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2024年東京都知事選挙において争点とすべき政策について(前編)

 2024年東京都知事選に関連して、都政の課題について、私が重要と考える問題に争点を絞って2回に渡って考察して参ります。前編の今回は青少年福祉についての考察になります。


青少年福祉

待機児童問題

 東京都は待機児童の数について、昨年7月26日時点で286人、23区においては10人としており、過去最少になったとしている。(※1)ただ、この数字については、認可外保育所に入所したケースは待機児童に含まれていないこと、自宅から遠い認可・認可外保育所を自治体から勧められた場合は、特定の保育所等を希望している児童とされ、行政上の待機児童とみなされないといった指摘がある。(※2)

 したがって、東京都の発表では、利用者側が自宅、勤務先との距離や利便性といった要望を踏まえたデータであるとは言えない可能性がある。待機児童の問題においては、利用者の要望に応じた対応をするよう有権者が声を上げることが必要だろう。

高校授業料無償化

 東京都は、2024年度より、都立高校における授業料の所得制限を撤廃したほか、(※3)私立高校についても、都に在住する高校生がいるすべての保護者を対象に、都内私立高校平均授業料相当額である484,000円を上限に支援することを決めた。(※4)これは都立高校については、補助について世帯年収所得910万円未満(注:所得のある保護者が1人について、以下同じ)という国の条件に関する撤廃、私立高校の場合は世所得のある帯年収590万円未満について国の補助額に88,000円、世帯年収590万円以上かつ910万円未満について国の補助額に365,200円、世帯年収910万円以上について484,000円全額をそれぞれ上乗せして支給するというものである。

 ここからは、東京都の教育費の負担軽減は、中・高所得層を中心とした対象としたものであり、低所得層を含めた青少年全般への福祉とは異なる政策であることが伺える。また、他県から都内の私立高校に通う生徒との兼ね合いという公平性の観点を指摘する声もある。(※5)全世帯への高校実質無償化の問題は、東京都だけの問題だけにするのではなく、社会保険制度の創設を含め国レベルでが必要行うべき問題ではないだろうか。

給食費補助

 東京都は、小中学校の給食費を、2024年度から最大で半分補助をするという方針を固めたという。(※6)この結果、東京23区内においては、最後の練馬区が本年4月から無償化の運びとなり、23区では給食費が全額無償となった。(※7)ただ、多摩地域においては東京都からの補助だけでは十分に対応できず、無償化に踏み切れない地域も出ている。(※8)多摩地域・島しょを含め、都内における給食の無償化の公平性をどのように確保をするかが課題となる。

その他の青少年向けのあるべき福祉政策

 貧困問題は、人として最低限度の生活を営む権利である生存権を侵害するものであり、衣食住において特にその問題が表面化されるが、政治として課題とするべきは特に、食、住の問題であろう。ここでは子ども食堂と住宅問題について触れていきたい。

 子ども食堂について、東京都は昨年度に「子供食堂推進事業」を行い、子ども食堂を推進する市区町村への補助を実施した。(※9)補助額は1食堂辺り月4万円×12回の最大48万円、宅配事業は年間最大72万円であり、それぞれを都と市区町村で2分の1ずつ負担をする形となっていた。(※10)先に触れた中・高所得者への都立学校無償化、私立学校へ通う高校生への補助と比較をした際に、子ども食堂を利用せざるを得ない低所得層支援として、東京都の政策、行政が妥当なのかという疑問を個人的に感じざるを得ない。

 また、東京都は、住居費が高いため住みずらい場所であり、低所得層においては深刻な問題となっている。母子家庭など社会的弱者に対して、働きやすい場所での住居確保のための、家賃補助、個々人に応じて職場環境へのアクセスに妥当な場所の都営住宅の提供を行うなど、青少年福祉対策に積極的であるべきではないだろうか。

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 いかがだったでしょうか。次回は、後編として上記以外の都政の課題について考察して参りたいと存じます。

私、宴は終わったがは、皆様の叱咤激励なくしてコラム・エッセーはないと考えています。どうかよろしくご支援のほどお願い申し上げます。

脚注

(※1) 都内の保育サービスの状況|東京都 (tokyo.lg.jp)

市区町村別の保育サービスの状況 東京都

東京都の「待機児童」286人で過去最少|NHK 首都圏のニュース

(※2) 待機児童ゼロなのに入れない…東京23区で「保育園に入りにくい駅」ワーストランキング30 ワースト1位は倍率12倍の都営新宿線の駅 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

(※3) 都立高等学校等における授業料の実質無償化について | 東京都立三鷹中等教育学校 | 東京都立学校 (metro.ed.jp)

(※4) 所得制限なく私立高校等の授業料を支援|東京都 (tokyo.lg.jp)

(※5) 「同じ学校で都民はタダ、こちらは全額負担って…」東京都の高校授業料実質無償化で他県の保護者はモヤモヤ:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

2024年6月26日 東京新聞 P21

(※6) 東京都 小中学校の給食費 来年度から最大で半額補助する方針|NHK 首都圏のニュース

(※7) 練馬区立小中学校給食費の無償化について:練馬区公式ホームページ (city.nerima.tokyo.jp)

(※8) 多摩地域 給食費無償化で「格差」 背景は?|TOKYO MX+(プラス) (mxtv.jp)

(※9) 東京都 子供食堂推進事業 – 補助金・資金調達ガイド (baie-amalfi.com)

(※10) 子供食堂 東京都福祉局 (tokyo.lg.jp)

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