愛岐の狭間で出会うゲ謎【定光寺駅・旧日本昭和村・昭和日常博物館】
はじめに
※この記事は映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(以下『ゲ謎』)のネタバレが含まれています。本作品はPG12です。
2023年に入村して以来すっかりハマってしまった『ゲ謎』の世界。
同好の士は多く、皆さん調布(東京)や境港(鳥取)を巡礼しているらしい。でも東海地方在住だと調布や境港は気軽に行くには遠すぎる!
しかし、舞台挨拶での監督発言や有志の作品研究によると、実は哭倉村って東海地方(静岡含む)がモデルになってそうなんですよね。そこで水木が入村したと思わしき7月20日頃に愛知と岐阜で昭和31年を感じてまいりました。この記事では写真をとおしてその体験を共有できたらと思います。
1.定光寺駅(愛知県)
まずはJR東海の「定光寺駅」。ここは2023年11月30日にイオンシネマシアタス調布で開催の舞台挨拶で明かされた、『ゲ謎』からカットされてしまったシーンのモデルです。
夜行列車に乗った水木は、こんな雰囲気の駅に降り立ち、温泉街のような街並みを通り抜けてから、あのタクシーに乗って哭倉村へ向かったらしい。真ん中の開口部が駅のホームから町への出口なのですが、完全に秘境への「入口」って雰囲気。
本当は名古屋駅からの運賃は520円ですが、脱出ゲームのグッズで哭倉村行きの切符が660円(運賃600円+準急料金60円)だったので、雰囲気重視で600円で購入。
本当は降車の際に無効印を押してもらって記念に持ち帰るなどできれば幸せだったのですが、残念ながら定光寺駅は無人駅。
切符は箱にシュート! 水木はサラリーマンだから出張精算のためになんとか持ち帰ろうとしそうですけどね。
ゲ謎からカットされたシーンでは、水木は駅から階段を降りたそうです。定光寺駅から降りる階段はふたつありますが、絵になるのはこちらの階段だったはず。この写真は朝9:00頃に撮影したものですが、水木の到着はそれよりも早そうなので、もっと横からの光が強かったかもしれません。
令和の今、ここは「愛知高原国定公園」です。駅名となっている定光寺は尾張徳川家の菩提寺で、桜や紅葉が美しく、昭和30年代にはこのあたりの一大観光地だったそうです。哭倉村があったと思われる地域は現在、「天竜奥三河国定公園」になっているので、そういうところも駅のモデルにちょうど良かったのかもしれません。
擬宝珠がついた立派なこの橋は「城嶺橋」というこれまた立派なお名前。昭和12年(1937)の架橋(当時は木造)で、当時はこの付近から名古屋城が見えたためそう名付けられたそうです。
橋の上から駅を振り返った図。もう駅に着いたときから「ザアアア」という涼やかな水の音に驚かされました。線路と並行して走るこの見事な川は「庄内川」。天竜川と同じ一級河川です。
駅前にある有名な廃墟・「千歳樓」。昭和29年(1954)に開業した旅館(当時は木造)で、2003年に倒産してしまいましたが、諸事情により取り壊しができず、廃墟化してしまっているようです。心霊スポットとしても有名なようで、そのあたりも『ゲゲゲの鬼太郎』と親和性があったのかもしれません。
定光寺駅って、線路の両端がトンネルなんですよ。秘境感マシマシですよね! 近くには「愛岐トンネル群」という哭倉トンネルみたいなトンネルもあり、5月と11月に公開されています。どちらかといえばゲ謎の季節に近い5月に行ってみたいな~。
定光寺駅周辺の昭和の頃の写真はこちら↓のサイトにたくさん掲載されています。
2.ぎふ清流里山公園(旧日本昭和村)(岐阜県)
2018年に「ぎふ清流里山公園」に名称を変えてリニューアルした旧「日本昭和村」。道の駅・「みのかも」にあり、JRだと美濃太田駅が最寄りです。
昭和30年代の里山をコンセプトにした公園で、食事処や子どもの遊び場がたくさんあり、ドッグランまであるためかなり賑やか。
昭和の面影を残す建物がいくつも移築されているのですが、なかでもおすすめは「やまびこ学校(昭和パビリオン)」!
(1)やまびこ学校(昭和パビリオン)
元々は明治31年(1898)に岐阜県高山市立宮小学校として建てられた校舎でしたが、2003年にこちらに移築されたそうです。
外観は学校ですが、中身は完全に昭和の街並み。
哭倉村というよりも、その後の水木が鬼太郎とともに暮らすのはこういう雰囲気のなかでになるのかなあという印象。
こういうちゃぶ台を囲んでお茶碗には目玉のおやじがいたりしてね。……あっ! 壁に貼られているブロマイドの右から2番目のあの人はもしや……!
佐田啓二!!
