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陰謀論にハマるのはバカだけじゃない——誰でも陥る“承認欲求”のワナとは

「君は選ばれた人間だ!」

もし、あなたが誰にも評価されず、誰にも認められず、日々を淡々と過ごしていたとしたら。

頑張っても誰も見てくれず、間違えても誰も気に留めず、ただ空気のように扱われる日々が続いたら。

そこに突然、「君には世界を変える力がある」「君は特別だ」と言われたら、どう思うだろうか?

きっと、心が強く動かされるのではないだろうか……

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僕は最近、Twitter界隈で話題の漫画 『ようこそ!FACTへ』 を読んだ。
流行りものにはとりあえず飛びついてみるタイプなので、どんなものかと軽い気持ちで手に取った。

……が、想像以上に考えさせられる内容だった。

漫画は全4巻、1時間くらいでサクッと読めるのに、読後にじわじわとくる。
「これ、フィクションなのに、めちゃくちゃリアルじゃないか?」と。

読んでいて強く感じたことは、「承認欲求というものの恐ろしさ」 と「誰でも渡辺くんになり得る」 という2点。

考察は頭のいい人たちに任せるとして、僕は 「感想」 を書いていこうと思う。

ネタバレはしないし、未読の人でも読めるように書いたので、ぜひぜひ安心してこの先を読み進めて欲しい。

承認されない日々の苦しさ

主人公・渡辺くんは、高校を卒業して上京し、非正規で工場に勤めている。ひたすら加工食肉の段ボールを運ぶ日々。

仕事中に誤って段ボールを落としてしまった時、上司からは「お前の足よりも荷物の中身の方が大事」みたいな対応をされる。

正社員と非正規の間には見えない格差があり、彼はただただ「その他大勢」の一人として扱われる。

「こんなはずじゃ、なかったのに…」
実は渡辺くんには、小学生の頃に論理コンクールで賞を取った という唯一の誇れる過去がある。
その時の紙は、今でも住んでるボロアパートの部屋の壁に貼ってある。

「俺は頭がいいはずなのに、なぜこんな生活をしているんだ?」

「君は選ばれた存在だ」という甘い言葉

そんな葛藤を抱えながら生きていた彼は、とあるきっかけで出会った陰謀論の勉強会で、初めて人に認められる

「君の考えは素晴らしい」
「初心者なのに、そこまで気づくなんてすごい」
「君は選ばれた存在だ」

勉強会の先生から 「世界を変える力がある」 とまで言われる。

人間は誰しも、自分のことを重要だと思いたいものだ。

自分はもっと評価されるべき人間だ、こんなところで終わるはずじゃない、そう思っていた渡辺くんにとって、この勉強会は 「自分を認めてくれる場所」 だった。

彼はそこに、自分の心地よい居場所を見つけてしまった。

……今まで誰にも認められなかった人間が、こんなことを言われたらどうなるか?

正直、コロッといってしまうのも無理はない。

「承認欲求」は麻薬のようなもの

人は、誰かに認められると嬉しい。
僕も「うたのんさんに相談してよかったです!」なんて言われたら、めちゃくちゃ鼻が伸びる。

他にも、記事を読んだ人が「めっちゃ刺さりました!」とコメントしてくれたり、SNSでシェアしてくれたりすると、テンションが上がってしまう。

日々、調子に乗って、また反省して、の繰り返しだ。

もちろん、人を褒めること自体は良いことだし、人間関係を円滑にするのに重要だ。

ただし、もらった言葉に依存しすぎると危険でもある。

陰謀論の勉強会のように 「褒めることで相手を囲い込む」 という手法は、実際に世の中で多く使われている。

・カルト宗教
・ネットワークビジネス
・自己啓発セミナー

これらの共通点は、「あなたは特別だ」「あなたは選ばれた側の人間だ」と持ち上げることで、相手をどんどん依存させていくこと。

承認欲求は、人を狂わせる力を持っている。
だからこそ、「自分が認められたがっていること」を自覚しておくことが大切だと思う。

誰でも渡辺くんになり得る

『ようこそ!FACTへ』を読んで、「大丈夫、俺はこんな風にはならない」と思う人もいるだろう。

「俺は非正規じゃないから大丈夫」
「俺は教養があるから大丈夫」

でも、僕も含めて誰でも渡辺くんになり得る

他人のせいにするのは、実はとーーーっても簡単。

「俺の人生はこんなはずじゃなかった」
「社会が悪い」
「政治が悪い」
「上司が悪い」

……こう思うのはたやすい。
他人のせいにしていれば、自分は傷つかないから。

でも、その先には 何もない。

自分の人生を誰かのせいにして呪い続けるなんて、虚しくないか?

