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ストリクスヘイヴン ドラフトガイドライン 中退編

こんにちは。ストリクスヘイヴンのリリースから2か月以上。次期スタンダードセット『フォーゴトン・レルム探訪』のプレビューもスタートしました!

ストリクスヘイヴンは、ぼくが「リリース後1か月で自分のピック方針を言語化する」を目標に掲げてから、2つ目のセットだったのですが、早くも挫折。なかなかいい方針が見出せないまま、石を減らし続けました。最終的なPremier Draftの完走(7勝)回数は、6回。ミシックに到達したカルドハイムとは変わらなかったものの、プレイ間隔のムラもあり、ミシックランク到達を途中であきらめることになりました。「魔法学校」をテーマにしたセットで、「中退」の憂き目にあったわけです。

今回は「中退編」として、コンセプトである「半年後にも、その記事を読めば、もう一度そのセットのドラフトに帰ってこられる」ガイドラインとして、完走のほとんどを支えた、GUx(クアンドリクス+1色)について書きつつ、取り組み方の反省を添えたいと思います。

内容としては完全に賞味期限切れにはなりますが、どこかが参考になったり、あるいは今後また取り出して読んでくれる方がいれば幸せです。よければおつきあいください!

▼GUxのドラフト

MTGアリーナでのストリクスヘイヴンリリース直後の感想として、Twitterなどで多く見かけたのは「ロングゲームになりがち」というものでした。が、少し研究が進むと、近年の多くのセットと同じく、序盤の盤面の取り合いで大勢が決まってしまうテンポ環境だったと感じています。

その中心にあったのは、アグロ最右翼として環境トップに君臨し続けたシルバークイル(WB)です。
序盤~中盤の飛行戦力が充実していることに加えて、中心になっている+1カウンターギミックで、序盤のサイズ差を作りやすいことから、サイズとアクションが他のデッキよりも1~2ターン先行することが長所です。《墨の決闘者、キリアン》というクリーチャーの存在が、さらにそれを加速させます。

その他のアーキタイプも、これに対抗するという意味で、序盤でいかに盤面のイニシアチブを取るかが重視されます。
先制攻撃持ちのクリーチャーに《熱心な研究》を重ねて1対多交換を目指すロアホールド(RW)、入門編で書いた通り《プリズマリの誓約魔導士》の優秀なスタッツに、同じく《研究》や《学術論争》を重ねるプリズマリ(UR)、《ヒルの信奉者》→《血の研究家》のラインでダメージレースを制するウィザーブルーム(BG)など、各色に2~4ターン目の黄金パターンがあり、それを先手優位からぶつけていくのが基本的なゲーム展開。
終盤にもつれると、「履修」&「講義」の純粋な枚数やレアリティの差になってくるのですが、前述の通りシルバークイルの航空戦力が充実していることもあり、そこまでたどり着けないケースも多発します。

そんな中、ぼくが比較的勝ち星を重ねられた―いや、それでしか勝てなかった―のは、ランプ戦略を組み込んだ中速アーキタイプ・クアンドリクスでした。

ぼくの考えるクアンドリクス最大の長所は「終盤引いても強い2マナクリーチャーが、コモンに3種存在する」ということです。
《針棘ドレイク》は、序盤から終盤まで、相手のサイズと飛行能力に関わらず、確実に盤面を止める堅実なブロッカー。《スカーリドの群棲》は、同じく飛行クロックへの対策となりながら、終盤では4~5マナ相当のスタッツに強化される優秀なカードです。それら二つに比べると一段落ちますが《無謀な増強術師》も、マナブーストを得意とするクアンドリクスの戦略に適しており、4/4~8/8サイズのフィニッシャーになることができます。

また「講義」カードに、ランプデッキが必要とする高マナ域のゴールを任せられるという、ストリクスヘイヴン独特のシステムも、ランプ戦略の安定化に大きく貢献してくれます。ランプデッキであるにもかかわらず、メインボードの重いところを減らし、マナカーブを前寄りにできるということは、こういったアーキタイプにつきもののマリガン負担を軽減し、安定性を高めます。

