【Twitter連携企画】クイズ★進振りケース(CASE11)
オンライン授業が始まって早1ヶ月。新しい生活様式での「大学生活」に慣れてきた人も多いのではないだろうか。しかし一方で、定期試験や成績評価、そして特に、進学選択、いわゆる「進振り」には不安を抱えているだろう。コロナ禍の影響を完全に取り除くことはできないが、我々にできるのは進学条件を今一度確認し、問題なく志望学部・学科に進む準備をすることだ。
UT-BASE公式Twitter( https://twitter.com/UtBase )で行われている、進振りのあれこれを具体的な例を用いて理解する「クイズ 進振りケース」。第11回は社会科学・人文科学の追い出しについての出題だ。よって文科生のみが対象になる。解説もあるので、ぜひ参考にしてみてほしい。なお、断りの無い限り、既習外国語(英語)と初修外国語を選択した非TLP生を想定しているので、これに該当しない人は適宜、『履修の手引き』を見て確認してほしい。
CASE11 【追い出しの基礎】<文系のみ>
【問題】
文科X類の武葦(ぶあし)君は、失敗した人文科学の科目を追い出すべく、2Sセメスターに画像に示す科目の内の1つだけを履修しようと思っている。追い出しを成功させるには、どの科目で何点以上を取る必要があるか?
【選択肢】
① 「政治Ⅱ」・51点
② 「歴史Ⅱ」・51点
③ 「倫理Ⅰ」・51点
④ 「倫理Ⅰ」・81点
(Twitterでの出題はコチラ)
知識の確認
今回は文系の特殊事情、準必修の社会科学・人文科学について問題だ。そのなかでも、まずは文科各類で共通の、人文科学について詳しくみていこう。
■人文科学の追い出しの条件
人文科学は、総合科目の追い出し(CASE09、CASE10)同様、追い出せる科目に一定の枠組みが付されている。そこで『履修の手引き』55ページの「6)人文科学(文科各類)」を見ると、人文科学で重率を1として計算される科目は、「科類の要件※を含め成績上位4単位」とされている。
この「科類の要件」は「※」を読むと、『履修の手引き』9ページを参照するように言われている。ということでそのページを見ると、「2分野にわたり4[単位]」と記載されているのが分かる。これが「科類の要件」である。
それでは、この条件にある「分野」とは何であろうか?答えは『履修の手引き』17ページに書かれている。すなわち、分野とは「哲学」、「倫理」、「歴史」、「ことばと文学」、「心理」の5つである。これらの分野ではそれぞれローマ数字の付された科目が開講されている。これらの科目はそれぞれテーマが異なっており、内容の連続性が必ずしもあるわけではない。(学習内容は『履修の手引き』65ページやシラバスを参照されたい。)
したがって、「2分野にわたって」とは、「以上の5つの分野から2つ(以上)選んで単位を取得する」という条件である。ただし、これとは別に『履修の手引き』17ページにおいて履修上の制限が設けられているので注意したい。すなわち、「ことばと文学」を除いた4つの分野では、同じ分野のⅠとⅡの2つを同一セメスターに同時に履修することはできない。
追い出しを行う際は、この「2分野にわたって」という条件を維持したまま行われる。これが意味することは…今回の問題の解説を見ればわかるだろう。なお、人文科学の科目で社会科学の科目を追い出すことはできない。
■社会科学の追い出しの条件
社会科学の追い出しの条件(つまり重率が1になるか重率が0.1または0になるかの条件)は人文科学とほぼ同様に考えればよい。社会科学は「法」、「政治」、「経済」、「社会」、「数学」の5分野に分かれていて。学生は必ず2分野以上にまたがり履修することになる。
社会科学と人文科学の違いは、文科一類と二類について、特殊な条件が付されていることである。科類の要件をまとめると、以下のようになる。
文科一類:「法Ⅰ、法Ⅱ」4、または「政治Ⅰ、政治Ⅱ」4を含め8
文科二類:「経済Ⅰ、経済Ⅱ、数学Ⅰ、数学Ⅱ」の中から4を含め8
文科三類:2分野にわたり4
(『履修の手引き』9ページ)
文科一類の学生は、「法」の4単位または「政治」の4単位は必須(どちらの分野で4単位取るかは任意)で、それに加えて追加でもう4単位を任意の社会科学の科目で取得する必要がある。(「法Ⅰ・Ⅱ」+「政治Ⅰ・Ⅱ」の計8単位が最も一般的な組み合わせ。)
文科二類の学生は、「経済」と「数学」の2分野の中から、好きな組み合わせで4単位を取得し、追加でさらに4単位を任意の社会科学の科目で取得する必要がある。(「数学Ⅰ・Ⅱ」+「経済Ⅰ・Ⅱ」の計8単位が最も一般的な組み合わせ。)
