utana 妄ツイ

色々書いてます。 感想とかくれると飛んで喜びます。

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最近の記事

蝉の泣く頃にもう一度。

それは突然だった。致死率約85%の病。 余命宣告を受けた。 何もかもが真っ暗になった。 学生時代は"元気なうちに死にたい"なんて軽々しく口にしていたけれど、 年齢に伴い責任と守る物の数が増え、自分自身の命の大切さを知った。 それを知らしめてくれた彼女がいた。 彼女とは結婚まで見据えていた付き合いだった。 仕事で疲れ果てても彼女が待っている。ただそれだけで日々を生きる活力になっていた。 最後まで彼女を幸せに出来ない自分が憎い。 二人で家庭を持てていたらどんな幸せが

    • ドライな彼女は愛情表現が苦手なはずだった。

      「美羽おはよう〜ってあれ? もしかして前髪少し切った!?」 『○○が寝たあとに、ね。 ほんといつも気付くの早いんだから。』 「美羽の事大好きだから仕方ないじゃん〜」 『はあっ⋯もうそれ毎日聞いてる』 「ねえねえ美羽は?俺の事好き?」 『はいはい。そうだねー。 そういえば今日同窓会でしょ。用意した?』 「したよ。でも…本当に行ってきても大丈夫? 美羽が嫌なら俺は行かないし。」 『⋯良いって言ってるじゃん、きっと久し振りに会って話したい事とかあるでしょ。 私も友達呼

      • 年下先輩からのアプローチが地味に凄い件について。

        緊張するなぁ… そう思いながら桜が散った木々を眺め、足を進めている僕は大学進学の機会とともに上京をした。 つまり、都会で夢の一人暮らしだ! だけれど、食費に光熱費に家賃… 仕送りは貰っていても足りない部分は自分でどうにかするしかない⋯ 引っ越して数日。 この街を散策していると雰囲気の良さそうな喫茶店を見つけ、僕の直感がビビッときた。 ここで働きたい! 思い立ってはすぐ行動という事ですぐに連絡をして、面接の結果は無事採用。 今日がその初出勤というわけで。 「今日

        • 君だけの居場所だから

          最終電車が近付く夜更け過ぎに 今日も君の知らせを教えるインターホンが鳴るんだ。 "また来ちゃってごめん。" 玄関先でさっき貼り付けたであろうその笑顔で君は平気な顔をしていて。 心配させないように取り繕うその癖が心配になるんだ。 僕は何も言わずに彼女を家に上げる。 "どうしたの?"なんて聞かない。 君はソファーの下に背中を預けてちょこんと座るのが好きだから今日もその位置に。 僕も少し距離を保って君の傍へ座る。 一人で見ていて付けっぱなしだった深夜バラエティの音だけが

        蝉の泣く頃にもう一度。

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        • 中編
          8本

        記事

          あの街並みで君に声をかけられた。

          「懐かしいな。ここも」 大学時代に何度も通ったこの街並みを歩いてはそう呟いた。 新卒で入った会社は超が付くほどブラックで。私生活ではつい最近まで同棲していた彼女の浮気が発覚。家も追い出される事になり、相次ぐ災難に見舞われた俺は心身共に限界になり休職。結局退職し、今はただのニートというわけで。 昔の楽しかった記憶を求めて。いや、美化された記憶を味わう為にこの街にやってきた。 "…あれ!○○やんな?" 聞き馴染みのある関西弁と柔らかな声にそう問いかけられた。 「あれ?保

          あの街並みで君に声をかけられた。

          ゲーマー友達と実際会ったら…って話。

          "メインにいる!" "あと一人だけ。" "ナイス!" イヤホンを通して響く複数人の歓喜の声。 一年ほど前にこのゲームにハマっては空き時間を費やしてプレイしている。 SNSで繋がったのがきっかけな面子とは都合がつきさえすれば、こうやってオンライン空間で時間を共にするのが恒例になっている。 "そういえば今度のイベント行く?" ふと、仲間内の一人がそう発した。 なぜなら、熱中しているゲームのイベントがひと月後に開催されるから。 僕は好きな演者も推しも出るし現地の空気感が

          ゲーマー友達と実際会ったら…って話。

          天邪鬼ガール

          ふぅ…疲れた。 机に向かって何時間経っただろうか。終わらせなければならないタスクをあらかた片付けて冷蔵庫へ向かう。 なぜなら高級アイスが待っているから…! 「あれ?買っておいたアイスが…」 しかし、いくら探しても見当たらない。 自分へのご褒美だったはずのアイスがいつの間にか無くなっている。 まあ、あらかた犯人の目星はついているんですけど…。 「美羽〜??」 『ん。イチゴあるの珍しくて。』 何食わぬ顔で自白した犯人はなんやかんやあって付き合っている美羽さん。 「ち

          天邪鬼ガール

          ワンオペ夜勤中に逆ナンされた話。

          「はぁ…今日もダルいな…」 夜も深まった深夜2時頃…。 時給も良くそこまでやる事も無さそうという理由で応募したコンビニバイト。 いざ働いてみると接客に品出しに清掃にetc… しかもワンオペで回せだなんて。 やってらんないよなぁ… そんな事を思っているとまた来店を知らせる機械音が鳴り響いた。 仕方ないのでレジに入り、買い物を待つ事に。 『…んっふふ〜ん』 後ろから見ると若い女性のようで上機嫌さを醸し出し歩く姿はまさに千鳥足。 僕は深夜に来る客で1番面倒なのは未成年と

          ワンオペ夜勤中に逆ナンされた話。