さらに、これは個人的な得手不得手の話になってしまいますが、王道のシルバークイルは、アグロ特有の先手・後手でのブレに加え、細かい動きが多いためプレイングの正解を辿りづらく、ミスを誘発しやすいアーキタイプでした。
その点、クアンドリクスは【壁→ランプ→ドロー→大技】という流れがマナカーブに沿って明快な上に、前述の「履修」&「講義」の存在があり、動きの再現性が高く扱いやすかったです。
《環境科学》のおかげで、他色・多色のレアも受け入れやすく、総じて自分好みなリミテッドアーキタイプでした。

デッキの完成目標は、ざっくりこんなイメージ。

・2マナクリーチャー4~5枚
・ランプスペル2~3枚
・ドロー2~3枚
・除去3~5枚
・カウンター1~2枚
・フィニッシュを担える回避能力1枚
・「履修」&「講義」4~6組
+緑の生物でマナカーブを埋める。

特定のカードに強く依存しているわけではなく、それぞれの役割を担えるカードが複数候補あるので、開封パックでのブレが少ないのもありがたいです。そのあたりを意識しながら、各レアリティごとの優先度を見ていきましょう。



▼コモン優先度ランキング

【S】(多いほどいい)

《針棘ドレイク》《スカーリドの群棲》…2ターン目に展開できるかどうかで生存率が全然違うので、ほんとにあるだけ欲しいです。1パック目-9,10手目あたりで2枚とれていれば、いいポジションだと思います。

《魔導士の決闘》…格闘除去故の取り回しの難しさはありますが、上2枚をしっかりとれていれば、複数枚あっても運用に支障はないでしょう。
1マナで撃てたときの影響力は《白熱する議論》や《魔導士狩りの猛攻》、アンコモンの《貪る触手》をもしのぎます。5手目以降で取れることは稀で、強いサインになるのではないでしょうか。


【A】(2枚ほしい)

《現地調査》…GUランプの中核。3枚以上は要りませんが、1枚目はSランクです。土地を伸ばすという主要メカニズムに貢献することはもちろん、続く4ターン目の動きを後出しできるのが強みです。1ターン早い《精霊召喚学》を本筋にしつつ、状況に応じて《環境科学》+3マナ除去にシフトしましょう。

《本への没頭》…同系はフラクタルのにらみあいになりますし、WBやBGの+1カウンターで育った相手にも有効です。

《クアンドリクスの誓約魔導士》…基本構造はランプデッキですので、これのために細かいドロースペルを入れすぎないようにしましょうそれでも、中盤以降はスペルをどんどんプレイしていくので、無視できない程度には育ちます。

《精霊召喚学》《フラクタル召喚学》…これらを履修から連打するのが基本の勝ち筋です。まずは、合わせて3枚を目標に。

【B】(1枚ほしい)

《環境科学》…2枚以上必要ないのでこの位置ですが、こちらも優先度としてはSランク。できるだけ序盤で取りましょう。その後の他色・多色の受け入れが拡がります。

《抜き打ち試験》《ひらめきの瞬間》…《ひらめき》はかなりAランク寄り。2枚あっても嬉しいカードですが、履修が少ない場合には《抜き打ち》と散らすようなイメージで調整してください。

《白熱する議論》…使いやすい除去。黒の《猛攻》よりタッチしやすく、《精霊の傑作》などもあるため、基本的に3色目は赤を志します。
もちろん必ずタッチしないといけないわけではありませんが、「講義」や土地のピックに手数を費やす分、2色に絞るとカードが足りなくなりがちです。《環境科学》さえ取れれば色事故のリスクはかなり少ないので、積極的に3色目を探りましょう。
決して安いカードではないので、1パック目序盤でプリズマリに渡りをつけがてら、あるいは整ってきた3パック目序盤あたりで拾えると嬉しい です。

