルクロ等でバッグを装着するしかありません。背負うと重いし、汗で背中が蒸れるし、快適ではありません。せっかく乗り物に乗っているのだから、自転車のフレームに荷物の重さを預けたい。
そうなると、自転車にバッグを装着して荷物を運ぶことになるのですが、ロードバイクにバッグを装着した姿って、かなり無理やり感があります。はっきり言って、美しくない。そりゃそうでしょう。もともと競技用の自転車なので、荷物を積むことなんて想定して設計されていませんから。
それから、ロードバイクの多くは、いくら高価なものでも、大量生産されて数年でモデルチェンジして消費されていく物です。それは、そうした生産モデルであるからこそ、ユーザーはハイテクを享受出来るのだから仕方がありませんし、企業はそうやって存続していくものです。
サイクリングとしての使用なのにロードバイク(レーサータイプ)。
どんなに大事にしていても、10年もすれば装着できる交換パーツの入手は困難になる。(10年も乗れば充分なんでしょうけどね💦)
高価な自転車であっても、コンピューターで設計され、工場で大量生産された量産品。。。。
RNC7は、大好きな自転車だけど、7年ほど付き合ってみて、徐々にそんな違和感が湧き始めました。
ランドナーという自転車
近所に、たまにサイクリングを一緒にさせていただく友人がいます。彼はランドナーに乗っています。“ランドナー”という自転車があることは、ロードバイクを買う前に、いろいろ勉強したので知っていました。でも、それらの情報の中には、「泥よけが付いている自転車はろくなのがない。」「ダイナモなんて重くなるので不要。」「シフトはデュアルコントロールレバーがいい。」等と書かれているものが多かったこともあり、そのことには自分自身、納得もしていたことから、僕が買おうと思っている自転車のカテゴリーの眼中にランドナーはまったくないものでした。それらは、ロードバイク(レーサー)という局面においては正しいのでしょう。
その友人は、サイクリングしながら、ランドナーの良さについていろいろ語ってくれました。フレームはオーダーメイドであること。カラーはどんな色にでも塗装できること。サイズの指定だけではなく、装着予定のパーツに合わせてオーダーする必要があること。パーツの色のシルバーはクロームメッキであること。コンポ(というよりも、ディレイラー)は、かつて存在したフランスのメーカーなんだけど、今でも新品で手に入ること。そして、何よりも確かな技術を持つアッセンブラーに依頼すること。旅の自転車として考えられているランドナーの機能美、そして様式美のこと。
正直、最初は何を言っているのかほとんど理解出来ませんでした。コンポはシマノかカンパニューロで決まりだろと思っていたので、ユーレーとかサンプレックスって何って感じだったし、いろいろ付いている重そうな(そりゃロードバイクよりは重い)自転車で遠くまで行けるはずがない、そもそも、シマノだったら壊れたら交換すりゃいいけど、なくなってしまったメーカーだったら修理出来ないし。。。等々、いろいろ考えつつ僕には用がない自転車だなと思いました。
もちろん、シマノやカンパニューロでランドナーを組むことも出来ますが、この時の友人はユーレーでした。
でもね、180度の変化は起こりやすいのです。。
まったく縁がなかったものは、それをよく知ると、自分の中で輝きだすことがあるのです。ロードバイク(レーサー)は、RNC7で充分堪能させてもらったので、他のロードバイクに興味が湧くことはありませんでした。オーダーのクロモリロードバイクなら、ちょっと興味があったけど。
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はじめまして、ランドナー。ありがとうRNC7。
RNC7と付き合うほど、ランドナーを知るほど、先ほど書いた違和感が自分の中で膨らんでいくようになりました。
サイクリングとしての使用なのにロードバイク(レーサータイプ)。
どんなに大事にしていても、10年もすれば装着できる交換パーツの入手は困難になる。(10年も乗れば充分なんでしょうけどね)
高価な自転車であっても、コンピューターで設計され、工場で大量生産された量産品。。。。
RNC7は、大好きな自転車だけど、7年ほど付き合ってみて、徐々にそんな違和感が湧き始めました。
7年もサイクリングを続けてきたのだから、この先も自分は続けるに違いありません。人生の時間は短い。ランドナーを組んでくれるショップを訪問してみよう。ということで、友人に紹介してもらい、まずは店主さんから、お話を伺いました。
このショップは、メーカーからパーツを仕入れてそれを組んで売るだけ、というお店ではありません。ロードバイク屋さんとは、置いてあるものがまるで違います。存在しない部品は、金属を削りだして作ってくれますし、ディレイラー等も工場出荷状態ではなく、分解して磨いて再メッキを施してくれます。ここにしかない職人芸がそのショップにはありました。
先ほど書いた違和感を解消するために、量産品ではなく、自分のためだけに作られた旅用の自転車。そして、1970年代に生産された美しいデザインにクロームメッキを施された各パーツや、革サドル。もう生産されていないけど、壊れたら修理できるパーツ。数年でモデルチェンジしてしまい、そうなるともう入手できず修理も出来ないというパーツは、困ります。それよりは、古くても修理できる物の方がいいです。
初めてのオーダー自転車ということで、分からないことが多く、仕様決定で半年、フレーム注文からパーツのブラッシュアップ、組み上げして、納品まで9か月ほどかかりました。オーダーまでの半年間、何回もお店に行って話をしたので、もしかしたら10時間以上接客してくださったような気がします。
その後、フロントバッグを自転車に合わせてオーダーしたので、初めて店に行ってから、完成まで1年半かかったことになります。
完成したランドナーは、とても気に入りました。それに比例して自然とRNC7は乗る機会が減りました。タイプが違う自転車なので、乗り分けて運用することも考えましたが、その日のサイクリングの共にする自転車を選ぶなら、ランドナーをいつも選んでしまっていました。
そのころ、ディスクブレーキ化に対応出来ないせいかRNC7は生産終了となってしまいました。自分の気持ちの中でも、コンポの変遷においても、一つの時代が過ぎたのかなと思い、RNC7は手放しました。
RNC7での経験がなければ、気に入ったランドナーを作り上げるためのオーダーは出来なかったでしょう。自分の好みは、自分にしか分からないのだし、そこに到達するためには、まずは何かをやってみる必要があるのですから。
ランドナーは、ゆったりとした気分で走ることが出来ます。早く走らなくてはならないとはまるで思わないし、その必要も感じません。
「そんな気持ちで、生きていくことも出来たら」とさえ思います。