【ショートショート】仕返しう○こ①
僕は中国は江蘇省無錫市でライブハウスを経営している。
ある日、昼間の仕事が早く終わったので、少し早めにライブハウスに出勤した。
開店準備を任せている唯一の女性スタッフ、二十歳そこそこのミミはもう出勤していた。
「おはよう!」
「うわっ! あ、お、お、おはようございます!」
僕が早く来たからか、ミミは動転していた。どうしたのだろと思いながら、ドラムのカバーを外そうとステージに向かった。すると、なんと! ステージの上にニョキニョキと渦を巻いたう○こちゃんがあるではないか!
あり得ん! あり得ん! 小さな箱だけど、僕に取っては、いやミュージシャンに取っては神聖な場所であるはずのステージの上に巻き巻きう○こちゃんがあるなんて、あり得ん! そんなことあり得ん! 絶対にあり得ん!
そのあり得んことが起こるのがここ中国である。
「お前か! 神聖なステージの上で、う○こしたのは!!」
「はい。ごめんなさい!」
「なぬぅう! お前、お前、なんでステージでう○こなんかするんだよ!」
「ごめんなさい。今から片付けます」
僕は怒りに震え、泣きそうになった。そんな時、
「ワン、ワンワンワン!」
子犬の鳴き声が聞こえた。ミミが家で飼っている子犬を連れて来たようだ。実際はこの子犬ちゃんがう○こちゃんの犯人であった。
「お前じゃなかったのか。犬のう○こだったのか」
「はい。すみません。流石に私はステージでう○こちゃんしません」
僕は安堵した。
安堵? なんでこんなことで安堵しなあかんねん!
それが中国である。
デパートのエスカレータ前、地下鉄の通路、鉄道のプラットフォームなど、いろんなところでう○こちゃんを見て来た。挙句の果てには、世界遺産の九寨沟で子供にう○こちゃんをさせている光景さえ見たことがある。こうなったらもう中国人の習慣とも思えてしまう。中国人は猛反発するだろうが、それも僕が見た現実だ。
後でミミに聞くと、たまに飼い犬を連れて来ており、その度に飼い犬はステージでう○こちゃんをしていたようだ。飼い犬に取っては、ステージがう○こちゃんをするところだと認識してしまっているようなのだ。
飼い犬はいつもは僕がくる前に友人が連れて行くようだが、今日は僕が早く出勤したため、う○こちゃんの片付けも犬の連れ出しも間に合わなかったらしい。
ということはだよ、
ということはだよ、
ということはだよ、
ということだろ?
マジかよ!
(う○こちゃん話はつづくのである)