辛口シンエヴァ鑑賞記
なんの因果か(なんの因果でもありません、ただのシフトの都合上の偶然です;)本日3月11日に「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」を鑑賞してまいりました。一言で言うと消化不良だったため、ここにその感想を記すことにします。鑑賞予定のあるかたは、ネタバレ注意ということで。
てかそもそも、この最新作は新劇場版エヴァの第四部なのですが、ここまでの「序」「破」「Q」と違って最後に妙な記号がついているだけで、世間ではこの第四部そのもののことを「シンエヴァ」と呼称しておるようです。よって本稿でもそれに従います。
3時間近い大作ということで、見るまでははてさて(人間は)三時間もトイレを我慢できるものだろうかという不安が先立ちましたが、これについては朝食の味噌汁と食後のコーヒー牛乳を抜いただけで、わりと余裕でなんとかなりました。やれやれ。
さてこれくらい前振りを書いておけば、埋め込みだけでネタバレするのは回避できたでしょうか。というわけで、本題に入りたいと思います。まず結論から申し上げると、重度のエヴァファンでないと楽しめない作品と言っていいでしょう。それでも楽しめない人もいるかもしれませんが、エヴァ世代の末端でありながら、一貫してにわかのわたくしの関するところではありませんw
詳しい批判は、気鋭の狂人小山晃弘氏の記事がわりと的を得ていたので、紹介がてらリンクしております。
ま、庵野秀明氏が自身の経験や環境をモチーフにして創作することは、それ自体は別に悪いことではないのですが、問題はそれを物語の純度として高めきれていない点にあると言えるでしょう。
そもそもエヴァというのは、(みんな忘れているような気もしますが)ジャンルで言えばSFロボット対戦であり、ただでさえ現実に即したリアリティを提示するのは大変なわけですよ。その困難を少なくともテレビシリーズは途中まで実現していたと思いますが、シンエヴァの舞台のセカンドインパクトだかサードインパクトだかの後の世界というのは、言うなれば屋上に屋を重ねたような世界なわけです。そこでリアリティのある人間を描こうとするならば、そうとう丁寧に描写をしなければならない。いや、庵野もそんなことは分かっていて、努力はしていたと思いますよ。でもね、努力のあとでお目こぼししてもらおうなんていう創作は、どんなに作画レベルが高くても、作品としては二流なんですよね。悲しいかな。
いや、そもそも(現実に即した意味での)リアリティのない物語なら、それを貫けばいいと思いますよ。銀河英雄伝説よろしく、われわれも架空の物語としてそれを楽しめばよい。でもエヴァは違いますよね。現にシンエヴァでも、序盤では第三村だかなんだかを舞台にして、その世界ではほぼ失われた日常を執拗に描き、最後は「日常の回復」というメッセージ性のあるラストにしているわけです。
ふざけるな!
そんな陳腐な話を見せられるんだったら、宇宙戦艦ヤマトよろしく、全員ミサトさんに殉じて、特攻して死んで終わりにしたほうがまだしも美しかっただろーが。それができないなら、せめても生き残りのシンジは乞食坊主にでも描くべきではなかったのか。あんな地獄を見た人間が、まっとうにリア充できるほど、人間は甘くはない。それともすべては、認識作用だけが残ったシンジくんの死後の夢だったとでも思えばいいのか。それならそれで辻褄はあうがw
とまあここまで辛口なことを書きましたが、エヴァは最後までキモチ悪いエヴァだったというまとめかたでもいい気はします。庵野秀明という稀代のクリエイターが、これでエヴァンゲリオンを終わらせることができたというのなら、その点については素直に祝意を表したい。
ご卒業おめでとうございます!!!
おかげさまで「シンウルトラマン」も不安になってきましたが、まあこりずに観にゆきますよw
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