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Archipelago(多島海)

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2022年9月の記事一覧

風の通り道

ケーンと 雉はひと声鳴いて 蜜柑畑から飛び立ち 向こうの丘の藪に降りて 灰褐色の翼をたたんだ 空は丘に別れを告げるように ずっと遠くまで青く 夏の終わりの太陽の下 無花果の樹と萱の茂みの間の 涼しい風の通り道に 立っていたのは誰だったのか 蜜柑畑で過労で倒れても 木陰で休んで何でもないと笑い また働いた父だったのか 幼い私を見守りながら 額の汗を手甲で拭い 摘果作業をする母だったのか 電信柱の上に止まって 弁当を狙う烏に話し掛けながら 草取りをする祖母だったのか あ