推しCPの長編小説が書きたい同志に捧ぐZINE【はじめに】
このnoteは、2016年からの8年間で延べ380万字の小説を書き、文庫150ページ以上の同人誌を18冊刊行した字書きが酔狂で作った『わたしはこんな風に長編BL小説かいてるよ! 多分参考にならないけど楽しいから皆も書こうぜ!』本──もとい、『推しCPの長編小説が書きたい同志に捧ぐ本』を元に再編集し、同人誌版の執筆時には無かった商業&コンテスト受賞の経験をもとに、ちょこっと加筆した記事……の連載になる予定のものです。
「多分参考にならない」と前置きしてはおりますが、他の人の方法を見てみるのも何かの足しになるかも知れない、という奇特な方のお役に立てるようなことがあれば嬉しいです。
ガチで執筆方法を勉強したい方は、お金を出してプロの指南本を買うか、もっとビッグな先生方の記事を参考になさってください。
とは言え、ここでは指南本ではあまり取り扱いが無さそうな、BLにおけるR18シーン周辺の話題も取り上げたいと思うので、『濡れ場を書く時の困りごと(と、わたしなりの解決法と思っていること)』なども晒していきます。一緒に「ね~困るよね~」という気分になっていただけたら嬉しいです(読む価値ある?)
同人誌版『推しCPの長編小説が書きたい同志に捧ぐ本』ではあまり触れなかった初歩の部分についても、わたしが理解している範囲でご紹介していけたらなあと思っております。
このnoteでは連載形式を取りつつ、コンテストまわりのあれこれや、ご参考になりそうな自分の失敗なんかもできるだけ曝していきたい……と思います。
そしてお断りしておくのですが、(特に基礎の部分は)ほぼ独学です。全く参考にならなかったとしても、この本は『わたしはこんな風に長編BL小説かいてるよ! 多分参考にならないけど(略)』ということで予めご了承いただき、「へぇ~」とか「わかる~」という軽いお気持ちでお楽しみ頂けたら嬉しいです。文章の中であれこれ断言している箇所が出てくるかもしれないのですが、あくまで『わたしが好き勝手に楽しく書いている、わたしの方法論』ですので、自分に合う方法・ご意見をお持ちの方は是非そちらを優先してくださいね。つまりクレームは受け付けませんということです。あしからず。(間違いなどは喜んで修正するので、ご指摘頂けますと大変ありがたいです)
同人誌版の内容の再録と並行して、備忘録がわりに、その時に思い付いたことをあれこれ書いていくマガジンにしたいと思います。
気が向いたときに、ご興味がありそうなものを読んでもらえたらと思います。
コメントなども大歓迎です!
それではさっそく行ってみましょう。
長編小説を書く前に
まず、長編小説のメリットとデメリットからピックアップしていこうと思います。
◇長編小説のここが最高!
映画一本分かそれ以上のボリュームの話を描くことができる
達成感がやばい
物理本が支え無しで自立する
背表紙のデザインを考えるのも楽しい
小口染めが映えまくる
うまくいけばめちゃくちゃ感動してもらえる
◇長編小説のここが駄目!
つらい
途中で飽きる危険性が高い
長いのでプロットを考えるのが大変
長いので書くのが大変
長いので書き上げるまでに時間がかかる
長いので校正するのも大変
長いので印刷代も大変
でも達成感がやばいからまた書いちゃう
『いいところ』については、思い当たる節があるからこそこの記事を開いていただけたのかな、と思います。
なんと言っても、映画一本分(かそれ以上)に相当するボリュームを一冊にまとめ上げて、一つの完結した物語として提供できる楽しみ(と、強み)は計り知れません。
物理本のが支え無しで自立する~云々は冗談ですが、分厚い本というものは、小説を読むことが好きな人にとってはそれだけで札束に等しい魅力を持つものです。(もちろん、短編には短編の魅力があります)
試しにXで『推しCPの長編小説』と検索してみてください。うっかり徹夜で読みふけったり、推しCPの長編小説の存在そのものに感謝している読者さんの姿を拝めるはずです。
長い=書くのも読むのも大変、というイメージがあるのは否めませんが、たくさんの言葉を費やすと言うことは、それだけ物語の説得力が増すと言うことでもあるのかな、と思います。4ページの短編と200ページの長編では、読者がつぎ込む時間の量も変わってきますからね。
短編には短編の素晴らしさがあるように、長編には長編の素晴らしさがあります。
その一つが、序盤で読者の心を掴むことができたなら、結末まで読んでもらえたときの感動も(読むのに費やした時間に比例して)大きくなるチャンスがある、というところでしょう。
一方『だめなところ』ももちろんあります。
まず、長編を書き上げるには膨大な時間が必要です。
わたしが(フルタイムの仕事をしながら)長編を書くのに費やした最短記録は、一ヶ月半で書いた18万字でした。
このときは、プロット立てに2週間、平日4時間、休日6~8時間書き続けるという狂気じみたスケジュールで、年末年始の休みも全部溶かしました。楽しかったし、満足いく物は書けましたが、ぶっちゃけ二度とやりたくないです。理想を言えば、資料あつめやプロット立ての段階も含めて4~6ヶ月程度とれれば、精神的にも余裕のある執筆ができると思います。
(しかし時間に余裕がありすぎると、それはそれでダレてしまうので、最近はなるべく3ヶ月以内に推敲まで仕上げるようにしたいなと思っています)
当然ながら『長い』ので、すべての作業に時間がかかります。
読者を飽きさせないための凝ったプロットだって一日では完成しませんし、スカスカの話にならないように資料を読む時間も欲しいところです。
書くのにも最低一ヶ月はかかりますし、書き上げたら書き上げたでチェックをするのも時間がかかるのに、どう頑張っても誤字脱字は免れません。おまけにページ数がかさむので(紙の本を出す場合)印刷代も馬鹿になりません。
ただ、達成感がヤバいんです。ほんとに。
最後の一文を書き上げた瞬間の、あのなんとも言えない感覚……一度味わったらやみつきになるはずです。わたしは生粋の運動音痴インドアオタクですが、フルマラソンを走り終えたらあんな気持ちがすることでしょう。
脅しじみた前置きはこのくらいにして、次回から本題に入ります。
繰り返しますが、あくまで『わたし』のやり方なので、この通りにしなくちゃいけない、と言うこともありませんし、もっと良いやり方はたくさんあると思います。どうか「ふ~ん、こいつはこんな風に書いてるのね」くらいのお気持ちで、気楽にお読みください。
では、また次回。