本当に昭和30年代の大スターだったんですね。
こういう台所で鬼太郎のご飯も作ったのかな~。
こういうお風呂で鬼太郎を洗って、こんな子ども部屋を与えたりしたのかな? (墓場鬼太郎を見た感じ、子ども部屋はなさそうでしたが。)
のどかな里山の片隅でひっそりと息をする戦争の記憶。
たぶんこの建物が全面禁煙だからだと思うのですが、いたるところに「たばこのむな」の貼紙があり、「おい言われてるぞ水木🚬」という気持ちになったりました。
貼紙のなかでは「ホテル清風園」の佇まいが在りし日の千歳樓を思わせて趣がありました(こちらは2024年現在も現役のホテルです)。
1階は昭和30年代の生活空間の再現でしたが、2階に上がると……
昭和40年以降の商店街の街並みが再現されています!
ずっと昭和の歌謡曲が様々にかかっていて楽しげな雰囲気でした。
哭倉村の人々は昭和20年代頃までのことしか知らなくて、鬼太郎は逆に昭和30年代からのことしか知らないんですよね……。
たばこ屋にピースがないのが少し珍しく感じました(こういう昭和レトロがテーマのところではたいてい置いてあるので)。
たばこ屋さんを曲がった角には喫茶店がありました(※飲食の提供はありません)。クリームソーダは280円だったみたいですね。
街角で自転車に乗る水木と鬼太郎(+頭に目玉)の姿を幻視(重症)。
シンプルに学校の空気感を残した部屋もあり、たいへん良い建物でした。
(2)旧朝日村庁舎
ゲ謎ファンにはもうひとつ、「旧朝日村庁舎」をおすすめしたいです。
昭和13年(1938)に岐阜県大野郡朝日村(現在は高山市に編入)の村役場として建てられた庁舎でしたが、2003年にこちらへ移築されたようです。
1階が資料館、2階が議場になっていて、どちらも見ていて楽しいのですが、なかでも注目してほしいのが1階にあるこちらの……
昭和27年(1952)頃に朝日村消防団が使用していた消防腕用ポンプ!
物語の終盤で水木が消防団員に救助されるシーンがありますが、そこにはこちらより時代が進んだ消防車らしき姿が写り込んでいました。でも哭倉村の消火活動で現役だったのはこういう消防ポンプだったかもしれません(もっとも、哭倉村は裕福そうなので、最新の消防設備を備えてそうでもありますが)。
7月20日頃に山村を散策するのって熱中症的な意味で厳しいと思うのですが、こちらの公園は休憩所が豊富にあってその点が安心なのも嬉しい。植物の種類や茂り方、香りなんかに、哭倉村のあの夏の日もこんな感じだったのかなと思いを馳せませた。
3.昭和日常博物館(愛知県)
最後にご紹介したいのが名古屋市のちょっと北にある知る人ぞ知る名スポット・「昭和日常博物館(北名古屋市歴史民俗資料館)」。公共交通機関だと名鉄の西春駅が最寄りです。
1階は普通の図書館、2階はその図書館の事務所という感じで、「あれ? 本当にここで場所あってる?」と階段を登っていて少し不安になるのですが、3階には別世界が広がっていました!
昭和の街並み展示や……
昭和の電化以前・以後の道具の比較や……
昭和の暮らしの品々が同種ごとにたくさん展示されていました。
昭和日常博物館は、平成5年の企画展「屋根裏のみかん箱は宝箱」にて昭和の激動の変化を後世に伝える活動を開始し、平成9年に特別展「日常が博物館入りする時」で早くもフロアー全体を昭和30年代の資料で構成したという昭和30年代ガチ勢です。活動ビジョンがしっかりしていて、資料が豊富にあるのにそのどれもが丁寧に扱われている印象を受けました。2020年には第一回日本博物館協会賞も受賞しています。
たばこ屋さんの店頭でピースも確認できて満足。
昭和31年4月、ピースは10本入40円だったみたいです。すごいですよね、こういうのの実物が残っているなんて。
おわりに
いかがでしたでしょうか? 東京や鳥取は遠いけれど、意外と愛知と岐阜の県境あたりにはゲ謎の空気を濃い目に吸えるスポットがたくさんあるんですよね。
遠いよ遠いよ~とは言っていますが、実は東映太秦映画村「ゲゲゲの妖怪村」(京都)は参加済みだったり、「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 ~追憶展~」(広島)は観覧済みだったり、8月には『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』シネマ・コンサート(東京)にも行く予定だったりします。
助けてくれ……哭倉村から出られないんだよ……! もう7か月も経つに全然出られないんだよ……(水木は3日で出たのに)! 強すぎる思いで胸が苦しくなってきたらまたnoteで何か吐き出そうかと思います。
広島の追憶展は8月5日までやってるよ!
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