推しCPの長編小説が書きたい同志に捧ぐZINE【長編小説MS その4 プロット完成まで】
推しCPの長編小説が書きたい同志の皆さん、こんばんは。
更新まで間が開いてしまってすみません。
今回の更新で、小説を書く前準備はほぼ整う……と思います。
プロットの出来こそが、『書きたい小説』と『書き切れる小説』の明暗を分ける!……と個人的に思っています。
では、さっそくプロットを完成させていきましょう。
プロットを作る。
プロット作り初心者の方はもちろん、経験者であっても、いきなり完璧なプロットを作るのは無理だと思います。書きながら修正するのは当然! という前提で、それでもなるべく破綻のない地図を描くにはどうすればいいか……ということで、まず、クリアすべき点を三つに絞ってみます。
プロット作りで外したくないのは
辻褄が合っている
スリリングである
主人公の感情の動きが不自然でない
の3点。
これを網羅するために役に立つのが、物語のテンプレートです。
テンプレ的な物語を書いても面白くない! と思われるかもしれないのですが、このテンプレートとは、すなわち『起承転結』のこと。
さらに言えば、『起承転結』のそれぞれで何を描写するか、ということです。
実は人気の物語というものは、このテンプレートに沿ったストーリー作りがされているものが多いのです。
そんなわけで、まずは何度か登場している『美女と野獣』の物語を分析してみましょう。
わたしの話の組み立て方はディズニー映画を参考にしている向きがあります。アニメ映画一本分のストーリーは小説を書くのにちょうど良い分量の『起承転結』で構成されているのです。
また、ディズニー映画は『歌』で見せ場をつくってくれているものが多いので、特にメリハリや精神的トーンの変化を見つけやすくて大変参考になります。
たとえば、『美女と野獣』の楽曲を例にしてみると、こんな感じです。
ご覧になったことが無い方、すみません……。
ディズニーの映画は、どれも構成のバランスが良く、ストーリーにメリハリがあると思うのです。
上記の例は簡単なものではありますが、このような分析をしてみるのもおすすめです。ストーリーを作る上で、自分が好きな物語の構造を分析することはとても有効だと思います。
上記を踏まえた上で、自分なりにテンプレートを作ってみました。
プロット表(例)
まず、左側の数字は分量です。
『起』に四分の一、『承』と『転』に半分。残りの四分の一で『結』が理想的なバランスといわれています。
わたしは長編を書くときには、上記の表にざっくりと沿うようにお話を作っています。(ストーリー展開によって変えているところもあります)
毎回同じ構成で書くなんて手抜きでは!? とお思いになるかも知れません。
しかし、フランス料理のフルコース構成に意味があるのと同じように、小説(物語)の構成にも確かな意味があるのだと思います。
同じコース料理でも、調理法やシェフが違えばまったく別の作品になります。
『多くの人々が良しとした』構成を踏襲するのは悪いことではありません。
とはいうものの、やはり自分の心にビンビンくる展開は人それぞれなので、ぜひご自分の心が命ずるままに、上の表はぜひ参考程度に……。
ただ、起承転結の分量的には、このバランスがかなり収まりがいいな~と感じています。
プロットに加える要素
プロットを作る上で、わたしが意識して入れ込んでいる要素などをご紹介します。
小技というか、読者さんをハラハラさせるための工夫と言いますか(きっと私が知らないだけで、格好いい言葉があるんでしょう)そういうものです。
▲伏線
伏線が回収されていく様子ほど気持ちのいいものはありません(諸説あります)
が、扱いは慎重に。文字通りの爆発物として扱うのが良さそうです。
必要なのは、大きく二つ。
①起承転結の『転』で描く、どんでんがえしのタネ
→裏切り/秘密/主人公の『裏』の一面/過去
②最後の最後、絶体絶命の展開を助ける切り札になるもの
→敵の弱点/犯人のヒント/人間関係のわだかまり
(解消することで、物語が解決に動くような)
どちらも、なるべく序盤で(さりげなく)提示しておくと効果的だと思います。
特に 『②切り札』 については、あたかもそれがこの物語(世界)の前提条件であるかのように埋め込むことができたら最高です。
例えば、『万策尽きた後で最後に敵にとどめを刺すことになる武器』は、最後の戦いの直前に偶然手に入るよりも、序盤からさりげなく登場している方が、無理なく納得できる展開として受け入れてもらえるでしょう。
▲プロットに入れ込む『事件(イベント)』について
特に、『起承転結』の『承』の部分で発生するイベントです。
『長編小説って何でできてる?』の項で説明した、長編小説に必要な要素の一つ『イベント』はこの部分に関わってきます。このような事件イベントを最低でも1つ。20万字越えの大作を狙うなら、複数考えることが必要になって来るかと思います。
ここで発生する『イベント』の最大の役割は、CPの関係性に変化を与えること。さらに言えば、その後の物語(の展開)に説得力を与えることです。とはいえ、この部分で起こることをさらっと思いつくのは、実は難しくてですね……。
わたしはプロット作りの行程の後半で、欠けていたパズルのピースを嵌めるようなイメージで考えることが多いです。『転』で起こることを決めた後に考えることもあります。ただ、ここでとってつけたような事件を挿入すると、浮いてしまいかねません。
そこで『イベント』を作る上でわたしが意識しているのは以下の通りです。
では、AとBのCPの場合で考えてみましょう。
ふたりで巨悪に立ち向かう戦いを続けてきたAとBのお話です。
起承転結の『転』で『最終決戦前夜、自分の弟を守るためにAを裏切ってしまうB』……という事件が起こる、という前提で『承』の部分を考えます。
こういう流れを作ると、この先に待っている『起承転結』の『転』でのどんでん返し(『最終決戦前夜、自分の弟を守るためにAを裏切ってしまうB』)に説得力が生まれます。
また、『対比』が見えるようなイベントを入れ込むことも効果的です。
『対比』は、プロットをまとまった一つの物語にするためにとても効果的です。
どのような形で描いても構いませんが、一つの台詞やモチーフを巡ったシーンになるようにします。例えば、『起』で受けが発した台詞が、『結』では180度違う意味を持つだとか、『起』ではまったくおぼつかなかった銃の扱いが『結』では滑らかにできるようになっているとか、そうした『対比』を見せるシーンやエピソードを作れたら、作品全体がぐっとまとまり、締まります。
▲濡れ場はどこにいれる?
