![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/171326083/rectangle_large_type_2_fef3a4b1cb6f677ce99271782f6d7cdc.jpeg?width=1200)
大人の絵本~part1
大人向けの絵本、短編ストーリーです📕
テーマは『心の癒しや人生の静かな発見』を描きました。
utaの絵本の世界へようこそ。。。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
月明かりの図書館 uta
深夜の街には、眠らない図書館があると言われている。
その図書館は、月が満ちる夜にだけ扉を開く。
誰もその建物がどこにあるか知らないが、必要な人の前には必ず現れるという。
![](https://assets.st-note.com/img/1737638359-QqIeLp1bmARPhH5FTDwdnlaM.jpg?width=1200)
ある日、忙しさに追われて心を失いかけた女性、リサは、ふとした偶然でその図書館を見つけた。木の扉を開けると、中は古い本で埋め尽くされ、かすかな灯りが棚の隙間を照らしていた。
カウンターに座る老紳士が、リサに優しく微笑む。
「ここに来たということは、君の心に足りないページがあるのだろう。」
彼女は戸惑いながらも、頷いた。
![](https://assets.st-note.com/img/1737638648-eaLB2GK0p6jPRfwTUyYFgIJH.jpg?width=1200)
紳士は一冊の本を棚から取り出し、そっと差し出す。
「この本を読んでごらん。君のために書かれたものだ。」
リサが開いたその本には、彼女自身の物語が記されていた。
過去の悲しみ、現在の迷い、そしてまだ見ぬ未来への希望。
読めば読むほど、胸の中の重みが解けていくのを感じた。
![](https://assets.st-note.com/img/1737712796-qu6HCMksLtNYBSbWl24Af19j.jpg?width=1200)
ページをめくるたびに、不思議なことに、言葉が空に溶け込むように消えていく。「この本は永遠には残らない。けれど、君の心に必要なものはもう刻まれた。」紳士の声に、リサはそっと本を閉じた。
外に出ると、月は静かに沈み、朝が近づいていた。
図書館はもう跡形もなく消えていたが、彼女の胸の中には確かな温かさが残っていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1737712863-qHIEclb2T50UrkghOPAF9xts.jpg?width=1200)
それからリサは、少しずつ忙しさの中に自分の時間を見つけ、日々を味わうことを覚えた。月明かりの図書館は、二度と現れることはなかったが、その一晩で彼女の人生は少しだけ変わった。
いいなと思ったら応援しよう!
![詩-uta](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157650985/profile_1aaae40a70e29d6dd6187af74dc364ab.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)