![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/105941782/rectangle_large_type_2_6a75c999e434a02cbe99cd2671790d27.png?width=1200)
「仲よーなったやん」
最近私はバイクの免許を取得するために、仕事終わりや休みの日を使って自動車学校に通っている。
車の教習とは違って、学科もなくずっとバイクに乗っている。最初はローギアで走らされたせいで酔ってしまったけど、ものすごく楽しくてどんどん上達していく自分のおかげでやりがいを感じてる。
私が今回書きたいのは、その車校で出会った1人の男の子の話。
私は基本人の名前を覚えるのは得意なのだけど、彼の名前はなぜかなかなか覚えられなくて、勝手に「ごんぱちろう」と呼んでいる。
ごんぱちろうに出会ったのは私が2度目の教習に出た時だった。
私がプロテクターを1人でせっせと付けているとき、「これ付けたらいいんですか?」と声をかけてきたのが始まりだった。
彼は少し怖そうな見た目をしているけど、優しさが滲み出ているような子だった。私より少し背が高く、私と同じ一重の子。
私はなんとなく、仲良くなれそうだと思った。
案の定仲良くなるまでの時間は一瞬だった。
これとこれをつけるんだよーと私が教えている時、「何歳ですか?」とごんぱちろうが聞いてきたので「20歳です」と答えると「同い年だ!」となり会話が弾んだ( 後々1つ年下だということがわかってごんぱちろうは酷く驚いていた )。
ごんぱちろうは仕事で京都からやって来たらしく、島根は何もない!と嘆いていた。
失礼なやつめ、そんな所がいいんだろ!と言い合っていると始業のベルが鳴り、お互いなれないバイクにまたがり好きなように教習を受けた。
同じ時間に始まったのだから同じ時間に終わるのは当たり前で、2人でやいやい言い合いながら車校を出た。
車で来たのかと聞かれ頷くと送ってくれと言われた。即答で断った。何度も言ってくるので何度も即答で断った。
そしたら少し話そうと言われて煙草の片手間に少し話した。
ごんぱちろうはとても面白い子だった。言葉に多少刺があるけれどやっぱり優しさが抜けない子だった。そんな彼は最近失恋をしたらしく酷く心を痛めていた。
そのことは詳しく書かないけれど、聞いているこっちも心が痛くなるほどの失恋だった。
君はきっとこれからもっと優しい子になるんだろうなあと思った。
その次の日も教習の時間が被っていて楽しく話をしながら過ごした。
それからごんぱちろうとは会っていないし交換したインスタのDMでも一言も話していない。
そのことを恋人に話すと、やだなぁと顔をしかめて言っていた。
貴方だって女の子がいる飲み会に行ったじゃないと内心反論しながら「大丈夫よ」と返した。
ごんぱちろうに「一緒に飲もう」と誘われてきっぱり断ったけれど、「なんでや。仲よーなったやん」と言われた時、年下は可愛いなぁと思った。
ごんぱちろうには年下特有の可愛さがある。
テンション感とか纏う雰囲気とか懐き方とか笑い方とか、それら全てに幼さを感じる。
たった一つ年下なだけだけど、弟っぽいなぁとよく思う。
それと同時に恋人に対しての愛を再確認する。
もし恋人に出会うのが遅くて、ごんぱちろうと先に出会っていたら、好きになれたとしても振り回されて涙を流していたんだろうなと切なくなる。
先に恋人に出会って恋をして付き合えてよかったと心の底から思うのだ。
そんな恋人とも最近は喧嘩が増えてきているけれど、なんとなくこれでいいとも思えてる。
車校で出会ったごんぱちろうはとてもいい子。
私の心にそっと光を灯してくれるようなそんな子。
話していると自然と興味が湧いてくるような面白い子。
車校に通うたった1ヶ月の間だけのお友達だけど、大切にしたいと心から思えるような、そんな子。
そうだね、たった2日話しただけなのにごんぱちろうとはすごく仲よーなったよ。