追い出しはこの条件も含めて行うので、特に文科一類・二類は特殊な事例が存在する。これについては次回(CASE12)で紹介する。なお、社会科学の科目で人文科学の科目の追い出しはできない。
■社会科学・人文科学で失敗したとき
社会科学や人文科学で「不可」または「欠席」をとってしまった場合、どうするのが最善手だろうか?2パターン考えられる。
〔パターン1:再履修〕
一つ目のパターンはおとなしく再履修することだ。再履修することでその科目の成績を上書きすることができる。
<参考>
『履修の手引き』37ページ
クイズ 進振りケース CASE06
〔パターン2:追い出し〕
二つ目のパターンは、追い出しをすることだ。実は、落単した社会科学と人文科学の科目の追い出しは、再履修したときと同様の効果を発生させる。というのも、『履修の手引き』55ページの「8) 上記以外で2S2ターム・2Sセメスターまでに単位取得した基礎科目」によると、これは単位を取得したものに限られるので、落単した社会科学・人文科学の科目は基本平均点の計算に含まれない(重率を0とみることができる)からだ。再履修を行ったときと同様、追い出しを行うことで過去の落単の成績を進振り上、なかったことにできる。
ただし注意してほしいのは、落単した科目を追い出しも何もせずに放置した場合には、それは重率1で基本平均点に算入されてしまうということだ。基本平均点に算入されなくなるのは、あくまで追い出しをしたときに限る。
(まとめ 社会科学・人文科学で落単・撤退した場合)
落単した! → 追い出さない限りは重率1で算入される
対策① 落単した科目を再履修する → 点数が上書きされて重率1
対策② 別の科目で追い出しをする → 落単して追い出された科目は重率0
☕Coffee Break ~「不可にしてください」~
以上の説明は落単した場合に限られる。単位を一度取得してしまったものは追い出ししかできず、また、その重率は0.1なので、過去の成績を完全に消し去ることはできない。社会科学・人文科学でギリギリ単位が取れそうな場合、「50可」で単位を取得して後々追い出すよりも、いっそのこと「49不可」を付けてもらって、再履修や追い出しによってその成績をなかったことにした方が、基本平均点は最終的に高くなる。このような事情を背景に、よく、「50可」くらいの成績しか望めないと思った学生が教員に「50可を付けるくらいなら不可を付けてください」と懇願する事態が発生するのだ。この背景事情を理解している教員は、慈悲深く49不可を与えてくれるが、仕組みを知らない教員からすると、相当なドMが来たようにしか思えないだろう。無慈悲に50可で成績が返って来ることもある。
問題の解説
【問題】
【選択肢】
① 「政治Ⅱ」・51点
② 「歴史Ⅱ」・51点
③ 「倫理Ⅰ」・51点
④ 「倫理Ⅰ」・81点
【解答】
②
【解説】
まず、人文科学の科目を追い出せるのは人文科学の科目のみだから、「政治Ⅱ」の選択肢は消される。そして、「歴史Ⅱ」と「倫理Ⅰ」であるが、仮に、「倫理Ⅰ」で「歴史Ⅰ」を追い出してしまった場合、武葦さんの人文科学(重率が1であるもの)は「倫理Ⅰ」と「倫理Ⅱ」になってしまい、これでは「2分野にわたり」という条件が満たせなくなってしまう。「倫理Ⅰ」を履修すると、以上の条件を保つべく、追い出されるのは「倫理Ⅰ」自身(選択肢の③の場合)か、「倫理Ⅱ」(選択肢の④の場合)になる。
したがって、答えは「歴史Ⅱ」で51点以上をとる②になる。「歴史Ⅱ」で「歴史Ⅰ」を追い出しても、「歴史Ⅱ」と「倫理Ⅱ」で2分野にわたっているので、条件も満たされていることを確認しよう。
(終)
以上のことは基本的にほぼ全て『履修の手引き』に掲載されている。万が一履修条件の抜け漏れがあった場合は、すぐに手引きを参照しよう。特殊な成績計算方法を採用している学部・学科もあるため、各位志望に合わせてチェックしてほしい。
また、進振りに関する詳細な情報を掲載しているUTaisaku-Webや成績を入力すると自動で基本平均点を計算してくれるUTESなどのサイトを活用するのも有効だろう。
もちろん、UT-BASEでも進振りに関する耳より情報をご提供していく予定なので、参考にしていただければ幸いである。次回も引き続き社会科学・人文科学の追い出しについての問題で、追い出しができない場合の問題を出題する。お楽しみに!