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1 目を瞑って 灰の砂漠を 食べていると こころは 徐々に ひからびて ちっぽけな 雲塊になって コトコト笑う 鳥の頭蓋に 埋め込まれる 鳥のくさめ いや、 くしゃみで ポスンと 吐き出された こころは 夜露を吸うと ジュワッと 膨らんで 星雲になり スピンを 始めるけれど 暗黒エネルギーの 不足により 失速しちゃって 淋しい鉱石が 身を寄せ合う 晶洞都市に きり揉みしながら 墜ちてゆく なし崩し的に 錆びてゆく 時間が 散らばった こころと 散
倒れた街灯に群がる鳥達 古い記憶がけぶる雨の午後に 羽根を一振りして雨粒を散らし 海に向かって飛び立って行く あのひとのうなじの 仄かな香りを鳥達は紡いでいる 遠い海の流木に降り立ち 濡れた羽根を休めながら 時の空白に流れ着きたいと 海原に伸びる黒髪のほつれが 鳥達の嘴が指す夜へと傾き 思考は闇にほどけてゆく あのひとの頬紅が溶け落ちて 一滴ずつ滲みてゆく夜の無音を 鳥達はまた啄ばみに来る 紺色の果汁を振りほどく刻限 ヒタヒタと迫る夜明けに慄き 鳥達は叫ぶ 炎の予感