《秘儀の引き去り》…「本セットでもっとも過小評価されている」という言い回しが、1人1枚だけ許されているのだとしたら、ぼくはこのカードを選びます。《濃霧》+《環境科学》で序盤を整える動きもありながら、中盤以降はコンバットトリック+《召喚学》で1対多交換を取れる、見た目以上に使いやすい履修カードです。つよい。

各種《学舎》…最低1枚、余裕があれば計3枚までとっていいと思います。これがないと、スローダウンした先でアグロに引き負けたりします。3色目のサポートができればなおよし。

《力線の発動》《精霊の傑作》…「講義」ボードに十二分な《召喚学》を詰め込めたのならなくてもいいのですが、なかなかそううまくは行かないので。どちらか1枚あれば安心です。

《無謀な増強術師》…Sランクの2枚が十分揃っていれば下方修正、そうでないなら上方修正。

《霜のペテン師》…弱いわけないカードですが、3マナはスペルで埋まりやすいことに加えて、凍結能力も守備的な使い方になることが多いので、必須ではないです。戦力にはなる、くらいで。


【C】(B以上が足りないときの数合わせ)

《渦の走者》…緑同型で決め手になる回避能力持ち。アンコモンの《ワームホールの海蛇》や《微風のブーツ》があれば不要ですが、それらが取れなかったときには検討してみましょう。

《プリズマリの誓約魔導士》…2マナブロッカーとしての安心感があり、《決闘》との組合わせも嬉しいですが、やはりマナコストにリスクがあります。終盤弱いカードでもあるので、もし2マナブロッカーが集まり切らなければ。

▼アンコモン優先度ランキング

【S】(Sコモンより優先)

《本のワーム》…レア以下では一番強いランプ先のゴール。同型の《殲滅学入門》は何が何でもここに当てたい。

《ゼロ除算》…+1カウンターで育った脅威をバウンス→《召喚学》で盤面を返すことも、スペルを「差し戻し」→《殲滅学》で蓋をすることもできる、マルチなユーティリティ。

《ジモーン》《初学者》…これも同型で差をつける2枚。2マナクリーチャーの顔はしていますが、盤面を支える力は弱いので、ドローカードとして見ましょう。Sコモンのブロッカー2枚は削りすぎないように。

《草むした拱門》…ウィザーブルームのカードではありますが、クアンドリクスでも十二分な働きをします。2ターン目に出れば、実質10点以上ライフゲインをすることもざらで、最後にはフラクタルに化けます。これはブロッカーカウント。

《炎血の発想》《定命の槍》…3色目が決まっていなければここからどうぞ。


【A】(Aコモンより優先)

《ケルピーの道案内》:マナブースト&疑似警戒で、序盤から存在感を発揮します。土地が8枚揃った後は言わずもがな。

《耕作》…《環境科学》付きの《現地調査》。《現地調査》もライフゲインや魔技稼ぎ、講義ボードの選択肢に差があるので、優劣をつけるのは難しいですが、2枚目がこれになるのは悪くありません。

《否認》《断固たる否定》《才能の試験》《旋風のごとき否定》…ロングゲームをする以上、相手のボムに対抗できるカウンターが欲しいです。インスタント・ソーサリー環境だけあって《否認》は無駄になりません。メインに1枚は積極的に欲しく、2枚目も可です。

《ワームホールの海蛇》《微風のブーツ》…前述の通り、膠着しやすい緑同型での勝ち手段です。

《ショック》、《取り除き》…3色目が決まっていなければここからどうぞ。

【B】(Bコモンより優先)

タッチ候補の赤いカードが増えてきます。プリズマリを積極的にやりたいプレイヤーが多いわけではないので、比較的遅い巡目でも取れることも多いです。

《霊気のらせん》…これも同型のキーになります。相手のフラクタルを消しながら、自分のレアを何度でも拾い続けましょう。

《実践研究》《表現の反復》《導師の導き》…コモンの《ひらめき》《抜き打ち》と調整。履修やランプが足りなければ、そちらが優先されることもままあります。

【C】(Cコモンより優先)

