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第2話 【不倫・婚外恋愛】 蜜月の葛藤

 
 
どうしよう。

本当に、「どうしよう」と思っていた。
 
 
あれ以来、彼とのLINEはずっと続いていた。
彼からのLINEのひとつひとつにときめきが止まらなくて、
やりとりを重ねるごとに波にのまれていくみたいだった。
 
旦那を裏切ることなんて、本当にしたくないのに
私から彼を断ち切れない。
こんな気持ち、きっと誰もわかってくれない。
私だってなんでこんな制御できないのか、よくわからない。
 
 
日々に、ちょっとときめきをもらうくらい、いいのかな。
誰か、そのくらいならいいって言って。
そんな風に、こんな自分で許すこともできない。
  
  
そんな苦しい葛藤を上からまるごと
温かなオレンジ色で塗り替えていくくらい
彼がくれる幸せの力強さはものすごかった。

あらがえない自分の弱さと、彼への愛しさが苦しくて、
夜中、独りで少し泣いた。


こんなに強い思いを抱かれても、彼は困ってしまう。
もっと、彼みたいにのらりくらりやればいいんだ。
え、のらりくらり、って、なに?
そんなに高度な、割り切ったお付き合いみたいなこと、
私にはできない。

前に関係を持ったときのこと、思い出す。
私の場合は、やるか、やらないかだ。


だから、いっそ言おうかと思った。

”私が向こうに帰ったら、連絡しないでね。あなたと連絡とりながら、旦那を愛せる自信がないから。SNSも、ほぼ取りこぼしなく投稿にいいねしてくるのもコメントするのももうやめて。もう思い出さなくて済むようにしたいから。"
 
 
でもそんなこと言ったら、
後悔するかな…。
 

 
でもとりあえず、ここを離れてしまえば、
次なんてもう何ヶ月も後だし、
そんな変なことにはならないだろう。

彼の考え方や価値観は大人で勉強になる面も多いし、
夫婦のことでもなんでも相談に乗ってもらおう。
そう考えればもう逆に心強いじゃん。


そうこう考えてるうちに、嫁ぎ先に帰る日になった。
でも彼で心が満たされている分、気持ちは明るい。
今回は長い里帰りだったから、
後ろ髪もいつもほど引かれない。
よし、またがんばるか。
 

そう思いながら飛行機に乗り込む。

機内モードにしようと携帯を取り出すと、
彼からLINEがきていた。

 
 
 
「うた、大好きだよ。
 またこれから色んなうたが見れると思うと
 すごい楽しみ。」

「うたはどこにいっても、うたらしくいたらいいよ。
 周りに気使いすぎて傷つくところあるでしょ。
 俺も似たとこあるからわかるんだけど、
 もっと自分を大事にしなね」



やっぱり寂しくなって、
またちょっと泣いた。
 
 
 

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