あの街並みで君に声をかけられた。
「懐かしいな。ここも」
大学時代に何度も通ったこの街並みを歩いてはそう呟いた。
新卒で入った会社は超が付くほどブラックで。私生活ではつい最近まで同棲していた彼女の浮気が発覚。家も追い出される事になり、相次ぐ災難に見舞われた俺は心身共に限界になり休職。結局退職し、今はただのニートというわけで。
昔の楽しかった記憶を求めて。いや、美化された記憶を味わう為にこの街にやってきた。
"…あれ!○○やんな?"
聞き馴染みのある関西弁と柔らかな声にそう問いかけられた。
「あれ?保