《創発的配列》…4マナの動きでエッジが出にくいアーキタイプなので、2→4のジャンプより、2で壁を出してから3→5の方が無駄が少ないと感じます。クリーチャーとして対処されてしまうこともあり、《耕作》、《現地調査》+《環境科学》の方が、明確に優先度が高いです。それらを揃えられなかった場合のみ。

▼レア優先度ランキング

【S】(Sアンコモンより優先)

緑多色なのでなんでもあり。赤や黒のダブルシンボルも、高マナ域であれば受け入れる余裕があります。《オニキス教授》や《弾ける力》も、積極的に使っていきましょう。トリプルシンボルの《ミジックス》は、自分では撃ったことありませんが、撃たれて負けたことはたくさんあるので…

【A】(Aアンコモンより優先)

▼サンプルデッキ

7-1。かなりオーソドックスで理想的な出来です。講義の履修漏れがない優等生デッキ。

7-1。こちらは講義が全然ですが、レアリティの高さで押し切った成金デッキ。テスト前にノート借りに来るウェイの人。

7-1。黒バージョン。1ゲーム中に《マスコット展示会》を計3回撃たれましたが、その上から《ウィザーブルーム》を計3回プレイして勝ったのが印象的でした。体育会系。(意味不明)

クアンドリクスに関しては以上です。シルバークイルやロアホールドについても考察していましたが、同じ濃度まで理解を深めるには至りませんでした…。


▼取り組み方の反省・おわりに

勝ち星を重ねられなかった理由としては、まず前述の通り、シルバークイルの基本戦略に対して技術不足・苦手意識があったことが大きいと考えています。

また、1日に何度もドラフトを重ねるような周期でプレイしていないので、「いかに少ない回数で理解を進めるか」という意識を、もっと強く持たないといけないと痛感しました。ゲームは1日3時間。

カルドハイムの頃は、仕事が落ち着いていたこともあり、リリース2週間で20回以上やっていたようですが、通常のプレイ周期ではこの回数はこなせません。30回を超えたあたりでようやく、自分の勝ちパターンを掴んで、カルドハイムであればミシックに到達していたのですが、このプレイ周期をグッと濃縮できるようになりたいですね。でないと「リリース後1か月で自分のピック方針を言語化する」という目標が叶わないので…。

負けたゲームで自分がプレイしていたカード、勝ったゲームでプレイしたパターン。フラッドorスクリュー、「先手ゲー」で負けた「仕方ない」と感じるゲームも、「構築やマリガンでフラッド(スクリュー)を防げないか?そうなっても強いカードを選べているか?」「後手から勝つにはどうするべきか」などなど…1つのゲームからもう数段階、深く切り込めるようにならなければいけません。人生も、マジックをプレイできる時間も有限なのです…。

これはぼくの持論ですが、「ゲームが上手い/ゲームセンスがある」というのは、「少ないプレイ回数・時間で、そのゲームの構造・要点・本質を見抜ける」ことだと思います。平たく言うと、「初見で『こうしたら勝ち』がわかる」ということ。
「センス」というからには、ある程度は知識と経験によって磨けるものですので、「より本質を見る」という意識のもと、『フォーゴトン・レルム探訪』にも取り組んでいきたいと思います。

最後に宣伝&スペシャルサンクスです。(いつもの。)

ぼくも参加している、リミテッド中心のDiscordサーバーです。記事を読んで参加してくれる方も多く、にぎわってきました。ありがとうございます。

『フォーゴトン・レルム探訪』は、7月5日プレビュー終了、同8日にアリーナ実装という密なスケジュールですが、まずはどこかのタイミングで新カード評価の座談会をすると思います。
その後も不定期で集まって、画面共有しながらドラフトのピック&プレイをしています。

通話に参加しなくても、チャットでは7勝のデッキを共有や意見交換を活発にしていますので、楽しいドラフトライフのお手伝いができるのではないかと思います。気軽にJoinしてくださ~い!

もうちょっとゆっくり、ヒストリックやレガシーで遊んでいられるかなと思っていたのですが、あっという間に新セットですね!
それではまた『フォーゴトン・レルム探訪』入門編で!最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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