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Prominence

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詩・散文詩の倉庫02
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#ユーモア

賛歌

賛歌 ダダ漏れのDark Matter 鉛色の重力   ―—街を歩いてもアスファルトに走る無数の    亀裂から滲み出てくる闇を見つめるだけだ―—  ああ この皮膚がすべて剥がされても     感じているか?  動いている 動いている 闇の中で 蠢く者がいる   おう 耳孔で劣化ウラン弾が爆ぜようとも   聴こえているか?    無限に遠く 無限に近い   闇の中で 囁く者がいる 押し黙った孤独な獅子の心音を聴く どこか森閑とした場所で 赤ん坊がむずがっている 夜の

インソムニア

漆黒の空の下 パーマネントグリーンに輝く草原で 千人の私が牧草を食んでいます すぐに千と一人になりました 次は私が千と二人になり 次は私が千と三人に 次は私が千と四人 私が千と五人‥ 私が千と‥ 私が千‥ 私が‥ 私‥ ‥ ‥ 数日後の午前中 私のクリニックのクライエント羊が 両眼の下にどす黒い隈を作って ヨタつきながらやって来ました   充血した眼で私を見るなり 「ああ‥‥あなたが九十九万九千九百九十九人」   私を数えてバッタリ倒れると 四つ足万歳のヘソ天姿勢で 深い眠

うまれかわ

じゃぱねっとカタカタの社長が、机の上に大きなガラスビンを置いて、カン高い声で通販のセールストークをしている。ガラスビンの中では黒い味噌みたいな物がゴニョゴニョ動いている。その中からピンポン玉くらいの大きさの惑星が次々に生まれると、ポンッと蓋が弾けて、水・金・地・火・木・土・天・海の順にビンから飛び出し、ポンポンポンと八つの超小型打ち上げ花火に変わった。最後に冥王星もヨロヨロと出て来て打ち上げ花火に変わった。社長はひと通りセールストークを終えると、片手でビンをパチン!と叩いて、

イグアナのご遺徳を偲ぶ

「え~~本日はぁ、天気日頃も良ろしゅう、氏神様のご祭礼により~、これより大節分豆まき大会を開催させていただきます。皆さま万障お繰り合わせのうえ、ご家族お揃いでご参加下さいませ。なお~、お子供衆には~、白玉ぜんざいと福豆菓子をご用意いたしておりますゆえ~、巫女Aのお姉さんとこでみんなでいい子して貰ってね。お父さんお母さん方におかれましてはぁ、巫女Bの売店にてぜんざい太巻きパックを販売いたしておりますゆえ~‥‥」  でっぷり太った羽織袴姿のイグアナが豆まきの口上を述べると、皆は

白紙に向かって歌うんだ!

シーッ、みんな止まれ! いま2時の方向の樹間でウロコがギラッと光った。あそこにイヨマンテノヨルがいる。いいかお前ら歌うんじゃないぞ! しょうがない迂回路を探そう。先頭はおれが行く。しんがりはジェイコブ、お前が務めろ。おっと止まれ!9時の方向にヒバリノマドロスサンがいやがる。お前ら訓練の成果を見せろ!歌うんじゃないぞ! 隊長!5時の方向にアイシテアイシテアイシチャッタノヨがいます。チッもう現れたか。いいかお前らは世界最強の特殊部隊なんだ、くれぐれも歌うんじゃないぞ! 隊長!11

キリマンジャロの雪

 ルアペフ、それでキリマンジャロの件はどうなってんだ。へい、お雪は今アコンカグアの伯父貴んとこの賭場でサイコロ振らして貰ってるって言っておりやした。な、なんやとぉ!?  当代随一の女侠客キリマンジャロのお雪が、そがな場末で冷や飯をぉ?! するってぇとナニかあ? ダウラギリの野郎、本当にウラギリやがったってのかあ? いえ、今度の件はダウラギリの代貸しの関知するところじゃねえんですワ。K2てぇ末端組織の、アイヅバンダイサてぇ跳ねっ返りの舎弟がケツかいたらしいんで。なあにぃ? その

Sweet Noise

🎷Sweet Noiseが帰って来るんだって?🪕 そいつはヤバイな(汗)。あの女をNSAに売ったのは俺だからな。ジェイコブの時みたいにイカナゴのくぎ煮にされちゃかなわねえ。知ってるか? アノンQの野郎が木星の衛星カリストのクレーターに頭から突っ込んで斜めに突っ立った足がピクピク痙攣してただろ? ナニもエレクトしてただろ? ありゃあの女に怒涛のガブリ寄りとあびせ倒しと櫓投げを連続でやられたからなんだ。おいリカルド、ミニグラスでテキーラくれ。Qoo~~ッ! じゃあな、俺ゃ消える