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夜な夜な宇宙人にテレパシーを送っていた
あれは小学生の頃のことです。
宇宙戦艦ヤマトとか、銀河鉄道999とか、ガンダムが好きでした。
読んでいたマンガは超能力者や魔法使いの物語でした。
それらの影響により、超能力とか宇宙とか卑弥呼とか、不思議なことが大好きでした。
超能力者といえば、スプーン曲げ。
流行りましたね。
もちろん挑戦しましたが、それだけではありません。
消しゴムに手のひらを向けて、サイコキネシスで消しゴムを吹っ飛ばす練習をしていました。
静かにじっと座って、自分の体が浮き上がる練習もしました。
もちろん、トランプの裏を読み取る透視も、テレパシーも、練習しました。
できるわけありません。
アホです。
そして、夜な夜な窓から星を見上げては、宇宙人にテレパシーを送っていました。
とにかく宇宙人に会いたくて、なんなら宇宙人に攫って欲しくて、「お願い、来て! ここにいるよ」と、息を止めて顔を真っ赤にしながら強く念じていたのです。
UFOがうちまで迎えに来てくれるわけありません。
アホすぎます。
超能力者になって何をしたいかとか、宇宙人に会って何を話したいのか、そこまで考えていませんでした。
ただただ、超能力者になりたかったし、宇宙人にも会いたかった。
アニメやマンガの中の主人公たちのように、何かのために戦ったりしてみたかったのかもしれません。
思い出すほどに、あの頃のわたしはキラキラと瞬いて見えます。
欲しいものを夢中で追い求めて、無駄すぎる努力をして、そしてそれが楽しくてしかたなかった。
結果なんてどうでもよかった。
プロセスを楽しんでいたのかもしれません。
あの頃のキラキラは、もうありません。
子どもにだけ配られる期間限定アイテムなのでしょう。
子どものころのアホでバカでキラキラしたわたしを思い出して、くすっと笑う。
今はそれでいいのかもしれません。
(了)