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ね?手、繋ごっ…?

突然ですが、
僕には勿体無いほど美人で魅力的な彼女がいます。


『なに人の顔、ジロジロ見てんだよぉ?』





噂をしていれば、そんな彼女に話しかけられる。

妖艶な雰囲気を纏っているのに、
僕や仲の良い友達には
ちょっと口調が悪くなっちゃうのも好きな所です。



『こっち。来なよ。』


これは彼女なりの構ってアピール。
素直に言えない所も可愛いんですよね。


呼ばれたので、彼女の傍に腰を下ろす。

すると、何をする訳でも無くチラチラと僕の事を覗き見るような視線を飛ばしてくる。


今日も始まる僕と彼女の攻防戦。


彼女は頑なに、自らスキンシップはしてくれない。
だからひたすらに僕からして来るのを待っている状況で。

彼女からしてくれない理由を尋ねても、
『恥ずかしいから』と有耶無耶にされてしまう。


対して、
僕は彼女からのスキンシップで幸せを感じたい。

こんな魅力的な彼女からして貰えれば、
まさに唯一無二の幸せなはず。


僕はそれを感じたいっ…!!


そうしていつの間にか始まった我慢比べ。

けれど、僕が中々手を出して来ない事を察すると
服の袖を地味に触れさせて来たり、
じーっと綺麗な顔で僕の事を見つめて来たり。


結局、可愛過ぎる彼女に弱い僕は
誘惑に負けてしまう。


ちなみに
今日も白旗を振りかざしました。




「って事に最近悩んでて、
どうすればいいかなぁ…?」

『んーっ…美羽からか。
難しい問題押し付けて来たね。』


目の前でおどけて笑うのは僕と彼女の共通の友人。

夏鈴。


たまに僕と美羽、夏鈴と彼氏さんの四人でご飯を食べたりするのだが、
見ている限り二人とも嫌という程仲がいいので、
そんな秘訣とアドバイスを聞きに来たという訳だ。


『⋯○○は美羽からして欲しいって言ったことあるの?』

「ちゃんと言ったことは…ないかも。」

『っはぁ……
まずはそこから始めるべきじゃない…?』

「でも、『キモっ…』とか言われたら立ち直れないよ…」

『ふっ……っ…っふふふ……、ま、大丈夫だよ。
美羽、○○の事ゾッコンだし。』

『あとは……わざと焦らしてみる…とかね。』

「あー!確かに呼ばれたら
いっつもすぐ傍に行っちゃうかも。」

『⋯アンタは美羽の犬か。
少しは我慢しなさい。』

「は、はい……
ありがと、夏鈴!参考にしてみるよ!」

『はぁ〜い……んまあ、頑張って。』












「ただいま。」

『ん、おかえり。』


夏鈴からのアドバイスを胸に、
まずは彼女に呼ばれても焦らす事に。


"こっちおいで。"

いつもなら彼女のすぐ傍に座るけれど、
今日は敢えて二人分の距離を空けて座る。


『⋯?』


普段と違う距離感に戸惑った表情をする君。

可愛い。
今すぐ撫でてあげたい。



…っ!今日は心を鬼にすると決めたんだ。



スマホ越しに捉える構って欲しそうな君の視線。


『⋯⋯』

「⋯⋯」


いつもの手には乗らないぞっ……!





悶々とした睨み合いが数分続いた挙句、
痺れを切らしたのか、

彼女がジリジリと距離を縮めてくる。


二人分あった空間がいつの間にか隣同士に。


これは初めてのチャンス…?





『⋯ねえ。』

「は、はい?」

『女の匂い。○○からするんだけど。』


違いました。

なんなら僕を疑う雰囲気がプンプンします。


「あ、あぁ…今日夏鈴と会ってたからかな?」

『⋯ふーんっ。』

『なんか唆されたでしょ。』

「んえっ!?そ、そんな事ないけど?」

『⋯じゃあ、なんでいつもみたいに
ギューってしてくれないのっ?』


小動物みたいに待ち遠しそうな君。

やっぱり僕からされるのを待ってたみたいです。


「い、いやぁ…?
今日はなんとなく…みたいな?」

『⋯ま、まさか浮気っ…?
浮気した罪悪感で出来ないとかじゃないよね。』

「違うっ!違うからっ!ちゃんと説明するから!」


今にも危ない雰囲気だったので、
彼女を宥めて、事の経緯を説明する事に。




『⋯そういう事ね。
ん、私は○○からされる方が嬉しいけどなあ。』

『でも、悩ませちゃってたのはごめんね。』

「ううん…大丈夫だよ…」

『私、その…自分から甘えるの苦手だから…』

『これからは少しづつ甘えてみてもいいっ…?』

「も、勿論っ!」

『じゃあ今日は、ほらっ……』






"ね?手、繋ごっ…?"



「み、美羽っ……
繋ぐ!繋ぎますっ!!」


彼女からの初めてのスキンシップに嬉し過ぎるあまり、
我慢出来ずに
そのまま抱き寄せてしまった僕でした。





『結局○○からぎゅーしてくれてるじゃんっ…』

『でもなんか、いつもよりドキドキするね…
恥ずかしいかもっ…』

「恥ずかしがってる美羽も可愛くて好きだよ?」

『んふふ。私も○○大好きだよっ。』



『(明日はもっとイイ事してあげようかなっ…?)』




end...?

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