「真実」は、時として、残酷で冷酷だ。

世の中は理不尽だし、自分の思い通りにならないことばかりだ。
だけど、それを 「だからダメだ」と嘆くか、「じゃあどうする?」と考えるか で、人生は大きく変わる。

渡辺くんにならないために

では、どうすれば渡辺くんのように 「承認欲求の罠」 にはまらず、冷静に物事を見極められるのか?
僕が考えるポイントは、次の3つだ。

学ぶことをやめない

何より大事なのは 「知ること」だ。
知識があれば、陰謀論や極端な思想に対して 「これは本当か?」 と考える力がつく。

特に、 人文学(宗教・哲学・歴史・アートなど) に触れるのはおすすめだ。
一見、稼ぎに直結しないように思えるが、人間の歴史の中で 「なぜ人は騙されるのか」「なぜ人は信じるのか」 というテーマは何千年も前から議論されてきた。

例えば、仏教には「無知こそが苦しみの原因である」という考えがあるし、哲学には「知っていると思っていることが、実は最も危険だ」と警鐘を鳴らすものも多い。

アートに触れることは、「物事を色々な角度から見る力」を鍛えるのに役立つ。

「知識と思考力」こそが、陰謀論やデマに振り回されずにすむ武器となるはずだ。

「疑う力」を鍛える

ただ学び、ただ交流するだけでは足りない。
「本当にそうなのか?」 と考えるクセをつけることも重要だ。

例えば、ネットやSNSで 「これが真実だ!」 と叫んでいる人を見たら、

・その情報はどこから来たのか?
・反対の意見は存在するか?
・その人はなぜ、その意見を叫んでいるのか?(ここ大事!)

こういったことを考える習慣を持つだけで、「陰謀論に乗せられる確率」は劇的に下がる。

また、「自分が見たいものしか見ていないかもしれない」と疑うことも大事。

SNSのアルゴリズムは、 「あなたが好きそうな情報」 ばかりを流してくる。
つまり、最初から 「自分の好みに偏った世界」 を作り出してしまっている可能性がある。

自分で書いてて、胸が苦しくなってきた

時には、 あえて自分の意見と反対の意見にも触れる努力をする。
それが「考える力」を鍛え、極端な考えに流されるのを防ぐ。

何かに挑戦し続ける

人は、何も変えずにいると、無意識のうちに「承認してくれる場所」ばかりを求めるようになる。
だからこそ、小さなことでもいいから新しいジャンルのことに挑戦し続けることが大事だ。

挑戦すれば、当然のように壁にぶつかり、失敗し、批判もされる。

でも、それを繰り返すうちに 「打たれるのが当たり前」 になってくる。
そうなると、承認されることよりも、 挑戦し続けることそのものが目的 になっていく。

「評価されるから挑戦する」のではなく、「評価されなくても挑戦する」 ことが、本当の強さだ。

僕もミーハーなので、以前は占い師をやってみたり、画像生成にハマったり、最近は英語やプログラミングの基礎にも手を出している。

毎日のように打ちのめされるけど、それでもやっぱり、挑戦するのは面白い。

……

『ようこそ!FACTへ』は、単なる漫画じゃない。
僕らが 「世の中をどう見ているか」 を揺さぶる作品だ。

承認欲求の扱いを間違えると、人は簡単に狂わされる。
そして、 誰でも渡辺くんになり得る。

だからこそ、 学び、交流し、考え続けることが大事。

無意識のうちに、自分が見たいものだけを見ていないか?
気づかないうちに、心地よい言葉ばかりに囲まれていないか?

僕も、みなさんのオススメ本や考え方に日々刺激を受けている。
これからも、 インターネットというツールを賢く使っていきたい。

それでは、また。

……

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……

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