【一人用声劇台本】雨の日に
雨が降っている。
「寒い……」
ぼろぼろのリュックから、真新しい手袋を取り出す。ぼうっと手袋を眺めて、よし、と決心をした。
「何してるんですか」
あっ、リュウ君だ。
雨の日に、リュウ君は必ず現れた。どこか不思議な男の子だった。
「手袋を……しようと思って」
私がそう答えると、リュウ君はおかしそうに笑った。
「早くつければ」
あっ、敬語が抜けた。多分年下のリュウ君は、いつも私に敬語を使う。でもたまにこうやって、敬語が抜けるときがあるのだ。私はどちらかというと、敬語ではないリュウ