二人の関係性をガツンとあらわすには、とりあえずセ○クスさせましょう!(暴論)
さておき、濡れ場はBたちのLの物語における前菜であり、肉料理であり、デザートです。配置はばらけさせるのがおすすめ。
個人的に理想的だと思うのは、ストーリーの全体量を1/3ずつわけて、それぞれ+最後に濡れ場を配置するというもの。
ストーリーの転換点にもなるので、その前後に重要な展開を持ってくるのがオススメです。
最初の濡れ場をあんまり後ろにしてしまうより、味見だけでも前半に持っていくと、後のシーンへの期待値が高まると思います。
さらに、各セックスによって浮き彫りになる状況やテーマがあるとなお良しです。
(前述の図表で、濡れ場①、濡れ場③となっているのは、下記に対応しています)
①軽めの描写/挿入なし
CP同士が惹かれ合っているが、理由はわからない。心が通じ合っていない。愛が伴わない行為。あるいは、惹かれ合っているが事情があって挿入まで行けない。
②一方通行
欲情はしているけれど、気持ちが伴わない。どちらかの片想い、あるいはすれ違いを示唆する。
③怒り/別れ/哀しみ
互いに想い合っているはずなのに、状況がそれを許さない。あるいは、気持ちが通じ合っているけれど、別れの気配がある。表面的には、とてもいい雰囲気の濡れ場にしてよい。(その後でどん底に突き落とすので、書くなら『転』の前か、『転』そのものとして書く)
④大団円
思い切りイチャラブさせるご褒美回。場合によってはなくてもいいかな~と思いますが、デザートはついていた方が嬉しいのが人情ですから……。
こんなことを考えながら濡れ場を配置しています。
描いてて一番楽しいのは③ですね。その後の転落のことを考えながら書くと気分が乗りまくります。
▲ストーリーをスリリングにする6つの要素。
長編を作るときには、なるべくこの6要素を組み込むのを目標にしています。読者さんを引きつけておけるよう、何かが解決しても、常に別の何かが解決していない! というようなプロットを作れ……たらいいなぁと思っています。
(出来ているかどうかはまた別ですが、意識するとしないとでは違うはず!)
最後に……心の動きを置き去りにしないこと
そしてプロットを書き上げ、『これで完成!』とする前に、もう一度チェックしていただきたいのが、キャラクターの心情です。
プロットのストーリー展開に固執するあまり、キャラクターの心情が置いてけぼりになる場合があるので注意します。
一度完成したら、今度は主人公たちの気持ちになってもう一度ストーリーを追ってみること。違和感がある場所は、都度直していく。大まかな組み替えが必要になることもあります。
後になって、小説を書いていない時に、いきなり『あのシーンでああなるのはおかしい!』という天啓が降ってくることも(よくある)……。とにかく、キャラクターの心の動きには気を配るようにするのが大事です。
そして違和感を感じたら、誤魔化さずにプロットを修正していきましょう。
プロット完成
さて、物語の設計図、プロットが完成したでしょうか。
私はここから執筆に入る前に、出来上がったプロットを、さらに細かく刻んで発展させます。
思い付いたセリフや状況などの細かい部分を書き足して、箇条書きのチェックリストを作るイメージです。
ただ、プロットを作るのに慣れていない方は、ここからもう書き始めてしまって良いと思います。そして、詰まった段階でプロットに立ち返り、修正したり作り込んだりしながら書き進めていくのもオススメです。私も最初はそんな感じで書いていました。
プロットは大事ですが、作り込むのはできる所までで構いません。最初から、ラストシーンの詳細まで決めきるのは難しいですし、書いている途中で思いつく素晴らしいアイデアを殺してしまうことになりかねません。
プロットは、ちょっと先まで作り込んでは書き、また作り込んでは書き……の繰り返しで使っていくのが良いかと思います。
書き終えるまで何度修正しても大丈夫! 納得いくまで向き合ってみましょう。
ひとつだけ老婆心的なアドバイスを……。
プロットを管理する時は、出先からでもスマホなどから書き込めるアプリなどを使うことをおすすめします。
いつでもアクセスできる場所に保存しておくと、天啓のようなアイデアが降りてきたときに、忘れず書き留めておくことができます。
アプリを使用しなかったとしても、書き留めるのは忘れずに!
書き留めないとすぐに忘れます。そして『何か最高のアイデアを忘れた』ということだけはっきりと覚えていることになります(体験談)。
わたしは、プロットに添って文字に起こしていけばいいように、OneNoteに箇条書きの進行表をつくり、チェックボックスをつけています。(以前はEvernoteを使っていたのですが、アプデの度に使用感が悪くなっていくので変えました)
消化したらチェックをつけていくので、書き漏れが最小限で済むようになりました。思いついたこともその都度書き加えていけるので、大変便利です。
というわけで、プロットが完成しました。
次回は、とっても大事な『冒頭』の書き方のお話……なのですが、大変ありがたいことにしばらく忙しくなってしまいそうなので、次回の更新もまた間が開いてしまうかもしれません。
気長にお待ち頂けますと嬉しいです。
では~